Seminar Paper 2009
Satoshi Fujimori
First Created on January 29, 2010
Last revised on January 29, 2010
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The Great Gatsby におけるMoneyの意義
Moneyは人の本性をさらけ出す
このGreat Gatsbyという作品ではGatsbyがお金持ちという点が大変多く描かれている。James Gatzはもともと農家の息子であり貧しく、そのことを嫌がった彼はずっと生まれた環境に対しコンプレックスを抱いていた。そのため彼は人一倍Moneyには強い執着があったのではないかと考えられる。この物語は彼のMoneyへの執着が重要な要素だと考えMoneyに関して考えてみたいと思う。 この物語において、それぞれの登場人物とMoneyには違った関係性や価値観がうかがえる。まずはGatsbyとMoneyの関係性である。Gatsbyは最初、Moneyが自分を変えてくれるものであり、Moneyを得ることを目標としていた。少年時代のGatsbyはただひたすら成功しMoneyを得ることを考え、自分自身もMoneyを得るにふさわしい人間になろうと努力を重ねていたように見受けられる。それは物語の中でGatsbyの父親がGatsbyの死後ニックにGatsbyが子供のころ持っていた本を見せてくれた時、裏表紙にスケジュールと書いてあり、 Rise from bed・・・・・・・・・・・・・6:00 A.MNo wasting time at Shafters or [a name , indecipherable] No more smoking or chewing. Bath every other day. Read one improving book or magazine per week. Save $5.00[crossed out]$3.00 per week. Be better to parents. (p180) と書かれている。これを見て、Gatsbyはただ教養を身につけるだけでなく、振る舞いなども上品にしようという努力のあとが感じられる。このMoneyへの強い執着は年が経つにつれ彼の中でより大きくなっていった。しかしDaisyとの出会いでGatsbyの中のMoneyに対する執着はDaisyへの執着へと変わった。彼のDaisyへの執着は相当なものであった。物語の中でBakerは ”Gatsby bought that house so that Daisy would be just across the way.” (p85) や “He wants to know,” continued Jordan, “if you’ll invite Daisy to your house some afternoon and then let him come over.” (p85) と言っているようにGatsbyはただDaisyにちらっと会えるかもしれないという淡い期待をこめて、わき目も振らず5年間彼女を思い続け、大変豪華な屋敷を買い、見ず知らずの人たちのためにパーティーを開いていたのである。この執着は異常とも言える程ではないかと思う。GatsbyはDaisyとニックの家で5年振りの再会を果たした時は、長い間待ち続けたため不安が大きく、落ち着きがなかったがDaisyに真実を話すとGatsbyは自信を取り戻しまた普段どおり堂々と振舞うようになった。きっとGatsbyは長く待ち続けて空いた空白の5年間への不安以上に自分の今のMoneyへの自信が上回ったのではないかと考える。GatsbyのMoneyへの自信を象徴する場面としてTomとDaisyとNickとGatsbyとBakerで出かけた際にホテルで “She’s never loved you. She loves me.”(p137) と言ったり、 “She only married you because I was poor and she was tired of waiting for me. It was a terrible mistake, but in her heart she never loved any one except me!”(p137) と言っている場面が挙げられる。Money さえあればDaisyを自分のものに出来ると考えている様子がうかがえる。さらにGatsbyの家で開かれているパーティーにTomとDaisyを招いたのもMoneyによる人脈の広さをひけらかし、Daisyの気を惹く狙いもあったと感じられる。 なぜGatsbyはDaisyに対してここまでの執着心を抱いているのだろうか。それはGatsbyが生まれて初めて知った”nice girl”だったからではないだろうか。生まれが貧しくコンプレックスを持った彼がDaisyと接することで自分を偽ることに夢中になりDaisyと結婚出来れば良家の一員となれると考えていたのかも知れない。しかし最終的にはそんな気持ちよりただ単にDaisyを愛しておりMoneyの力で我が物にしようという気持ちになっていった。 17才の時を始まりとしGatsbyにとって人生の転機ともいえる出来事が起こった。まず彼は生まれに強いコンプレックスを持っていたので両親にもらった名前が気に入らず名前を変えた。 His parents were shiftless and unsuccessful farm people-his imagination had never really accepted them as his parents at all. The truth was that Jay Gatsby of West Egg, Long Island, sprang from his Platonic conception of himself. He was a son of God- a phrase which, if it means anything, means just that- and he must be about His Father’s business, the service of a vast, vulgar, and meretricious beauty. So he invented just the sort of Jay Gatsby that a seventeen year-old boy would be likely to invent, and to this conception he was faithful to the end. (p105)このGatsbyの考えは様子がおかしい。強い執着は彼を変えてしまった。この文章より彼の生まれへのコンプレックスと自分をより崇高なものだと考えていることがうかがえる。そして彼はこの後Dan Codyという人物に出会う。彼は金属資源の採掘で巨万の富を気づいた人物であり、Gatsby はCodyに気に入られ、CodyはだんだんとGatsbyを頼るようになり、結局Codyの死後遺産はGatsbyに引き継がれた。これによりGatsbyは一瞬のうちに夢見ていたMoneyを手に入れた。 しかしこれは実際はウソであり、本当は違法な事をして大金を得て大金持ちになった。ニックにこういったウソをついたのも全てはDaisyに幻滅されたくないというDaisyへの執着心からであるように見受けられる。 そしてそのDaisyへの思いをTomは快く思わず、DaisyがMyrtleをひき殺してしまった事件を通じてWilsonにGatsbyがMyrtleをひき殺したんだとウソを教えGatsbyを殺させるという結末にたどり着いた。Gatsbyが死んでも、生前パーティーを開いたときにはあれだけ集まっていた人も葬式には誰も来なかった。みんなGatsbyのMoneyを目当てに群がっていただけで結局心の底からGatsbyを慕っている人などいなかった。 次にDaisyとMoneyの関係性についてである。物語の回想シーンにもあるようにDaisyは5年前は確かにGatsbyを愛していた。しかし離れ離れになり時が経ち、寂しい思いなどから結局はMoneyを持ったTomに惹かれ結婚してしまう。しかしTomは浮気をしておりそれに気づきながらもDaisyはTomのMoney目当てで離婚せず我慢して平然を装って生活していた。NickがGatsbyの名前を出したときに、それに食い付きファーストネームは?と興味を示した部分より彼女の心のどこかにはGatsbyがいて、不満を抱いている今の結婚生活を放棄してしまいたいと思ったのではないかと感じる。DaisyはGatsbyの家を訪れた際も彼の家のあらゆるものに感動し、時には涙を流した。そしてDaisyがGatsbyの屋敷を訪問した後からDaisyとGatsbyの距離は縮まり、またDaisyはTomから離れていたように見受けられる。きっとGatsbyに対してDaisyは100パーセントMoneyが目的ではないにしろ、彼の想像を超えるMoneyに惹かれていった部分も多いと思われる。Myrtleを轢き殺してしまった後、DaisyはTomに説得され罪を被るのを恐れて全ての責任をGatsbyに押し付け逃亡してしまう。さらに自分のせいでGatsbyが死んでしまった後もDaisyは何の連絡もよこさなかった。Moneyが目的でなく本当に愛していたならDaisyはこんな行動を取らないだろう。やはりDaisyもGatsbyのMoney目当てで寄って来ていたパーティーの面々と大差なかったということである。 Tomを始めとし、他の登場人物もMoneyと何らかの関係性を持っていたが、それぞれの登場人物に共通してMoneyをめぐって、人間の汚い部分が見え隠れしている。Moneyというものは人間を想像を超える冷酷さを持たせるものであると感じられた。Moneyに執着しすぎることへの警告をこの物語を通じて作者が伝えたかったのではないだろうか。 |
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