Seminar Paper 2006

Asami Wada

First Created on January 30, 2007
Last revised on January 30, 2007

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The Great Gatsby におけるMoneyの意義
Money - the great Gatsby の表と裏

    この作品の中には作者であるフィッツジェラルドの持つ、物事に対する二重の考え方や対照的なとらえ方というものが沢山織り込まれている。そして今回私がこの論文のテーマとして取りあげたmoneyにおいても、作者は二重の考え方、対照的なとらえ方の対象としていると思う。そしてさらにmoneyはこの作品の中で二重の考え方、対照的なとらえ方の象徴としてこの作品の重要な要素となっていると思う。ここではmoneyのもつ特徴と、この作品のなかで見られる登場人物それぞれとmoneyの関係を分析し、その意義を考えていきたい。

    まずmoneyのもつ特徴について考えていきたい。Money=お金 とは一体どういう物なのだろうか。お金そのもの自体には物質的な価値はあまりないはずだ。つまりはお金は実際のところただの紙である。しかし人々はお金を手に入れるために多くの時間と体力を消費し、そうすることが社会的な常識になっている。ではそのお金の価値とは何なんだろうか。お金がただの紙から重要な意味のある紙に変わるのは人々が何かを手に入れようとする時だ。手に入れたい物と引き換えにお金を支払う。そのルールが社会に確立されているからお金が存在し、価値が上乗せされる。つまりお金はそれだけでは価値が生まれようのないものであり、それを所有する人間とお金と引き換えに交換される対象があるからこそ価値のあるものになるのだ。そしてお金と引き換えに交換される対象として無数の物がこの世に存在する。それは物であったりサービスであったり形もいろいろだ。お金を手に入れ、それを使っていろいろなものを自分の物にしていく。より多くの物を自分の物にして、多くの事を自分の自由にすることのできる人、そして他の人々に多大な影響力をもつ人のことを成功者と人々は認識しているのだろう。たとえばそれは人々のもつアメリカンドリームを手につかんだ人のイメージというのもそういうものであると思う。つまりお金は成功ととても深い関係にあるということだ。

    次に上で述べてきたことをふまえながらこの作品の中でのmoney =お金について考えていく。この作品の登場人物にはお金持ちが沢山登場する。中でもやはり注目したいのはまずはギャツビーである。これからギャツビーとお金についてを考えていきたい。

The one on right was a clossal affair by any standard ? it was a factual imitation of some Hotel de Ville in Normandy,with a tower on one side,spanking new under a thin beard of raw ivy,and a marble swimming pool, and more than forty acres of lown and garden. It was Gatsby’s mansion. (p.11)
とあるように彼は一般的に人々が思う成功者の象徴というような家を持っていた。アメリカでは巨大な屋敷に、大理石のプール、40エーカー以上もある芝生や庭はお金持ちのしるしとなっているし、それを持つことはステータスであり、また成功者であることを意味していると思う。ギャツビーは世間で言う、成り上がり者なのである。かれは独身で一人でその家に住んでいる。一人で住むには大きすぎる家なのは当然だ。しかしギャツビーにはその場所にそれだけの規模の邸宅をかまえる大いなる意味があった。
The modest of the demand shook me. He had waited five years and bought a mansion where he dispensed starlight to casual months ? so that he could `come over’ some afternoon to a stranger’s garden. (p.85)
とニックが言っているようにギャツビーの目標はそもそもこの場所に邸宅を建てることではなかったのだ。ギャツビーは成功を手にしこの場所に邸宅をかまえることが必要だったのだ。そしていつの日かの午後に見知らぬ人の庭に出かけていくことが必要だった。 それはギャツビーの夢の実現のためである。彼にとっての夢とはかつて愛し合っていたデイジーと再び愛し合うことだ。そのためにデイジーが自分の存在を知ることがあるようにと願い、邸宅をデイジーの住む所と海峡を挟み向かい側に建てた。つまりギャツビーにとってお金と成功を手にすることは夢の現実のためのひとつの手段にすぎなかったのだ。この点でギャツビーは世間で言う成り上がり者とは決定的に違う。つまりお金という物は一般的にはそれを手にしそれが成功へとなるものとされるが、ギャツビーにとってはお金を手にして成功することが夢への通過ポイントとなっている。このことで作者はお金に対する二重のとらえ方があることを表現していると言えるのではないだろうか。

    次にトムとギャツビーのお金との関係を考えていきたい。まずトムの方を考えていく。

His family were enormously weaithy ? even in college his freedom with money was a matter for reproach- but now he’d left Chicao and come East in a fashion that rather took your breath away: for instance, he’d brought down a string of polo ponies from Lake Forest. It was hard to realize that a man in my own generation was wealthy enough to do that.
と表現されているようにトムは生まれながらのお金持ちである。さらにトムはかれにとってはお金持ちとして生きることが当たり前であると思っている。そして作者はこの話の中でトムをお金持ちであまり頭のよくない男としてえがいている。トムは家がお金持ちなのであって、決して彼の才能がすばらしいからだとか、努力のうえになりったった富をもった男ではないのだ。そしてトムは難しい本を読んで訳のわかっていない内容の話をニックのまえで話したり、見当違いな発言をしたりと、この作品のなかで作者から嫌われているんじゃないかと私は思った。あるいは馬鹿にされているんじゃないかと。。。つまり作者は才能があったわけでもなく努力をしたわけでもないのにお金持ちで、生まれつきお金を惜しみなくつかうのが当たり前だと思っているトムに対して少しばかり嫌悪感を抱いているのではないだろうか。

    次にギャツビーについて考えていく。 His parents were shiftless and unsuccessful farm people ? his imagination had’ never really accepted them as his parents at all.(p105) とあるようにギャツビーは生まれながらのお金持ちではない。そしてギャツビーはお金持ちではないことを受け入れるのではなく、自分の力で変えていこうとするのである。

`He and this Wolfshiem bought up a lot of side-street drug-stores here and in Chicago and sold grain alcohol over the counter. That’s one of his little stuns. I picked him for a bootleggger the first time I saw him, and I wasn’t far wrong.’ (p140)  
とトムが言うようにギャツビーはドラッグストアを買収し、大っぴらにアルコールを販売していた。この作品の時代は禁酒法があったのでアルコールの売買は違法行為であった。

    しかしこの場面を注目すると、なぜかギャツビーは悪者のように表現されていない。この場面はトムがギャツビーとデイジーの関係に気づいた直後である。トムはギャツビーに “‘what kind of a row are you trying to cause in my house anywhere?’”とあからさまに聞いたことからトムとギャツビーはデイジーが自分を愛しているんだという言い合いをはじめる。トムは興奮し、ギャツビーに対して怒鳴りちらす。しかしギャツビーはいたって冷静であった。ここでは感情的になってしまっているトムをギャツビーが冷静に対処しているような感じを私はうけた。ギャツビーの裏の顔を暴露することでトムはギャツビーにダメージを与えられると考えていたであろうが、ここの場面でギャツビーは少なくとも外面的にはあまり動じなかったように思う。さらにこの少し前の場面でのトムとギャツビーの会話を注目してみると、

‘By the way, Mr Gtsby, I understand you’re an Oxford man.’
`Not exactly.’
`Oh,yes,I understand you went to Oxford.’
`Yes-I went there.’
A pause. Then Tom’s voice, incredulous and insulting:
`You must have gone there about the time Biloxi went to New Haven.’
Another pause. A waiter knocked and came in with crushed mint and ice but the silence was un broken by his `thank you’ and the soft closing of the door. This tremendous detail was to be cleared up at last.
`I told you I went there,’ said Gatsby.
`I heard you, but I’d like to know when.
’ `It was in nineteen-nineteen, I only stayed five months. That’s why I can’t really call myself an Oxford man.’
Tom glanced around to see if we mirrored his unbelief. But we were all looking at Gatsby.
`It was an opportunity they gave to some of the officers after the armistice,’he continued. `We could go to any of the universities in England or France.’
I wented to get up and slap him on the back. I had one of those renewals of complete faith in him that I’dexperienced before.
というギャツビーが前から疑われていたオックスフォード大学の出なのかということについてトムが問い詰めた場面がある。ここでもトムはギャツビーを感情的に問い詰めている。

    またギャツビーはここでも冷静である。トムはギャツビーからオックスフォード大学には五ヶ月しか行っていなかったという事実を聞き出したにも関わらずギャツビーは冷静であり、トムからのダメージは全く受けてないように感じられる。さらにこの場面にいるニックはこのギャツビーの発言を見守っているような感じで聞いている。そしてギャツビーが休戦のあとでそうした機会の与えられた将校もいたんだということを説明すると、ニックはギャツビーに対する完全な信頼を再び持ったとまで言っている。ここでもギャツビーは人々に疑われてもしょうがないような事を言っていたにも関わらず、最後はニックからの信頼を取り戻すことができている。この作品の中でトムとギャツビーが直接向かい合って対立してるのはここの場面であって、この場面の印象というのはトムとギャツビーの対立する関係を強く表現していると思う。成り上がりであり、裏の世界で築き上げた富をもつギャツビーを生まれながらにしてお金持ちのトムが攻めたてる。しかしここで作者は生まれながらの金持ちのトムの印象がわるくなるようにしていて、成り上がりギャツビーを応援しているような感じをだしているように私は思った。

    これらのことから私はこの作品の中でmoneyがギャツビーにとっては夢の実現への手段なのに対して、一般的にはそれを手にすること自体が目的とされているということの二重の考え方や、トムのように生まれつきお金持ちな人間に対する嫌悪感やギャツビーのように自らの才能や努力といったものによってお金持ちになった人に対する好意のようなものという対照的な考えを表現する要素となっていたと思う。 さらにお金のもつ、物質的な価値はあまりないが状況によって価値が加えられるという二重の構造が、この作品の中で二重の考え方の象徴的な役割をたしていると思いました。つまりお金は一見絶対的な価値を持っているかのようだが実はただの紙でできている。ギャツビーも一見偉大な者に見えるが実はその偉大さは完璧なものではなく、大きく欠けているということだ。The great Gatsby の表と裏。


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