Seminar Paper 2011

Mizuki Kurokawa

First Created on February 3, 2012
Last revised on February 3, 2012

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レビンの多面性
相反する性格をもつレビン

仮説
   レビンが@大胆、無謀⇔慎重、臆病A理想主義⇔現実的、などの相反する内面を持っている人物であることを仮説として、説明する。

本論
@大胆、無謀
   レビンはイーシェスターでの独身生活に寂しさを感じていたために、何人かの女性と関係を持ちそうになる。レビンは女性との関係になると、大胆で、無謀な行動がとても多い。
まず一番初めはあるバーで出会ったラバーンである。友人が狙っていた女性にもかかわらず、手を出してしまう。友人にそれがばれることも簡単に予想はできるのに、衝動に駆られてしまう。そのことがばれてしまい、散々な目に合い、挙句の果てにはその女性からも愛想を尽かされてしまう。次の女性は同じ大学で教えている教師であるエイビス・フリックだ。彼女とも一時の衝動で、大学の研究室で関係を持ちそうになる。しかし、本当に一時的な感情だったために、エイビスの秘密を知ってしまうと、途端に興味がなくなってしまう。3人目のナダリーは、絶対に恋愛禁止と言われていた学生であった。ナダリーとレビンは一晩の関係を持つことになる。とても美しい少女だったので、幸せな気持ちに包まれたこともあったが、すぐに自分の教師としての人生が終わってしまう恐怖に襲われてしまう。これまでの3人の女性とは、一時的な感情だけで、本ように好きでもない女性と無謀な行動をとってしまうレビンだが、ポーリンとの時は本気の恋に目覚めることになる。しかしその行動は以前にもまして無謀なものだ。ギリーに嘘をついたり子供たちを家においてくるポーリンのことを許して、頻繁に合うことになる。管理人のビーティーさんにポーリンとの関係が気付かれてしまい、もう会わないように言われた時も、レビンはポーリンと会うのをやめなかった。ギリーやほかの人にばれたら、せっかく掴んだ新しい生活がすべて台無しになってしまうことも考えずに、ポーリンとの恋に溺れてしまうのである。

‘Look, Laverne,’ he said thickly, ‘ I like you a lot. It would give me great pleasure to be with you tonight. You’re very attractive.’ (p. 79)

Levin read several stanzas from “The Eve of St. Agnes,” and Avis read Tennyson’s “Flower in the Crannied Wall.” One poem led to another, and soon Levin, taking Avis’ bashful hand, gently drew her down upon his lap. A blessed thing, poetry.
They kissed, Levin suffused in her orange blossom and tobacco aroma, then kissed again more deeply. (p. 129)

‘You are observant,’ he said with a sigh, ‘mature.’
‘I’m glad you finally noticed.’
Levin bent for a stone to scale on the water nut it sank with a plop.
‘If you had any idea that I am a little-innocent,’ she said, watching the ripples in the water, ‘well, I’m not, if that’s what you’re worried about. I was once engaged to be married.’
The wall he had so painfully build against her, against desire, fell on his head.
They were standing under a tree and impulsively kissed, her young breasts srabbing his chest. They kissed so hard his hat fell off. (pp. 141-142)

慎重、臆病
   恋愛を始めるときの大胆さに比べて、その関係が他の誰かにばれてしまいそうになった時や何か不安があるときのレビンはとても慎重である。自分の行いを後悔して、どのようにすれば最悪の事態を避けられるかを考えるが、慎重に行動しているつもりが空回りしてしまう。ラバーンとの関係が友人に見つかってしまった時は、彼女の気持ちを無視して町の誰にも見つからないように何時間も歩いて帰ったために、ラバーンに愛想を尽かされてしまう。ナダリーとの時も、愛情よりも誰かに二人の関係がばれることの恐怖がレビンに付きまとい、彼女にこれからもそのようなことが続くと思わせてはいけないと思っていた。彼女に成績のことで泣きつかれた時も、誰かに感づかれることを恐れて評価を変えることを渋っていた。レビンはキャスケディアでの生活が失敗に終わってしまうのだけは避けたいと思っていた。ポーリンとイーシェスターから離れた場所で密会していて、気が付いたら朝になってしまっていた時も、急いでいるあまりに車のスピードを出しすぎて警官につかまってしまう。

‘Look Laverne, I’m sorry about the way this has turned out. I didn’t plan it this way, I assure you, but we’d better do something sensible or we’ll both land in trouble. We’d better start out for town right now, before the moon comes up, if it’s going to, ot dawn beings to show. In the dark we have a chance.’ (p. 83)

Afterwards Levin sweated it out in his room. He had visions of disaster for all, particularly himself. Yes, she loved him, but she also loved Gilley and she loved the kids. If she had loved Levin as he loved her, she would already have made up her mind to leave Gilley. To go on as they had been, would prolong the torture and destroy what was left of the joy of love. (p. 251)

A 理想主義
    レビンは以前大酒のみであり、仕事もしないでお酒ばかりを飲み、墜落した生活を改善し、自分の人生を変えたいと思っていた。いつも過去の自分に悩まされているのを感じていて、二度と失敗するわけにはいけないと思っていた。新しい場所で過ごすことで刺激をもらい、新しい生活、人生をやり直すチャンスを得るため、にニューヨークという大都会を離れ、キャスケディアの田舎に大学教師として越してきた。また、レビンの父親は泥棒をやっていたような人だったので、彼と過ごした土地を離れることで、父親との思い出とも決別しようと考えたのだろう。それまでの人生とは違って、レビンは他の人から認められたいという理想を追い求めている。自分を偽って、自分の意思を押し殺してきた今までの人生をすべて変えたいと思っていた。

After a minute’s silence he went on, ‘In the past I cheated myself and killed my choices.’ Levin mopped his brow. ‘ Now that I can ?ah ?move again I hope to make better use of ?things.
‘That sums me up.’ He got up and began to walk back and forth in the room.
‘What better use?’ she ultimately asked. Her voice seemed diminished.
‘I’ve reclaimed an old ideal or two, ‘ Levin said awkwardly. ‘ They give a man his value if he stands for them.’ (p. 18)

現実主義 
   レビンがキャスケディアでの新しい生活に求めていた理想は、自分の専門分野である文科系の大学で文学を学生に教えることだった。しかし自分の理想を叶えることができると思ってやってきたイーシェスターの大学は、理工系の大学であることを知ったレビンは逃げ出したくなるほどのショックを受けた。彼は理工系の大学であるイーシェスターの大学と文科系の総合大学であるゲッティーズバーグ大学を間違えて認識していたことを後悔した。しかし、自分の理想とは違う環境でもきちんと大学教師としての生活を始められることを幸運だと思い、現実的に考えてそこで生活することを決めた。多くの大学に断られた後のことだったので、このチャンスを逃すといつ同じようなチャンスがやってくるか分からなかったからだ。

Holy mackerel, Levin thought. He had written to both Cascadia colleges and had probably confused the other, which had turned him down, with this.
I’m glad to be teaching here,’ he said. (pp. 29-30)

Wondering what Gilley would say if he knew his newly hired hand had been turned down, not only by the University at Gettysburg, but by at least fifty other colleges across the country, Levin felt a surge of gratitude to him for having given him, after so many failures and frustrations, an opportunity to begin his chosen career. (p. 30)

結論
   レビンは女性との関係において、簡単に結果が予測できる場合でも無謀で大胆な行動をとることが多い。後先のことを考えずに、その時の衝動や感情に流されてしまう。イーシェスターで独身で暮らしている寂しさがレビンをそうさせてしまうのかもしれない。しかし彼の衝動や感情というのは一時的なもので、女性との関係が他にばれそうになると一転して慎重、そして臆病になってしまう。それも、それまでの自分を偽って生きてきた墜落した人生からやっと抜け出して、掴んだ新しい生活を絶対に手放したくはないと考えたからだ。
また、レビンはロマンチストで理想を追い求める男性である。レビンは大学の教師として周りから認められて高く評価されることを望んでいた。また自分の専門としていた文学の講義を持つことを考えていた。その理想を叶えることができると思ってたどり着いた場所は、文学系ではなく理工系の学校だったにもかかわらず、喜んで働くと言ったのは、現実を受け入れて、自分の理想通りにはいかないことを知っているからである。


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