Seminar Paper 2011

Ayumi Arai

First Created on February 3, 2012
Last revised on February 3, 2012

Back to: Seminar Paper Home

LevinとGilley
二人の二つのNew Life

   このテーマからLevinとGilleyの2人がどのようなNew Lifeとなったのか、それぞれの価値観も見出しながら、考えていきたい。そしてA New Lifeとは二人のNew Lifeにどう関係しているのかも見出したいと思う。まず、Levinは仕事にもついておらず酒飲みで放浪しながら生きていた男である。新しい人生を始めようとして、採用された大学に向かう。そして大学の講師となり、この大学の授業のあり方に疑問を感じながらも、自分の人生はなんなのか、愛とは、そして過去を受け入れるために、この大学で過ごすのであった。そしてもう一人の重要な人物であるGilley、彼は暖かい家庭・大学の人付き合い・学部部長を目指すなど何もかもを手に入れているように見える。さらにLevinとは違う価値観の持ち主である。しかしこのLevinによって彼の人生は大きく変わり、Levinも自らが思い描いた人生とはまったく違うものになるのである。

   では、2人のNew Lifeとはどのようなものなのだろうか。私がこのA New Life を読み考えたことは、Livenは偶然にもPaulineによって決められていた、定められていたNew Lifeなのではないだろうか。そしてGilleyはNew Lifeを求めにやってきたLivenに影響を受けてNew Lifeを築いたのではないだろうか。つまり、どういうことかというと、LivenはNew Lifeを見つけようとやって来たのだが、それはLeo Duffyと似ているという理由で、Paulineが採用して欲しいと決めたとこであり、PaulineはLevinに近づきたいというか思いが始めからあったと思われる。いわばLivenのNew Lifeの場所、どのようなNew Lifeになるなかはたとえ偶然でもPaulineに決められていたということだ。そして2人でNew Lifeを築くことが採用を決めた時点から始まっていたのかもしれない。一方Gilleyについては自分が採用したLevin、自分の選挙の票の一票として考えていたLevinに自分の妻と浮気をされ、さらに自分の価値観をLevinとの出来事の中で変化させられるのである。そして学長として大学の変化ができる立場としてNew Lifeを始めるということである。 最後にこの二つのNew Lifeはお互いに影響を及ぼしあい完成することで、A New Lifeというタイトルが成り立っているのではないかと考える。

   ではなぜこのような考えに至ったのかをこれから見ていきたい。まずはLivenからである。

I had previously put you in the discards as unsuitable, but Pauline was reading the newspaper at the dining table where I was working and her eye just happen to light on your picture among the discarded applications. She picked up yours and read thorough it. The next thing I knew she was advising me to hire you, a thing she usually keeps out of. (p. 344)
これはGilleyがLevinを採用した理由を語る場面である。これの引用から、Levinを採用されたのは、PaulineがGilleyに言ったからだということがわかる。ここでLevinの待ち望むNew Lifeが始まろうとしているが、すでに必然的にPaulineに選ばれているのである。
“Why did she pick me?”
“She said she thought your experience was good and liked the letter you had written about your ideas of teaching composition, which I thought was pretentious when I read it. I guess it also appealed to her that you were from New York. Duffy was from the East. "
“Chicago?”
“That’s East out here. There were other resemblances between you both. "(p. 345)
さらにこの引用からもわかるように、PaulineがLevinを選んだ理由というのは、以前自分が愛していたLeo Duffyに写真が少し似ていたということに加え、LevinとDuffyいくつものに類似点があったからなのだ。つまり、ただ似ているから選ばれたのであって、GilleyはLevinのことを不採用にしていることから、PaulineはLevinに最初からDuffyと重ね合わせた好意を持っていたということになる。 “She put the album aside, removed one shoe, then the other, and raising her legs drew them close to her body. She had pinned a rose to her poor chest.” (p. 17) さらにPauline が好意を持っているという感情が決定的なのは上記の引用や" You remind me of somebody. "(p. 18) 、" She felt his beard and giggled. "For a minute I thought you were somebody else." "(p.191)からうかがえることがわかるだろう。このすぐ上の引用文も彼女がLevinをDuffy と重ね合わせて見ていることがはっきりわかる。 Levinは人生のchangeを求めて大学に赴くわけだか、" My youth, my lost youth. "(p. 127)" Levin wanted friendship and got friendliness "(p. 125) や" When, for God's sake, came love, marriage, children? "(p. 125) からわかるように、過去の自分を嘆く姿、そして現在の自分に対する不安を表している。その心の不安を持ちながら、changeを求めるが上にPaulineと出会ったことで、何か今までとは違った自分を見出そうとする。そして自分の過去を話したことで、安堵感を感じている。ここでLevinはPaulineと何か始まるとしてNew Lifeが始まると思っていたが、次から起こることで、最初の仮説がより明確になることがわかる。”Yet he was glad he had told her about the past; it was a relief to share that with someone. "(p. 204)

   Gilleyが撮った写真の事実を知り、自分はDuffyの代わりだったのではとLevinに疑問がよぎる。そして価値観の違いからGilleyとの学部長戦が始まりPaulineと別れることになったLevin。やりたいこともたくさんあったLevinだったが、またしてもPaulineがLevinの人生を左右する場面が存在する。

"Lev, I love you. Be my love again."(p. 332)

I've got to be honest with her, Levin thought. That may be all I have left to give.
“Pauline," he said heavily, “I’m sorry for the way I am now-"
“Don’t you feel well?"
"I' m not myself-"
"Have I upset you?"
"To tell the truth, I wasn't expecting this-"
"That I would come back?"
"Yes-" (p. 333)

"This though he told himself he must still love her.",
"Was it love murdered or love imperfect , less than love to begin with?(p. 336)
上記の引用を見て欲しい。この3つ引用によると、PaulineがLevinに一緒にいたいと迫るが、Levinが自分はそのように考えていないとこがわかる。"Unfinished Business"(p. 335) とあるように、せっかく開けそうにあったLevinのNew LifeはPaulineとの関係が再開されることによって閉ざされてしまう。文法に関することも大学の教師として教えていきたいと考えていたが、達成できなくなるのだ。しかし、自分には責任がある。その中で、Levinは自由にやりたいことが溢れているのに、できなくなるジレンマに陥っているのだった。この描写によるとLevinのNew LifeはPaulineに閉ざされたことになる。つまり、Paulineによって彼のNew Lifeが決定されているといえるだろう。

   そして最後にもう一つの理由がある。”Meeting his eyes at last, she murmured, “I'm about two months' pregnant.””(p.364) この引用が意味するものとはLevinはもうPaulineと共に生きるしかない。Levinは決めるしかないということを示しているのではないだろうか。DuffyでもGilleyでもない。そしてLevinがこの運命を決意する描写がある。”I want the child.”(p. 365) この描写があることによってLevinの気持ちが明らかになったといえる。 以上のことによってLevinは新しく迎えるNew Lifeを始めからPaulineに導かれていることが言え、ここまでの出来事も同様に彼女に左右されている。いわば、“決められたNew Life”と考えることができる。

   次にGilleyのNew Lifeについて説いてきたいと思うが、その前にLevinとGilleyの価値観の違いについて説明しておきたい。

“First, I’d ask for at least five additional positions. Comp, as you know, is running thirty to a class, about five too many, ideally ten, but who has money for the ideal? And some of our lit sections go up as high as sixty. If I could bring them down to thirty-thirty-five, we have might have some class discussions instead of concentrating on lecturing. (p. 103)

Cascadia is a conservative state, and we usually take a long look around before we commit ourselves to any important changes in our way of life. You might keeping mind that education for an agrarian society, which is what we are- the majority of our state legislators come from rural areas ? is basically a ‘how to work’ education. (p. 29)

That’s not to say that we won’t be making some changes here, but most of us at Cascadia agree there’s no sense hurrying any faster than most people want to go. (p. 29)
これらの引用文からもわかるようにGilleyの価値観とは学業よりも大学の成長・発展のことを考えていることがわかる。授業の内容ではなく、授業の形式的の内容に力を入れている。いわば、学部長になること、大学の経営の損得ばかり考えて行動していることがうかがえる。  一方、Levinの価値観はどのようなものであるかというと、”How can we ? if you’ll excuse my making myself familiar ? teach what the human spirit is, or may achieve, if a college limits itself to vocational and professional education? ‘The liberal arts feed our hearts’, “(p. 28) この引用にあるようにGilleyとはまったく反対の価値観を持っていると言える。大学の成長・形式的のものではなく、大学の授業の中身について重点を置いている。そんなLevinが大切にしているものはliberal artである。それは、人間の精神・心を教えてくれるもので、自由や権利をサポートしてきたものである。必要なのは文法の授業ではなく、まさしくこのliberal artだということを主張する。

 

   この二人の価値観を踏まえた上で、Gilley について考えていきたい。”I hear the dean asked him to handle the Great Books program.”(p. 367) これによると、GilleyがLevinのliberal artsの考えを最後に受け入れた始めたと言える。あのように頑なだった、Gilleyの価値観に変化を与えたのはいったい何なのかを考えていく。それはLevinの一つの行動らかではないかと思う。

“I agree to your terms.”
“You’re batty,” said Gilley. “You’re cutting your throat.”
“You’re cutting it. Do you want me to sign anything?”
“I’ll take your word, you’re a fanatical type.”
“Isn’t there some better way?”
“Yes, go away and leave my wife and family alone.” Levin opened the door.
“Goodbye to your sweet dreams,” Gilley called after him.
“I hope yours are sweet.”
“An older woman than yourself and not dependable, plus two adopted kids, no choice of yours, no job of promise of one, and other assorted headaches. Why take that load on yourself?”
“Because I can, you son of a bitch.” (p. 360)
この引用を見てほしい。これはGilleyがLevinに大学を去れとさらに厳しい条件示してきた場面である。しかしLevinはその条件に屈することなく、その条件を飲み込んだのだ。これはたとえLevin学部長になり大学を変えていくなどの夢を捨て、大学を去る、なおかつPaulineと子供たちを受け入れることは自分の得ではない、むしろまったくの損だとしても、それだけでは価値を見出すことをしなのである。損得で決めてPaulineと一緒になったわけではないということである。  この行動とGilleyの価値観と比較してみると、大学の経営や、損得ばかり考えているGilleyには欠けている価値観なのではないだろうか。  よってGilleyのNew Lifeの段落で記した、”I hear the dean asked him to handle the Great Books program.”(p. 367)とはLevinの行動にGilleyが自分の価値観を変化させられたことによる結果なのである。

   そして最後のページにある”When he saw Levin’s Hudson approach he swung the camera around and snapped. As they drove by he tore a rectangle of paper from the back of the camera and waved it aloft. “Got your picture!”(p. 367) この引用。二人の写真を撮って、ただ破ってばらまいたのではなく、その写真を紙ふぶきとして宙に舞いあげるということから、強い憎しみは感じず、liberal arts の必要性、Levinの言っていることを理解したということが示されているのではないだろうか。そしてGilleyも自分の変化を認めている描写だと思われる。 これらの理由からLevinの影響によって、Gilleyは自分の価値観を変化させられたと言える。そして学部長として、大学を変化させられる立場として、New Lifeを始めるのだ。いわば、“価値観が変化したNew Life”考えることができる。

   以上のことが考えられるため、私はそれぞれのNew Lifeを“決められているもの”、“変化したもの”と説く。Levinはこの大学で過ごす期間のほとんどをPaulineに左右されている。それは一見すると大学を訪れる以前のLevinと変化がないと思われるが、そのこれから決して幸せとは言えない事実を受け入れることは、以前のLevinとは違うと私は考える。そしてGilleyは会うはずではなかったLevinに大きな影響を受けた。新しい価値観をもとに大学を構成する立場に変わったのだ。この二人の二つのNew Lifeがお互いに影響を及ぼして作られたお互いのNew Lifeだからこそ、A New Lifeというタイトルが成り立っているのだ。


Back to: Seminar Paper Home