国際社会学研究

光野百代


【概要】
 このゼミは社会とは何なのか、本当に存在するのか、どうやって存在しているのか、それは違った様に存在することも可能なのか等に関心を寄せながら、グローバル化する世界における個人と社会との関係について学びます。
 そのために、ゼミでは、「社会学的クエスト」という手法を用いて、社会学で使用される概念を一つ一つ学習・習得し、そうした概念ツールを使って自分が住む世界にある社会を議論し、文章化し、理解していきます。新聞やニュースでは、組織、国家、地球レベルの社会問題、異常現象がよく取り上げられますが、同様の問題は国際社会学研究ゼミでも取り上げます。ただ、旅行や美味しい食事と同じように、単に情報を読むだけよりも、「何が起きてるのか」を自分で、どんなに小さなレベルでも良いので、観察し、解釈し、振り返える経験をした方が楽しいのが社会学で国際的な現象を学ぶ特徴です。
 ゼミ生は、個人の経験と社会構造とをつなげて世界を理解する「社会学的想像力」を養うことが期待されます。エレベーターを思い出して下さい。最初に乗る人、2番目に乗る人、3番目に乗る人で、エレベーター内のその人が立つ位置にはパターンがあると思います。そして、そのようなパターンが日常にあることに気づく人はあまりいません。むしろ、密封される空間に複数の他人が乗り込むという構造的問題をエレベーターが突き付けるにも関わらず・突き付けるからこそ、殆どの人が気にせずエレベーターを利用していきます。そうした一人一人の他人に関心を向けない行動のおかげで、ジェンダーや既存の上下関係とは独立した、独自の秩序がエレベーターに生まれます。
 エレベーターの社会学と違い、現代の社会がつくるパターンは森のようにもっと複雑ですが、演習の学習活動をとおして「社会学的クエスト」の大変さと面白さを共有できる場にゼミがなればと思います。