科学技術を多面的に読み解く

野澤聡


 「研究を研究する」ことをコンセプトに、科学技術を歴史、社会、倫理、思想、政策、文化など、多様な視点で「読み解く」ことによって、科学技術の問題点と可能性について深く学ぶことを目的とするゼミナールである。

 現代の科学技術は社会に大きな影響を与えている一方で、社会からも大きな影響を受けている。たとえば、2019 年末から始まった新型コロナウイルス感染症では、最先端の科学技術によってその病態が解明されるとともに、有効性の高いワクチンなども開発されている。他方、感染症やワクチンに関する誤情報やデマなどのフェイクニュースによって、感染の広がり方や対策が大きな影響を受けている。

 ゼミでの研究方法の特徴は、「研究を研究する」ことである。つまり、科学技術に関わる人間や活動や制度や思想など、研究それ自体を研究の対象としていることである。科学技術の知識や理解が不十分であっても、各自が関心をもった具体的事例を突破口として、探求を深めていくことができる。必要なのは、多様な資料を読み解く読解力と探究心である。