バーナード・マラマッドの処女作:
"Benefit Performance"と "The First Seven Years"
島田啓一
註
1)
"The Place is Different Now", American Preface, 8 (Spring, 1943), 230-242. "Steady Customer", New Threshold, 1 (August, 1943), 14, 15, 33. "The Literary Life of Laban Goldman", Assembly, 1 (November, 1943), 24-27. "Steady Customer"を除き、いずれもBernard Malamud, The People and Uncollected Stories (New York: Farrar Straus Giroux, 1989)に所収されている。
2)
Robert GirouxはThe People and Uncollected StoriesのIntroductionで "The Cost of Living"がMalamudの最初の原稿料をもらった作品であることを明らかにしている。 "Also in 1949, Harper's Bazaar bought the first story for which he [Malamud] was paid, "The Cost of Living."(p. x)
3)
The AssistantのMorris Boberが耳の病気で亡くした一人息子の名前もEphraimであった。
4)
Bernard Malamud, "Benefit Performance" Threshold, 3, no. 3(February, 1943), 20.
5)
Ibid., p. 22.
6)
Ibid., p. 22.
7)
Ibid., p. 22.
8)
Ibid., p. 21.
9)
Ibid., p. 22.
10)
Oregon State UniversityのWillard Potts教授所有のこの朗読会を録音したカセットテープによる。Potts教授の好意により筆者もそのコピーを所有。
11)
筆者がCorvallisに滞在中に出会ったかって同僚であり終生マラマッドと親交のあったOregon State Universityの名誉教授Chester Garrison氏らの談話による。
12)
Bernard Malamud, "The First Seven Years" Partisan Review, 17, no. 7 (September-October, 1950), 661. この短編は前述したようにThe Magic Barrelの巻頭短編小説でもあり、またThe Stories of Bernard Malamudの2番目の短編として収録されているが、"Benefit Performance"を発表後7年間でマラマッドが作家としていかに成熟したかを考察することは本稿の趣旨の一部なので、あえて初出のPartisan Reviewから引用する。もっとも、テキストはほとんど同じであるが、ごく一部、短編集に収録されたものと差異のある箇所があり、注で後述する。
13)
Ibid., p. 662.
14)
このイディッシュ語の単語はPartisan Reviewのテキストでは外国語扱いでlandsmanとイタリックになっているが、The Magic BarrelとThe Stories of Bernard Malamudの両方ともイタリックになっていない。
15)
The AssistantのMorris Boberの食料品店にFrank Alpineが住み着くプロットの原型がここにある。後述するがFrankがMorrisの娘Helenを見初めたように、Sobelも14歳の少女Miriamを見初めたのである。
16)
Ibid., pp. 664-65. 最後の "thereon"は他のテキストではon themとなっている。
17)
Ibid., p. 668. 引用の3行目は他のテキストでは "He has no soul. He's only interested in things."となっている。Partisan Reviewのテキストと他のテキストとが最も違う箇所である。後述するが、この作品のテーマを考える上で最も重要なこのやりとりを、テーマをより明確化するために作者自身が後から改変したものと思われる。
18)
Ibid., p. 668. 最後の "brand new"は他のテキストではbrandが削除され、 "...looked better than new." となっている。
19)
Ibid., p. 668.
20)
Ibid., p. 669. 最後の "my own son"は他のテキストではownが削除され、 "...like you was my son." となっている。
21)
Ibid., p. 670. Jewish humorとは長年に渡り祖国を持たないユダヤ人達が辛苦をなめ苦境に立たされたとき、民族のidentityをかたくなに守ろうとする自分たちを笑い飛ばす泣き笑いのhumorと定義できるが、Feldがこの言葉を言った態度と共通性があるように思われる。
22)
Ibid., p. 670.
23)
Ibid., p. 670.
24)
Ibid., p. 670. 引用の3行目の "Feld sighed brokenly."は他のテキストではsighedがsaidと変わり "Feld said brokenly."となっている。
25)
岩本巌, 『マラマッド:芸術と生活を求めて』(冬樹社, 1979), pp. 60-62.
26)
Ibid., p. 62.
27)
ちなみにこの作品はCleanth Brooksを始めとするNew Criticismの大御所達が大学のsurvey course向きに編集したアンソロジー Cleanth Brooks, R.W.B.Lewis, Robert Penn Warren, ed., American Literature: The Makers and Making (New York: St. Martin's Press, 1974)にマラマッドの代表作として所収されている。
28)
"The First Seven Years", p. 664.
29)
Columbia University Libraries, Rare Book & Manuscript Library, MS Coll: Trilling, 10267(1979). この図書館のTrilling CollectionにはマラマッドとLionel Trillingの8点の往復書簡とTrillingがGuggenheimに宛てた1958年3月3日付けの推薦状のコピーが保存されている。
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