Seminar Paper 2011
Takashi Kosuge
First Created on February 3, 2012
Last revised on February 3, 2012
Back to: Seminar Paper Home
Levinの多面性
本当の自分
この論文ではBernerd Maramadが著したA New Lifeの主人公であるLevinの多面的な性格、特徴について考察する。具体的にその性格というのは大胆、理想主義者、臆病、そして不運という四点であり、これらの妥当性を示す。 第一に大胆という点について考察したい。Levinの大胆さは結末を恐れず行動できることである。3人のオフィスに無断で入るという点、大学に関係する女性との交際、そしてPaulineの子供の親権の選択という3点で証明される。 最初にオフィスに無断侵入したという点について考察する。一回目はLevinがBullockの部屋に入り、秋学期に使ってほしいと彼に頼まれた本を置こうとBullockの部屋を訪れたときである。そこで彼が偶然見つけたのは、生徒が受けてはいけない授業のリストであった。そして彼は次のような行動を取った。“After reading twice and finding himself in a state of high excitement, Levin shut the door and studied the names on the paper, at the same time trying to think what he would say if Bullock walked in.” (p. 277) 結局彼はこのコピーを破るが、またBullockの部屋に侵入しリストを図書館でコピーしてしまう。このリストの存在を知らないはずのLevinであるが、Bullockの部屋に侵入した可能性がばれるのを恐れず、リストの存在を他の先生に言いふらしてしまうという大胆な行為もしている。二回目はAvisの部屋への侵入である。“He listened to her crooked heels clacking down the stairs, gave himself seven minutes, then let himself into her office. Her desk drawer was locked but he pried it open with a screw driver he had got in Marv Beal’s closet.” (p. 320) 彼の部屋にAvisが侵入したことを確かめるために彼女の部屋に侵入した。最後にLevinはGilleyの部屋にも侵入している。Gilleyの部屋のドアが半開きというチャンスを見つけ、侵入し机の引き出しの中で自分の個人資料が入ったファイルとLeo Duffyのファイルを探した。これらの侵入は明るみに出れば職を失う可能性があり、結末を恐れない大胆な行為である。 次に、LevinはAvis、Nadalee、Paulineと大学関係者と肉体関係、またはそれに準ずる関係になった。NadaleeとPaulineに至っては自らが教えている授業の受講学生、自分に職を与えてくれて面倒を見てくれている上司の妻である。その関係が公になったら道徳的理由で解雇される可能性があるにも関わらず、そういう関係をもってしまうことは大胆な行為であるといえる。 最後の大胆さの証拠として、Gilleyに子供と職の二択を迫られたときに子供を選んだことがある。Paulineに子供の親権の奪還をLevinは迫られた。彼はGilleyの部屋に直談判しに行く。そして突きつけられた親権の条件は大学で教えることをあきらめることであった。仕方なくLevinはその条件を受け入れるがそのあとにGilleyがこう発言している。“An older woman than yourself and not dependable, plus two adopted kids, no choice of yours, no job or promise of one, and other assorted headaches. Why take that load on yourself?” (p. 360) この発言はLevinの環境を的確に表している。教師生活をあきらめて子供を得ても、その先の生活は不安定であり、Paulineは浮気を2度した過去を持ち、彼が知らない部分を持っている女性である。親権を受け入れること引き換えに、悲願であった大学での教師生活をあきらめることはLevinにとって不公平である。それなのに”Because I can, you son of a bitch.”(P. 360)と捨てゼリフを吐いてしまう。この親権をとるという行為はLevinの人生の中で最大の間違いでもあるかもしれない大胆な行為であるといえる。 次にLevinが理想主義者であることを論証する。 ここでの理想主義者とは、Levinが教育に関して堅い信念を持っており、時には周囲の人との不和を辞さない行動にでる性格であるということだ。無断でGilleyによる生徒の移転、大学教育への疑問、選挙への立候補の3点により理想主義者ということを示す。 ひとつは彼の生徒が無断でGilleyにクラスを変えられてしまった時である。彼は次のように反抗した。”Wouldn’t it-er-have been better of you had advised them to stay with me? Since the issue was the quality of their work, if you transfer them out of my classes, aren’t you really kicking my standards in the pants? Maybe you should have asked them to talk to me first?”(p. 166) またその後もGilleyが同じように生徒を移してた時も次のように反発した””Don’t you see,” Levin said, “you are destroying my authority?””(p.178) 幾度も上司であるGilleyの説明を聞いてもこのように納得せず、生徒の転移についての意見は最後まで曲げながった。 またLevinは自分が在籍する大学教育についても疑問を持っており、自分の意見を持っている。次の引用はLevinがBucketに彼の理想を打ち明けた時のものである。 ”The way the world is now,” Levin said, “I sometimes feel I’m engaged in a great irrelevancy, teaching people how to write who don’t know what to write. I can give them subjects but not subject matter. I worry I’m not teaching how to keep civilization from destroying itself.”The instructor laughed embarrassedly. ”Imagine that, Bucket, I know it sounds ridiculous, pretentious. I’m not particularly gifted-ordinary if the truth to be told- with a not very talented intellect, and how much good I would do, if any? Still, I have the strongest urge to say they must understand what humanism means or they won’t know when freedom no longer exists. And that they must either be the best ?masters of ideas and of themselves- or choose the best to lead them; in either case democracy wins. I have the strongest compulsion to be involved with such thoughts in the classroom, if you know what you mean. ” (p. 115)Levinが教授を務めている大学ではLiberal Artsは彼が思うほど求められていない。その後、彼の理想への想いは強くなった。 また彼は理想を実現するために、学部長の選挙に立候補した。既に選挙に出馬を噂されていたFabricantを当初支持していたが、彼のLeo Duffyへの対応や選挙への取り組みなど不信が募り、自ら選挙に出ることを決めた。 多少自分にその資格があるのか問う場面もあったが次のように述べている。 ”A hundred needed reforms-raising the department from mediocrity to excellence. And while at that, who knows if, working every which way, he mightn’t succeed in starting a campaign to bring back to Cascadia Liberal arts majors program? Eastchester would flower. One good thing led to another once somebody dared. Good institutions proliferate good deeds. They might, in town, build a concert hall and public forum, start an art gallery, theatre group, show foreign film, even open a bookstore that sold books. An enlightened Public opinion! Eastchester, Athens of the Northwest.”(pp. 315-16)このように彼が学部長になった後の世界を想像し、自らのモーチベーションを揚げる。自分の理想を追い求めた先には、改善された世界があると信じて選挙に立候補したのだ。 第三にLevinは臆病である。彼は今まで示したように大胆な行動、理想のための行動をする一方で、時に結末を恐れて怖気づく時や、不安に陥る一面もある。Lavernとの納屋での出来事、Paulineと関係をもった後のLevinの心境、そしてPaulineに会いたくないという頑なな意思によって彼の臆病を証明する。 ひとつはLavernというBarの店員と納屋で肉体関係を持ちそうになった時である。LevinのルームメイトであるSedakの干渉によりSexを中断してしまう。このときにLavernはSexを続けたがったがLevinは次のように思った。”If they escape freezing to death, suppose a cop stopped them in town? He could then kiss goodbye to his unbegun college teaching career. The thought gripped him by the hair.” (p. 82) 彼は警察に捕まり自分の大学生活が終わる可能性を恐れ、Sexを辞めるという選択をした。 自分の上司の妻のPaulineと不倫するという大学生活を危険にさらすことは可能なのに、同様なリスクをかけることはできない臆病だったのだ。 また彼はPaulineと関係を持った後も、臆病な性格を見せている。Paulineと関係をもった直後彼はこう思っている。 since he disliked him he wanted it to be for a just cause, to wit, Gilley, not because Levin had stolen from him- the primal cheating, result, oppressor hating oppressed. The thought that haunted him most was that the slightest revelation of the act under the tree would mean the worst disaster he could think of: end of future. (P.205)彼女と関係をもった時点で彼のキャリアは危険にさらされるのは自明のはずである。しかしこの後も意図的にGilleyを避けたりし、おびえる日々が続く。 Levinの臆病を示す行動の一つに、Paulineと別れを決意した後に会うのを避けたことを挙げられる。選挙に出馬を決意した後に、Paulineからメールが届いた。”I must see you-Please. Can you call me? Pauline.”(p. 324) それを読んだ後の彼に圧倒的な悲しさが流れた。彼はDuffyとPaulineの恋愛関係の疑惑を払拭できていないこと、苦しみながらも彼女を助けるために彼女を諦めたことを理由に、会わないことを決めた。 しかしこの会わないという行為は自分が傷つきたくないという理由もある。その後何度もPaulineからの会いたいというアプローチがあったにも関わらず、Levinは一切あわなかった。幾度もかかってくる電話に大家であるMrs.Beatyに、せめて彼女に直接話してほしいと言われても、”I’m in an election. I have my future to think of.”(p. 328) と発言している。 元彼女であるPaulineに接触したら、彼の選挙、キャリアに悪影響があると考えている。またその後PaulineがLevinの部屋を訪ねてきた時、こう発言した。”Does Gerald know you came here?”(p. 330) 元彼女が、何度も会いたいというアプローチを無視された後、雨の中久しぶりに訪ねてきた時の最初の言葉が、Gilleyがこのことを知っているかを問う質問である。これは何よりも先に自分の保身を考えているという臆病な性格であると言える。 また彼は悲運な男である。これはズボンに関する不運、大学への赴任、Paulineによる人生を変えられたことの3点で証明する。 第一に、Levinにはズボンに関係する運が無い。彼がCascadiaにつきGilleyの部屋でもてなしを受けているときに熱いポテトを膝に乗っかってしまいズボンを換えた後、Paulineの息子であるErikに尿をズボンにかけられてしまう。そして大学の授業では終始ズボンのフライを開けたまま講義をして生徒に笑われてしまった。 もうひとつの不運にCascadia大学への赴任がある。Levinは先述したようにArtsLiberalの重要性を強調する理想主義者である。だがFairChildが次のように発言している。 ”Our main function, as I always tell everyone we employ here, is to satisfy the needs of the professional schools on the campus with respect to written communication. In science and technology men must be taught to communicate with the strict accuracy, therefore we teach more composition than anything else in this department. Our literature offerings aren’t very diversified or extensive but they are adequate to our purpose.” (p. 40)上記のようにCascadia大学ではLibralArtsはLevinが求めるほど栄えてなく、彼はGilleyとたびたび教育方針について衝突する。彼がLiberalArtsが栄えている大学に赴任すれば学部長選挙の政治闘争に関わることもなかったので、この大学への赴任は一つの悲運である。 最後の不運はPaulineである。LevinはPaulineに人生を左右されたGilleyが捨てたLevinの履歴書を。Paulineが選ばなかったらLevinはCascadiaにこなかった。選ばれた理由は次のとおりである。”Your picture reminded me of a Jewish boy I knew in my college who was very kind to me during a trying time in my life.”(P. 361) 昔の友人に似ているという些細な理由で彼は選ばれたのだ。 しかしPaulineによって与えられた大学生活も、Paulineによって奪われてしまう。LeoDuffyの代替のようにPaulineと不倫し、それがGilleyにばれてしまい、Paulineとその子供たちを養うことの代わりに、職をなくしてしまう。そのPaulineのことも彼はよく理解していない。旅立ちの前日にPaulineを外から見ていたときに、彼女は見たことない黄色のドレスを持ち、バイオリンを弾いたりとLevinが一度も見たことない部分を見せた。“Who is she? Levin thought. What do I really know about her?”(P. 363) と自問してしまうほどだった。 Paulineにより職が与えられ、奪われ、Paulineと子供たちを養うことになった。これらのことからPaulineに人生を左右された悲運な男であるといえる。 結論として、Levinは大胆、理想主義者、臆病、そして不運という性格、特徴をもった男である。大胆であり、臆病であるという二律背反の性格、また理想を追い求めるが不運に遭うという皮肉な特徴は、複雑な人間の性格、人生を表しているとして、この論文を結ぶ。 |
Back to: Seminar Paper Home