Seminar Paper 2011

Ryo Fukazawa

First Created on February 3, 2012
Last revised on February 3, 2012

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Levinの多面性
理想との葛藤

    新しい生活を求め、東部のキャスケディアにやって来たLevin。彼の希望とは裏腹に人妻 Paulineと浮気をし、彼の理想の生活が崩れ始めていく。Levinが求めていた生活は、大学 で見つけられたのか、それともこのストーリー以後の人生で叶うのかという疑問が少し残 る。そんな困難な生き方をしているLevinの性格は、情熱的で大胆でもあれば自分に対し て自信が無く不安にもなりやすい人物だ。本論ではLevinの性格について以下のように仮 定し、引用文を用いて理由を述べていく。 @理想家である、A慎重であり、用意周到であるB信念が強い、C常に孤独感がある、D 優柔不断などの要素を持つ人物であるとを仮定する。

    一つ目は、Levinは理想家であると考える。彼は、まず過去の自分を捨て新しい人生にし ようと東部から西部のキャスケディアに移って来た。そして彼自身の生活の他にも、大学 で働く事を通し学生に教養を付けてもらう事で、自分で何か回りに変化をもたらし貢献し たいという理想をもっている。

“Imagine that, Bucket,I know it sounds ridiculous, pretentious. I'm not particularly gifted- ordinary if the truth be told- with a not very talented intellect, and how much good would I do, if any? Still, I have the strongest urge to say they must understand what humanism means or they won't know when freedom no longer exists. And that they must either be the best- masters of ideas and of themselves-or choose the best to lead them; in either case democracy wins. I have strongest conclusion to be involved with such thoughts in the classroom, if you know what I mean?” (p. 115)

Bucketの部屋で自分の考えを述べている。彼自身自分は優れた人間ではないと思ってい る。そんな自分でも人間主義や自由の意味などを授業内で教養を身につけさせることで、 民主主義繁栄に貢献出来るのではないかという考えだ。 また、“No ideas cost nothing” said Levin. “Some things are easy to change. And sometimes the college has lead the community” (p. 287) とGilleyが大学運営や地元 での賛成が無いと言う現実的な問題を上記のように反論している。彼は大学そのものを改 革するよりも、さらに先まで良い影響を与えると考えている。

“S.Levin, PLATFORM[...] fear of the public and distrust of staff; the composition room and assorted gadgets. IN, a writing-centered comp course; one literature class to each man insofar as possible;the ideal of the humanities-foundation of democracy” (p. 317)

というように、Levinは自身の考えを表明し、選挙に出馬した。この文章の前では、生徒 が教養を身につけさせることで、後に美術館やコンサートホールができるなど文化的にも 発展し、自分が英雄になるとまで考えている。彼にとって大学の改革が、社会全体に影響 し、自分は英雄になることを望んでいたようだ。彼は大学そのものを改革するより先を見 過ぎているように思える。彼自身の変化、大学の変化そして社会の変化が彼の理想であ る。  そして最後の場面で、“I failed this place,” Levin said. (p. 366)と言っているように、 実際にはキャスケディア大学をあまり改革出来ず少し悔やんでいるようである。おそらく 彼はPolineとの新しい生活でも理想を追いかけるのだろうと思う。

    2つ目は、1つ目の理想と重なるが彼は自身の信念を貫く人だと考える。理想のため、そ して自分で正しいと思う事は、Geraldやさらに学部長まで自分の意志を伝えている。 “I'm sorry, Gerald, but a mistake is a mistake.” (p. 161) などGeraldに採点の結果変 更を止めろと言われた時にLevinは自分の考えに従った。Geraldは上司であって反抗はし 難い上、結果の採点について点数を上げるだけもできたはずである。

Not allowing himself to think, the instructor slipped them into a folder and hurried to the library. There he had the papers photostated then returned them to memorized spot on the desk. “Practical politics” he told himself. ( 280)

というように、時に道徳的には見て移してはいけないものを、彼は写し書きしている。彼 にとって生徒を贔屓するなどの不正は許されないし、自分が不当に批判されているの許せ なかった。また普段のGeraldに対する不満、そして選挙に勝つため行ったのである。

“ Wouldn't it -er -have been better if you had advised them to stay with me? Since the issue was the quality of their work, if you transfer them out of my classes, aren't you really kicking my standards in the pants? Maybe you should have asked them to talk to me first?” ( 166)

大学では安定を望む人間が多い中で、彼は新人ながら自分の立場を主張している。Gerald のようにいかに組織で巧く立振舞うかより、Levin自身の意志を通すことが彼に取って重 要なのだ。

    3つ目は、特にPaulineとの関係で優柔不断な一面があることである。 “She's got it all planned. He wrestled a rage against her, answered nothing.” ( 340)とあり、彼女の計画に対し不満を持ちつつも反論出来ないでいる。そしてこの会話の 終わりでは、

“Only I don't believe in that kind of end for us, do you? She asked.
He said “no.”
Then shall I tell Gerald?”
He said yes.                            ”(p. 342)

と言うようにPaulineに誘導されているかのように受け答えをしている。Paulineのペース に飲まれ、彼自身は自分が大学で落ち着ける夏まで待って貰いたいのだがまったく Paulineに言えなくなっている。そしてPaulineとの関係がGeraldにばれて、Levinと Geraldが言い合いをした後の場面では、

He would leave a note, “Sorry, I don't think it will work. Too much has happened. I do this for you as well as myself . Sincerely, and with regret, S.Levin” He would slip that under her door and fade away. (p. 362)

とGeraldにPaulineを自分が貰うと言いながら、まだ関係を無かった事にし逃げようかと 考えている。本当にしようとしてはいないと思うのだが、Paulineとの間に子供が出来て なかったら、どうなっていたのだろうと疑問が残る。最後まで彼が抱いていた理想の生活 とはかけ離れた現実が不安あり、逃避願望があったようだ。

    次に、Levinは常に孤独を感じている人物であると仮定する。“Unwilling to be enticed by old habits of loneness, in late September Levin went tocall Assistant Professor Joseph Bucket.” (p. 62)と彼が赴任したばかりのころ、同僚の家を訪ね歩いた場面がである。 どこの家も何故引き止めてくれないのかと、過去から続く孤独を解消したいのと新しい仲間と 仲良くしたいという気持ちがわかる。しかし”He wasdisappointed at how lonely he still was after three months in Easchester. “(p. 125)とあり、何ヶ月たっても彼の孤独の寂し さは無くならない。

To escape occasionally from the town and loneliness, Levin after much debate with him self- having consulted Bucket and Courtney Haddock, who knew about second-hand cars, bought himself one. (p. 134)

と結局車で孤独を紛らわそうとしたが、実際にPaulineとの関係を築いてからも彼の孤独 は解消されていないようである。よくLevinの散歩のシーンが、四季の変化の様子ととも に描かれている。これはLevinが部屋で孤独に苦しむのを避けるためである。そして同僚 の先生の家を訪ねては、心の中で歓迎される事を望んでいる。

    最後にLevinは用意周到(慎重)な人物であると考える。

“The instructor was thinking of going to Gilley to make it clear to him that he wasn't committing himself to anyone for head of department until he know more then he did about both candidates.” (p. 107)

と言うように彼は学科長として適任者は誰かきちんと知ってから支持する人物を決めよう としている。BucketにGeraldはどんな人物であるか、またFabricantはどうかなど幾度も 話を来ている。そして候補者本人の部屋へ行き、それぞれの考えを訪ねている。Levinは 自分の立場をきちんと取りたいという願望あり、慎重な対応をしている。  またBullockの要注意の講師リストも、きちんと書き移しGeraldに報告するなど選挙の 勝利のため証拠を確保している。そしてPaulineとの関係を、自分が大学での最初の1年 間を終えるまで進展させたくなかったのも、自分の立場やお互いの生活を整理してから新 しい一歩を踏み出したかったのだと思う。

    以上の結果。@理想家、A信念を貫く人物、B優柔不断(Paulineとの関係)、C孤独な 人物、D用意周到(慎重)などの面をもつ人物であると考える。この物語では、Levinの 性格が多面的に描かれることで、より人間らしさのようなものを感じられるのではないだ ろう思う。Levinの新しい生活への希望と不安の葛藤が物語の最後まで続いているが、大 学を去りPauline以外のすべてを失った人生が”A New Life”のスタートなのだと思う。 そしてLevin以外の人物も、小さな変化をでは有るがLevinによって変わる事が出来た。 Levinは東部に移り、家族を得た事また大学に変化をもたらした事でLevinは過去の自分と 決別出来たのではないだろうか。


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