Seminar Paper 2011

Yurika Suzuki

First Created on February 3, 2012
Last revised on February 3, 2012

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Levinの多面性
秘められた性格

 A New Lifeの主人公、Levin。作品全体を通しての彼は暗く、ついていない男という印象が強かったが、物語のところどころでは様々な性格を覗かせている。最後に愛するPaulineを自分のものにできたのも、Levinの持つ多面的な性格、強い信念のおかげなのではないだろうか。Levinは唯の暗く、運のない男ではなく、自分の信念を持ち、新たな出会いや出来事の中で様々な側面を見せている人物なのではないだろうか。では、Levinは物語の中で実際どのような多面的な性格を読者に見せていただろうか。Levinの多面性という点に注目し、物語をもう一度振り返ってみる。

 まず初めにLevinが覗かせる側面は、照れ屋なところである。Pauline, Gilleyと出会い、車の中でPaulineに財布の中に家族の写真や恋人の写真が入っていないかと尋ねられた時、Levinは赤面して答えている。”Levin blushed. ‘No pictures, no sweetheart.’” (p.5)

 また、この直後、ジョークを交えた回答を付け加えて笑いをとる部分も見られ、ユーモアがあり、お茶目な性格も垣間見ることができる。”He said after a minute, ‘No wallet.’ They laughed, Pauline merrily, Gilley chuckling.” (p.5)

そして、Levin の教育に対する信念と言えば、Liberal Artsに熱いことである。静かでおとなしそうなLevinであるが、Liberal Artsに対しては人一倍熱い考えを持っており、それが原因でGilleyと対立する場面も見られる。

“ ‘‘The liberal arts feed our hearts,’ this old professor of mine used to say.’ Levin laughed self-consciously. ‘Don’t get me wrong.’ Gilley said patiently. ‘We do have lower-level liberal arts courses here, though not many or in much variety. Still and all, there are departments of English, art, religion, history, speech, philosophy, modern languages, et cetera, on the campus.’”(p.28)
 しかしながら、教育に対する考え方はGilleyと正反対であるが、Gilleyのアクティブでアウトドアが大好きな点に少し憧れを抱き、自分もやってみたいと考えるような場面も見受けられる。”He seriously considered taking up hunting and fishing, and planned to visit Seattle and San Francisco as soon as he had a few dollars in his pocket. (p.56) この場面からはLevinが少し流されやすい性格なのではないかということも考えることができる。そして、部屋を貸してくれているMrs. Beatyに対して少し羨ましく感じている場面も登場する。Mrs. Beaty が亡くなった夫の家具や道具をそのまま残し、庭の手入れをしながら過ごし、世界に対して反対することが何もないと時々発する姿をみて、独り身のLevinはそれを少し羨ましく思うのである。先ほどのGilleyの時もそうであったが、Levinは他人の生活を羨ましく感じてしまう性格なのかもしれないと考えられる。

 さらに、彼は空気が読める一面を物語のなかで見せている。それは、Gilleyを訪ねて家に向かった時のことである。あいにくGilleyは外出中で、代わりにそこにいたPaulineは紫色の闘牛士のような格好をしており、家の中は散らかっていて、自分は椅子にペンキを塗っているところだけれども、中に寄っていくかと尋ねられる。”’Whould you care to come in? The house is a mess, I’ve been painting chairs.’” (p.60) しかしLevinは、彼女の寄っていってほしくなさそうな動転具合を見て、その誘いを断るのである。”But he saw from her distraction she wished he wouldn’t. Levin said thanks and moved away. He said he would see Gerald in the office. (p.60) この場面から、Levinは鈍い男ではなく、人の気持ちをきちんと読み取ることのできる優しい人物であることがわかる。

 しかし、少々詮索好きな一面も見られる。初対面のBucketにDuffyについて尋ねるのである。BucketはDuffyについてliberalismの過激派であり、自分は個人的には差別的な言葉は使わないが、共産主義推進派だと聞いたことがある、程度にはぐらかして答えていたが、初対面の教授にいなくなったDuffyのことを聞いてしまう、Levinの少し大胆な一面がこの場面から読み取ることができる。”’I’m sort of curious about this Mr. Duffy you had around here the year before last. In short, could you tell me what he was like?’” (p.64)加えて、行動力のある人物であることもうかがえる。Gilleyを訪ね、Bucketを訪ね、さらにはFabrikant の家まで彼を訪ねに行くのである。結局彼は忙しいようで、それを邪魔したくないと代わりに外にいた女性と話をするが、CascadiaにやってきてからのLevinはとても行動力のある人物であるように感じる。

 また、アメリカ東海岸出身のLevinは、西海岸にやってきたことで田舎に対してロマンチックになっているといった、少し面白い側面も物語の中で見せている。それは、酒場でウエイトレスをしていたLaverneと納屋で激しく愛し合った場面である。

“He embraced Laverne and they kissed passionately. ‘Your breasts,’ he murmured, ‘smell like hey.’ ‘I always wash well,’ she said. ‘I mean it as a compliment.’” (p.81)
田舎に対する憧れから、おそらく納屋の干し草の匂いをよいものとし、褒め言葉としてLavernに送ったが、Lavernは自分が臭いのかと捉えてしまう場面である。Levinの少しずれたロマンチストな側面がうかがえる。さらに、彼は恋愛の未熟さからか、Lavernの自分のことを愛しているかという問いに対し、素直に体が好きだと答えるのである。 “’Do you love me any?’ Lavern whispered, lying beside him. ‘Your friend said he did.’ ‘I love your body. I love your breasts and grateful to be near them.’”(p.82)Levinの正直で恋愛に対する未熟さがストレートに表れている場面である。

 更に、Levinの少しずれたおっちょこちょいな側面は他の場面でも見ることができる。まず、初めての講義に彼は寝坊する。そして授業を早めに終わらせようと考えていると” DO NOT DISMISS YOUR CLASS BEFORE THE END OF THE HOUR” (p.89) の文字が目に入る。極め付けには生徒に笑われるが原因が分からず、チャイムが鳴った後でズボンのチャックを見てみると、それが開いていることに気づく。”Levin glanced down at his fly and it was, as it must be, all the way open.” (p.90) マンガに出てきそうなまでのおっちょこちょいなLevinの一面がこのシーンからわかるだろう。

 また、独り身のLevinにとって既婚者はとてもうらやましい存在であり、その感情が顕著に表れている場面が存在する。彼の同僚たちは愛想がよく、社交的で、見栄を張らず、教養深いが熱意を表に表さない人たちであった。おかげで誰とでも平等にコーヒールームに集まり、リラックスすることができたが、Levinは自分とFabrikant, Avis以外は既婚者であることに気づき、それを羨ましく思うのである。

”With the exception of Levin, CD Fabrikant, and Avis Fliss, everyone in the department was married. Some had been at fantastically young ages, and Levin envied them the years of loneliness they had escaped. There was much talk of domestic matters: kids, houses, the high cost of living. In self-defense a surprising number of men were expert at fixing any mechanical apparatus-cars, washing machines, flush toilets, hi-fi sets. (p.99)
 ここまでで既にLevinの多様な性格を垣間見ることができたが、この後も彼はさまざまな姿を読み手に見せていくのである。彼の多面性は恋愛によって更にその豊富さを増していき、物語が進むに連れて、Levinの恋愛は、彼の多面性を引き出す上で大きな役割を果たしている。先ほどのLavernとの関係は完全にLevinの性的欲求の表れであり、Lavernに恋をしたというよりは体や美しさに惹かれたという方が適当だろう。しかし、Levinのこういった性格は、徐々に変化していく。まず、Nadaleeと恋に落ちた時である。Cascadia Collegeは女子生徒とのデートや交際が禁止となっている。そこで彼は自分を抑制しようとする新たな一面を見せるのである。
“He tried various means of self-control: exhortation, rationalization, censorship, obfuscation. One trick was to think of the girl as his daughter. He was her old man and had watched her grow from a thing in dirty diapers. (p.138)
更にLevinはこの後、Paulineとの恋愛においてまた進化した側面をみせることとなるが、それはまた後ほど記述する。

 Levinの多面性はまだまだ存在する。続いては、彼の繊細さを表すシーンである。ある夜、Levinの象徴である髭が燃える夢を見る。Levinの髭は、彼がアメリカ西海岸に行き、New Lifeを始めようと決心した時に伸ばし始めた大事な髭である。新しい生活がPaulineとの関係により悪い方向に進んでいるのではないかといった不安がこういった夢となって現れたのではないかと考えると、Levinはとても繊細な性格も持ち合わせているのではなだろうか。

 更に、度胸。Gilleyが常に横にいることによって暗くて弱そうな印象のLevinであるが、物語の途中では度胸を表すシーンも登場する。先ほどのシーンで彼はPaulineとの関係が悪いものなのではないか、自分は本当にPaulineを愛しているのか、繊細に悩んでいたが、自分はPaulineを愛している、自分を偽るのはやめようと決意したLevinは、象徴である髭を自ら切り落とすのである。”When Levin arrived home, he snipped off his beard with scissors and shaved the rest.” (p.246)

 しかし、せっかく決意したLevinであったが、その章の最後にはPaulineの事をあきらめてしまう。“When he went to work on Monday morning, after his first desperate glance at Gerald, Levin knew Pauline had got in safely. Out of love he gave her up.” (p.251)ところが、これは決してLevinが気分でPaulineのことをあきらめたのではなく、先ほど述べた、Levinの恋愛における多面性の進化なのである。最初は女性の美しさや性的魅力に惹かれていたLevinが自分を抑制しようとする一面を見せ、ここでは更にGilleyとの関係をふまえ、Paulineのことを想ってあきらめるのである。相手のことを想って恋をあきらめるという、今までのLevinには見られなかった一面がここであらわれるのである。

 更には、愛するPaulineに対する怒りや絶望がくみ取れる場面も登場する。それは、AvisによってPaulineとDuffyの浮気を知ってしまった時のことである。彼の絶望はこのように表現されている。

”After a long, hopeless silence, Levin got up. Spring was gone, an interior army had murdered it with hammers.” (p.264) “He was as a man inadequate in the sense of being powerless to achieve the most meager happiness.” (p.265)
そしてついに、上司の立場にあるGilleyに対して反抗するという場面も見せるのである。
“Levin said, ‘He also said if you don’t remember the past you were condemned to relive it.’ He laughed his broken laugh, and Gilley, once more in a benign ambient, smiled. ‘What I thought I would suggest is this,’ he said. ‘Of course I’d still like to have your support-‘ he was gazing out of the window ‘-but if you can’t honestly give it to me, at least don’t vote against me.’ But Levin said he couldn’t do that. (p.291)
選挙で自分に票を入れてほしいというGilleyに対して、Levinは反抗的な姿勢を見せるのである。Gilleyに反抗したら自分の立場も危うく、仕事を続けることも難しくなるという場面で、LevinはGilleyのやり方に疑問を感じ、真正面から対立するのである。更に、New Yorkに戻れと言ってくるGilleyに対し、Levinは”’I’m here to stay.’” (p.310)と言って戦闘的な姿勢を見せるのである。今までのLevinに見られなかった、とても強気で、自分の考えを揺るがさない、強い意志を持ったLevinの姿を見ることができる。

 このように、A New Life におけるLevinは、最初に仮説を立てたとおり、実にさまざまな側面を読者に見せている。照れ屋、ユーモアがあり、お茶目、Liberal Artsに熱い、少し流されやすい、他人の生活を羨ましく感じてしまう、空気が読める、詮索好き、大胆、行動力のある人物、少しずれたロマンチスト、おっちょこちょい、自分を抑制しようとする、繊細、度胸、相手のことを想って恋をあきらめる、愛するPaulineに対する怒りや絶望、上司の立場にあるGilleyに対して反抗、強い意志…この論文に挙げた例だけでも19種類の感情や性格、側面を読者に見せている。このLevinの隠れた多面性、そして自分の考えを曲げないという強い意志が最後にはGilleyへの反対を貫きながらもPaulineと共に生活を送る結果へと至ったのではないだろうか。


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