言語文化概論
(5)人種・語族・民族
人種・語族・民族
人種:身体形質による生物学的区分
民族:言語や風俗・習慣などの
    文化(や宗教)の違いによる区分
語族:比較言語学的な
    言語の違いによる区分
人類の誕生
  そもそも、最初の人類は、およそ490万〜400万年前に東アフリカに出現したとされている。考古学や分子生物学の探究の成果を総合すれば、地球上最初の人類は約490万年前南アフリカに誕生したことが、今日確定しつつある(アウストラロピテクス群のなかのアファール猿人の発見)。
人種の形成
  最初の人類(猿人)から、原人、旧人類の段階を経て、現生人類(新人類)が出現する前後に、ヒトの集団の地域性がますます鮮明になり、やがて、4−5の人種が形成される。それは、10万年から3万年前の間に進行したのではないか。
気候の影響
  人種の分岐,形成に最も深い影響を及ぼしたのは気候的環境である。人種形成が、いかに気候条件に対する適応と深く関係するかは、たとえば、皮膚の色に顕著にみられるが、身長、体型や毛髪・眼の色から耳垢のタイプに至るまで、人種形質は気候条件と深い関係がある。10万〜3万年前頃に、人類は地球上の各地に移動・拡散し、少なくとも一万年前には、4−5つの人種が形成されたと見られる。
人種の分布
1.ヨーロッパ人種:
   コーカソイド(ユーロポイド)
2.アジア人種:モンゴロイド
3.アフリカ人種:
   コンゴイド(ネグロイド)およびカポイド
4.オセアニア人種:
   オーストラロイド(アウストラロイド)
言語の分類・類型による分類
  言語学では、言語の分類は類型と系統という2つの基準で行われる。
  類型的な分類とは、言語をある特徴ごとの類似点と相違点にしたがって類別するもので、同じ特徴をもつ言語は、その特徴については同じ類型に属することになる。
  たとえば、英語と中国語は異なっている点も多いが、語順については、主語−動詞−目的語という同じ語順の類型に属している。
系統による分類
  系統的な分類とは、言語を、その歴史的な発達を基準として語族に分類するものである。語族とは、共通の祖先に由来する諸言語のことをいう。
  たとえば、英語やドイツ語、フランス語などの言語は、すべてインド・ヨーロッパ語族とよばれる語族に属しており、これらの諸言語の祖先はインド・ヨーロッパ祖語といわれる。
  語族は、さらにいくつかの諸言語に下位区分される。語族の下位区分を語派とよぶ。


インド・ヨーロッパ語族
  ヨーロッパから西および南アジアの地域にかけてひろく話されている諸言語。
  東方系:インド語派・イラン語派
  西方系:ギリシャ語派・イタリック語派・
   ケルト語派・ゲルマン語派・
   スラブ語派・バルト語派
インド語派とイラン語派
  インド語派の諸言語は、パキスタン、インド北部、ネパールなど、南アジアの北部およびスリランカで話されている。この語派の言語としては、ヒンディー語、ウルドゥー語、ネパール語、シンハラ語(スリランカの主要言語)などがある。
  イラン語派の諸言語は、主として西南アジアで話されており、ペルシア語、パシュト語(アフガニスタンの言語)、クルド語などがある。

ゲルマン語派
 ヨーロッパ北西部では、ゲルマン語派が話されている。ゲルマン語派に属するのは、英語、ドイツ語、オランダ語、そしてデンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語などスカンジナビア諸言語などである。
ケルト諸語
  ウェールズ語やゲール語などのケルト諸語は、かつてはヨーロッパのひろい地域で話されていたのだが、現在では西の辺境地域で話されるだけになっている。
バルト語派
  バルト語派とスラブ語派の諸言語は近い関係にある。バルト語派の言語で現在でも話されているのは、リトアニア語とラトビア語の2つだけである。

スラブ語派
  スラブ語派は、ヨーロッパ中央部と東部でひろく話されている諸言語であり、ロシア語、ウクライナ語、ポーランド語、チェコ語、セルビア・クロアチア語、ブルガリア語などがこの語派に属している。

ギリシア語とアルバニア語
  バルカン半島では、ギリシア語とアルバニア語という、単独で一つの語派をつくっている2つの言語が話されている。さらに東のカフカス地方ではアルメニア語が話され、やはり単独で一つの語派をなしている。

イタリック語派
  フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ルーマニア語などのロマンス諸語はラテン語に由来する諸言語であるが、ラテン語はさらに、イタリアで話されていたイタリック語派に属している。この語派に属するほかの言語は、今では消滅している。
バスク語ほか
  ピレネー山脈で話されているバスク語は、どの語族にも属していない言語で、このような言語を「孤立言語」とよぶ。
  ヨーロッパ南東部とアジアの境界にあるカフカス山脈の地域では、昔からたくさんの言語が話されてきているが、その中にどの語族にも属していない2つの言語グループがある。ひとつは南カフカス諸語またはカルトベリ諸語とよばれるもので、グルジアで話されており、グルジア語がその代表である。もうひとつは北カフカス諸語で、アブハズ語、チェチェン語、アバール語などがある。
ウラル語族
  ヨーロッパで話されているもうひとつの主要語族として、ウラル語族がある。この語族は、ヨーロッパ北東部からアジア北西部にかけての地域で話されているが、ハンガリー語だけはヨーロッパの中央部で話されている。
  ウラル語族の諸言語の大部分は、フィン・ウゴル語派に属している。この語派の言語としては、ハンガリー語、フィンランド語、エストニア語、サーミ語(→ サーミ)などがある。
ドラビダ語族と
アウストロアジア語族
  南アジアには、インド・ヨーロッパ語族に属するインド語派の諸言語以外に、2つの主要語族がある。ドラビダ語族は南インドの主要言語で、タミル語やテルグ語がふくまれる。アウストロアジア語族は、南インドおよび東南アジアのひろい地域で話されており、ムンダ諸語、クメール語(カンボジア語)、ベトナム語などがふくまれる。
アルタイ語族
  アジア中央部、北部、東部の多くの言語は、という一つの語族に属すると考える言語学者が多いが、チュルク諸語、ツングース諸語、モンゴル諸語はこれとは別の独立した語族だと考える学者もいる。はこれとは別の独立した語族だと考える学者もいる。
  南アジアには、ほかにブルシャスキー語という孤立言語があり、パキスタン北部の辺境で話されている。
  アジア北部には、チュクチ・カムチャツカ諸語をはじめとする話し手の数の少ない諸言語があり、旧シベリア諸語とよばれるが、この名称は地理的なもので、系統的なものではない。

チュルク諸語、ツングース諸語、モンゴル諸語
  チュルク諸語には、トルコ語のほか、ウズベク語、タタール語など、かつてのソビエト連邦のたくさんの言語がふくまれる。
  ツングース諸語は、シベリアや中国東北部で少数の人々によって話されており、ほぼ消滅したと考えられている満州語がこれに属する。
  モンゴル諸語の主要言語はモンゴル語である。朝鮮語と日本語をアルタイ諸語にふくめるか、孤立言語とみなすかについては議論がある。

シナ・チベット語族
  中国からヒマラヤ山脈、東南アジアの一部にかけてのひろい地域で話されている、この語族の主要言語は、中国語、チベット語、ビルマ語である。
タイ語族
  東南アジアには、タイ語族という重要な語族がある。この語族はタイ、ラオスおよび中国で話されており、タイ語がここに属する。ミャオ・ヤオ諸語は、中国南部および東南アジア北部の孤立した地域で話されている。
アウストロネシア語族
  アウストロネシア語族の諸言語は、マレー半島および西はマダガスカルから東はイースター島にまでまたがるインド洋・太平洋の大部分の島々で話されている。
  オセアニア語派:ポリネシア諸語・ミクロネシア諸語
  インドネシア語派:マレー(インドネシア)語・フィリピン諸語、ジャワ語、ハワイ語、マオリ語など
  高山諸語(台湾先住民「高砂族」

パプア諸語
  約60もの語族から構成されている。オーストラリア先住民の諸言語もアウストロネシア諸語とは別の系統だが、一つの語族にまとめられるのかどうかについては議論がある。

アフロ・アジア語族
  セム語族:アラビア語、ヘブライ語、アムハラ語をはじめとるすエチオピアやエリトリアの諸言語である。
  チャド諸語:主としてナイジェリア北部とその周辺で話されており、ハウサ語がふくまれる。ハウサ語は、スワヒリ語とならんで、サハラ以南のアフリカでもっともひろく使用されている言語である。
  アフロ・アジア語族には、このほか、ベルベル諸語、クシ諸語、エジプト語などがふくまれる。
ほかのアフリカの語族
  ニジェール・コンゴ語族:サハラ以南のアフリカの大部分の地域で話されており、西アフリカのヨルバ語やフラニ語、東および南アフリカのスワヒリ語やズールー語などのバントゥー諸語がある  ナイル・サハラ語族:主として東アフリカで話されており、ケニアやタンザニアのマサイの人々によってもちいられるマサイ語が有名である。
  コイサン語族:アフリカの南西端の地域で話されており、ホッテントット語がふくまれる。

アメリカ大陸の諸言語
  エスキモー・アレウト語族は、シベリア東端からアリューシャン列島、アラスカ州、カナダ北部をへてグリーンランドにわたる地域で話されている。
  ナ・デネ語族は、北アメリカ大陸北西部のひろい地域で話されており、その主要語派はアサバスカ諸語である。
  アサバスカ諸語は、アメリカ合衆国の南西部でも話されており、ナバホ語がふくまれる。
  アルゴンキン語族とイロコイ語族は北アメリカ北東部の主要な現地語であり、スー語族は北アメリカ中央部の主要語族である。
アメリカ先住民の言語
  ユト・アステカ語族の諸言語は、アメリカ合衆国の南西部から中央アメリカにかけての地域で話されており、アステカ文明の人々およびその子孫の言語であるナワトル語がある。
  マヤ諸語は、主としてメキシコ南部とグアテマラで話されている。南アメリカ大陸の主要語族は、北部ではカリブ語族、アラワク語族、東部ではマクロジェー語族、トゥピ語族である。パラグアイの国語であるグアラニー語は、トゥピ語族の主要言語である。
  アンデス山脈の地域の主要言語はケチュア語族とアイマラ語族であるが、これらの言語の系統はよくわかっていない。
日本語の方言?
リクエストアワー
おわり
学んだことをレポートに!また来週!!!