言語文化概論
(10)ふれあいと伝え合いの原則
社会的相互行為
ふれ合い:お互いに心を通わせ合うこと
つき合い:仲間同士でお互いに何かを行うこと
はたらきかけ合い:人間同士が出合い、お互いに相手に何かを行うこと
伝え合い
人間同士のふれ合い ・はたらきかけ合いを通じて、情報が伝わり、共有されること
人間同士が出合ったら、伝え合いをしないわけにはいかない
情報伝達の要素
シャノン・ウィーバーのモデル
(1)伝え手(送り手・受け手)
(2)伝えられることがら(情報)
(3)伝わるところ(経路)
(4)シルシ(コード)/符号化・解読
(5)場面と背景(雑音)
コトバによる伝え合いの要素
(1)話し手・聞き手(書き手・読み手)
(2)言いたいこと(話 ・文章)
(3)空気・紙など(電線・エーテル)
(4)言語(音韻・文字・語彙・文法)体系
(5)脈絡:
言語的脈絡(文脈)
非言語的脈絡(場面と文化的・社会的背景)
コトバ使いのキマリ
文法規則は守らなければいけない
コトバづかいのキマリは脈絡によって選ぶ
下川浩『現代日本語構文法 大久保文法の継承と発展』(三省堂 ・絶版)
下川浩『生きたコトバづかい』(国際語学社)
下川浩『どうしてそんなにダマされる?』(国際語学社)
『大久保忠利著作選集』全六巻(三省堂)
日本コトバの会編『コトバ学習事典』(一光社)
語と文
音素:意味を区別する最小の単位
形態素:意味を表す最小の単位
語:形態素(の組合せ)の具体的なカタチ
文:文法規則にしたがって組み立てられた語のつながり
文は直接語からなりたつわけではない!
文節:文成分としてのハタラキをする、最小の単位
文素:文成分として、あるハタラキをする一つ以上の文節(のつながり)
文とは?
一語表現と文−文は主部と述部からなる
完全文と不完全文−主要または必要成分の省略された文を不完全文という
文法構造と情報構造
文法的な必要性と情報伝達上の重要性とは異なる
日本語の文成分
主部(主文素)と述部(述文素):主要成分
客文素と補文素:必要成分
述語によって必要か必要でないか、
どういう文素が必要かが決まる
その他の成分
修体文素と修用文素:自由成分
接続文素:そのあとの文を前の文とつなぐ
独立文素:呼びかけやあいさつ
辞
述語のあとに付く、付属語または付属語と一つ以上の文節の結びつき
・心態辞:文の内容(命題)への態度を表す
・吸着辞:単位文のあとに付き、その単位文を別の単位文に、一文素として埋め込む
・言態辞:文のハタラキを示す
・説明辞:理由やいきさつなどを示す
・情態辞:文の最後に加えられ、ニュアンスを変える
文分析
文を対応する二つの部分に段階的に分けていき、最終的にそれぞれの文節がどのような役割をになっているか(どの文素であるか)を明らかにする。
文の論理構造と情報構造のどちらも明らかに示せる。
文=命題+α
文の命題部分
主部+述部
否定・過去・断定・継続/完了などを表す付属語・補助動詞は命題に含まれる
プラスアルファ
命題に対する話し手(疑問文のばあいは聞き手)の態度や文のハタラキなどを表す
会話での協調の原則 P.Grice
質の原理:〈本当のことを言え〉
量の原理: 〈余計なことは言うな,必要なことはみな言え〉
内容の原理: 〈関連のあることを言え〉
話し方の原理: 〈わかりやすい言い方をしろ〉
生きたコトバづかい の四原則
(1)正しく:本当のことを
(2)わかりやすく
(3)切れ味よく:本質をズバリと表現する、
ピッタリの語句を選び、
シッカリした組み立ての文、
スッキリした組み立ての文章に
(4)ふさわしく:相手との関係・場面に応じ
話し上手は聞き上手
相手のコトバを自分のコトバで繰り返して言ってから、自分の意見を言う
a.相手の言うことをいっそうよく聞くようになる
b.クリカエシて言っているうちに、感情が冷静になってくる
c.それぞれが「相手の立場に立って考えられる」ようになる
(Carl R. Rogers)
話し合いのキマリ
•
まじめに話し合って、
(2) 相手が正しいことがわかったら、
(3) 自分の主張は捨てて、
(4) 相手の意見を支持する。
言い合いから話し合いへ
キメテカカリを捨てて、相手の言うことをよく聞く
ウソやコトバの魔術をやめ、「生きたコトバづかいの原則」にもとづいた話しかたをする
コトバのハタラキ
言行為:発語行為・表意行為・媒介行為
J.L.オースチン『言語と行為』(大修館)
遂行表現:どのような表意行為を行っているかを示す表現(約束・質問・命名・通知など)
「間接的言行為」:「ほかの言行為のハタラキをする言行為」(J.R.サール『言語行為』)−アヤマリ
一つの言行為には、一つの表意行為が対応する
「媒介行為」概念は不要−コトバのハタラキ
ホノメカシ
あるコトバで、脈絡から推論される、別のこと(デキゴト・考え・思い)を表すこと
「響子さんの作ったみそ汁が飲みたい」
−「ちょうど惣一郎のために残しておいたものがあるわ」(『めぞん一刻』)
含み
語句の表すものによってよびおこされる情緒的反応
差別表現
差別:人種、民族、国籍、性、宗教、年齢、思想信条、身分、職業、学歴、心身障害、居住地などの特徴を
コトバに含ませて、そういう特徴をもった人(たち)を有利または不利(たいていは不利)にあつかったり、あつかわせたりすること
コトバそのものではなく、含みをもたせる意識が問題
米国批判
門前払い
おわり
学んだことをレポートに!また来週!