Seminar Paper 2009
Kazumi Kon
First Created on January 29, 2010
Last revised on January 29, 2010
Back to: Seminar Paper Home
The Great Gatsby と女性たち
女性たちが導く、結末
The Great Gatsbyは、語り手NickがGatsbyに出会う前からの出来事について書かれたものであるが、NickとGatsbyを取り巻く人々は、Gatsbyの生き方や成り行きに欠かせない人物であり、女性に着目してみるのも面白い。Gatsbyの成り行きを見ると、女性たちの自分勝手なところがうかがえないだろうか。それは結末を突然迎えたのではなく、彼女たちの、自分を第一に頭の中では考えている、という行動があらゆるところから見えてこないだろうか。
登場する女性たちを分析して、周りの人や物語にどのような影響を与えているか考えてみることにする。
しかしいつでもそんなわけではない。特に浮気をしているTomに対しては、自分が不愉快な思いをしたときに、それを出している。“‘You’re revolting,’ said Daisy. She turned to me, and her voice, dropping an octave lower, filled the room with thrilling scorn:’”(p. 138) のように、美しいいつもの声とは裏腹である。このオクターブ低い声は、TomがGatsbyに言い聞かせた、Daisyをいつだって愛している、という発言をしたときにも見せている。
“‘You see I think everything’s terrible anyhow,’ she went on in a convinced way. ‘Everybody thinks so--the most advanced people. And I know. I’ve been everywhere and seen everything and done everything.’‘Sophisticated--God, I’m sophisticated!’”(p. 24)やはり自分を他の人とは違うところにおき、同情を誘うかのようである。Daisyのこの発言について、Nickも次のように冷静に分析している。“‘I felt the basic insincerity of what she had said. It made me uneasy, as though the hole evening had been a trick of some sort to exact a contributory emotion from me.’”(p. 24) Daisyは自分の利益を考えているようだ。 DaisyといえばGatsbyとのからみも、この小説の成り行きには見落とせない部分である。DaisyとGatsbyが再会してからの、DaisyのGatsbyに対する振る舞いを見てみる。
“and every vestige of embarrassment was gone. Daisy’s face was smeared with tears, and when I came in she jumped up and began wiping at it with her handkerchief before a mirror. But there was a change in Gatsby that was simply confounding. He literally glowed;”(p. 96)何があったのか詳しいことは書かれていないが、GatsbyはDaisyの気持ちを確認したかっただろうし、Daisyの涙にも嬉しいという気持ちは少しでも入っているだろう。この場面で、2人が会っていなかった5年間は気持ちの面でかなり埋まったのではないか。そしてこれを機に、DaisyはTomたちの前でもGatsbyと親しげなところをみせていき、これが話の展開を加速させているのではと思う。“As he left the room again she got up and went over to Gatsby and pulled his face down, kissing him on the mouth. ‘You know I love you,’ she murmured.”(p. 122) 人前で、夫ではない人とキスをすることに恥じらいもなく、自分の気持ちだけを優先に行動しているといえる。そしてこの行動はGatsbyのDaisyへの好きという思いを加速させるだけでなく、結婚したいとますます思わせているのではないだろうか。 みんなで街まで車で行こうとなったときも、Daisyを車に乗せようとするTomに逆らって、“‘You take Nick and Jordan. We’ll follow you in the coupe.’She walked close to Gatsby, touching his coat with her hand.”(p. 127) と、私はGatsbyの見方、彼と2人でドライブしたいの、とTomを不快にさせ、Gatsbyを喜ばせるという、良くない方向に進んでいるが、そんなことは考えておらず、きっと自分の気分での行動なのだろう。 次にMyrtleを見てみる。Tomとニューヨークの家に行く場面。“Throwing a regal homecoming glance around the neighbourhood, Mrs Wilson gathered up her dog and her other purchases, and went haughtily in.”(p. 34) と、自分を誇らしげにしていて、このあと家にMcKee夫妻も呼ぶことから、Tomとの時間をみんなの中心で輝いていたいというようにも見える。この振る舞い方も、まるでTomが本当の夫であるかのようである。またこのとき集まったMrs McKeeとの会話でも、自分の結婚は間違いだったと話している。
ここでJordanについても触れておくことにする。JordanについてはNickの見解が書かれている。 “Jordan Baker instinctively avoided clever, shrewd men, and now I saw that this was because she felt safer on a plane where any divergence from a code would be thought impossible. She was incurably dishonest. She wasn’t able to endure being at a disadvantage and, given this unwillingness, I suppose she had began dealing in subterfuges when she was very young in order to keep that cool, insolent smile turned to the world and yet satisfy the demands of her hard, jaunty body.”(pp. 64-65)彼女はプライバシーを必要としていて、世間向けに作られた顔を持っている。本心は言わず、言葉に心がこもっていない。また車の運転が荒いが、他の人が注意してくれるから大丈夫と言い張る。自分は自分、他人にはあまり干渉せず、愛想もほとんど見せない。Nickは恋心という面で少なからずJordanに振り回されていたことはないだろうか、たとえこのようにJordanのことを分析できていても。 さて、The Great Gatsbyの終盤を、彼女たちと関連させて考えてみよう。
Jordanも同様に、Gatsbyの葬式には姿を見せず、いろんな所を転々としていた。そしてNickに電話で軽くあしらわれたことを理由に、他の人と婚約したのだ。Nickが自分を捨てたのだとも主張している。Nickと恋人同士のように仲良くしていたことに関しては、“it was careless of me to make such a wrong guess.”(pp. 184-185) と、とってつけたようなセリフを残している。Jordanも結局のところ、Nickがそこにいたから、というような感じがするし、最後は自分にとって都合の良い方向へ行ってしまい、それまでのことはなんでもなかったかのように片付けられてしまっている。 以上のことからThe Great Gatsbyの展開や結末には女性たちが大きく関わっていて、それは女性たち、つまり、それぞれの自我や、身勝手さ、念頭には自分、という性格によって導かれたということである。Gatsbyの結婚するという考え、TomとGatsbyの口げんか、Myrtleの死、NickとJordanの仲、Nickの元を去るJordan、Gatsbyの死、これらも女性が導いたことと言っても過言ではないのではないだろうか。女性たちがこの小説の展開や結末を、すべてではないが、作り上げたと考えると、とても恐ろしい小説である。そう考えて読み直してみると、いろんなところの細部が見えてきて読み方も少し変わってくるものだ。 |
Back to: Seminar Paper Home