
「スペイン語を勉強してなんになるの?」と思っているあなた、読んでください。
◆スペイン語が話されている地域と人口
◆スペイン語の特徴
◆獨協大学生にとってのスペイン語
スペイン語は約20カ国で公用語として使われ、2億人以上の人々の母語です。これは中国語、英語に次いで世界で三番目の数です。スペイン語が話されている地域は、通常思い浮かぶスペインとラテンアメリカ(ブラジルはポルトガル語です)ばかりではありません。
米国では約2000万人がスペイン語を母語としているといわれ、その数は近年増加の傾向にあります。米国でのホームステイ体験を心待ちにしていた日本人留学生の滞在先がスペイン語を話す家庭だったということも、しばしばあります。忘れてはならないのは、プエルトリコの場合です。スペイン語が話されているプエルトリコは米国の自由連合州で、住民は米国の市民権をもっています。その点で米国の一部だといえます。プエルトリコがどこにあるかわかりますか?
アフリカの西海岸の一部でもスペイン語が話されています。モロッコの南に位置する西サハラは1976年までスペイン領でした。独立後モロッコが領有権を主張し、いまだ解決をみていません。西サハラの人々は、共通語としてのスペイン語・アラビア語、そしてベルベル語などの民族語を話します。
フィリピンも長い間スペイン領でしたので、スペイン語を母語にする人々がいます。フィリピンという名はスペイン国王フェリーぺ2世からとられました。英語でフィリピン人は男性がFilipino, 女性がFilipinaです(英語の辞書で調べてみましょう)が、これはまさしくスペイン語がもとになっています。フィリピンの独立宣言やホセ・リサルディの国民的文学はスペイン語で書かれました。
このほか、カリブ海域の国々でもスペイン語が話されています。日本のプロ野球選手にドミニカ共和国出身の人がいますが、スペイン語を話します。
発音:英語と比較した場合、一般的にいって、日本人にとってスペイン語の発音は簡単です。もちろん同じではありませんが、スペイン語も母音が五つしかないからです。多くの場合、日本人のスペイン語はスペイン語として聞き取ってもらえます。ですから、自信を持ってはっきりと話せば、はじめから聞き取ってもらうことができます。
文法:フランス語やイタリア語と同じロマンス語系に属します。ローマ帝国の言語でしたが、それぞれの支配地域に定着しました。英語との大きな違いは、動詞が主語と時制などにあわせてすべて変化することです。英語のbe動詞の変化を思い出してくれれば、感じがわかると思います。また、主語の人称にあわせて動詞が変化するので、主語を省略することが一般的におこなわれます。この点も英語やフランス語との違いです。動詞の変化表をみると大変に思えてきますが、なれれば大丈夫です。そして少々の間違いは気にしないで、堂々と話してみましょう。
そのほかの文法は、英語と多くの共通点があります。決して同じではありませんが、英語の文法の知識があれば、入門段階では問題ありません。
単語:基本的語彙は、英語と大きく違います。しかし、比較的高度な語彙や専門用語は英語から類推できます。英語の単語には多くのフランス起源のものがあるからです。ですから、小説を読むのは一苦労ですが、英語既習者がスペイン語の社会科学的論文を読むことは単語レベルでみれば比較的容易です。
- 言語文化学科学生:中国語かスペイン語を選択できます。週4コマがスペイン語にあてらています。英語は既習ですので、私たち教師は第一外国語として教える意気込みです。しかし、スペイン語学科ではないので、スペイン語の専門家を養成するわけではありません。たとえば、日本語教師としてペルーへいって日本語を教える、新聞記者になってラテンアメリカやスペインで取材するといったときの手段としてのスペイン語力を身につけてもらおうと思っています。中国語の場合、日本との歴史的、地理的関係から、日常的に接するチャンスがあり、その点で学習への刺激が存在します。たとえば、獨協にも百人以上の中国語をはなす留学生がいます。しかし、スペイン語の場合、意識的に学習の動機付けを追求しなければなりません。中国語以上に積極的な学習姿勢が必要です。
- 外国語学部生(英語学科、ドイツ語学科、フランス語学科)へ:もう一つの外国語を知ることは、それだけで世界が広がりますが、特に外国語を専門に勉強している学生は、自分の専攻語を客観的に多角的に知るのに役立ちます。たとえば、英語の単語はフランス起源のものも多くありますから、スペイン語やフランス語を知ることは、英語の学習にも役立ちます。
英語学科の学生にとってのスペイン語は、米国におけるスペイン語の位置を考えれば重要性は明らかです。また、英語を使っているアジア諸国に興味を持っている人は、同じような経済的位置にあるラテンアメリカを知るきっかけになると思います。
フランス語学科とドイツ語学科の学生にとってのスペイン語は、EC時代の総合的ヨーロッパ理解を助けてくれるものになるでしょう。ヨーロッパ人は何カ国語もはなせるのが普通だと言いますが、もう一つのヨーロッパ語を知れば、あなたもマルチリンガルへ一歩近づけます。第三外国語で是非挑戦してみましょう。
- 経済学部生へ:経済学部にはラテンアメリカを研究対象にしている先生方がいます。スペイン語文献を読めるようになれば、ラテンアメリカの経済や環境問題などを現地の視点からみることができるようになります。開発途上の地域に関心をもっている人は、社会科学の文献がスペイン語でよめるようになると、それだけで視野が広がるでしょう。
- 法学部生へ:今年度入学生から、第二外国語でスペイン語が履修できるようになりました。米国の国際関係や政治体制論に興味をもっている学生は、取るとよいでしょう。また、外国語学部の第三外国語でスペイン語や中国語にチャレンジすることもできます。たとえば、権威主義体制論はスペインやラテンアメリカの政治体制を分析するときかならず知っておかなければならないものですが、研究のためにスペイン語を知ると、一層研究を豊かにできます。