言語文化概論
(3)言語とは?
本物と代わり
代わり:本物ではないが、本物と同じような働きをする。

 本物:表されるもの 代わり:表すもの
代わりの種類
1.シルシ:原因と結果、全体と部分等の関係
     雨雲・足跡など
2.シンボル:似ているところがある
     ままごとの道具・地図など
3.記号:似ているところがない(約束事)
     お金・アルファベットなど
4.言語:一般的な記号・シンボル(記号の記号/シンボルのシンボル)
動物の鳴き声
敵・エサ・異性などを見るなどして感じる情動の表れ(表出)

見張りザルの警戒感が鳴き声に表れ、
 群れの仲間に警戒感が伝わる。
 −>伝え合うのではなく、伝わる。
パブロフの実験
犬にエサをやる前に常にベルを鳴らすようにしたら、ベルの音で唾
液反応を起こすようになった。
エサを口にくわえると唾液反応が起こる。
−>エサを見ただけで唾液反応が起こる。
   (エサの形=第一信号)
−>ベルの音を聞いただけで唾液反応が起こる。
   (ベルの音=第二信号=信号の信号
     代わりに表す:表示)
言語 表現
代わりに表わす(表現)⇒表出と表示
表出:内のものを外に
表示:外のものを内に
言語の働き
言行為:社会的相互行為の一種
 代わりの行為として行動・思考を調節する。
伝え合いの手段:相手の行動・思考を調節
思考の手段:自分の行動・思考を調節
遂行表現:コトバがコトバを表す。
 説明する・感謝する・誓う・宣言するなど
言語の学習
チンパンジーに音声言語を学ばせることはできない。絵札を使って、
反応することは学習できても、自発的に絵札で意思を伝え合うこ
とはできない。
人間の子どもは、運動能力・知能の発達との相互関係で、12歳頃
までに言語能力を獲得する。
外言と内言
外言:相手にとってのコトバ
内言:自分にとってのコトバ
「自己中心的言語」(ピアジェ)と「集団的独話」(ヴィゴツキー):
 外言から内言への移行形態
 (3−5歳の幼児に観察される。ほかの者にしゃべっているようで
もそうではなく、自分の行動を調節している。)
「言語」という語は多義である
  大脳の言語中枢に蓄えられた語彙(ごい)と文法規則(と文字)
の体系をさすこともあり、その体系を用いる能力としてとらえるこ
ともある。
  一方では、抽象的に、すべての人間が共有する言語能力をさ
すこともあるし、個々の個別言語をさすこともある。 

言語とコトバ
  ある集団の人々が、伝え合いをするときに共通して守る客観的
法則(生きてはたらくキマリ)を言語というのでなければ、それを
学習してアタマにたくわえ、能力として発揮することもできない。
  コトバ:言語の使用またはその産物
言語能力と伝え合いの能力
  人間の能力としてとらえられた場合は、さらに2種類に分けら
れる。
  一つは体系の知識であり、語彙知識と、文法的な文をつくり、ま
た理解する能力からなる。(言語能力)
  もう一つは、具体的な使用場面で適切な言語表現を用いること
のできる使用能力である。 (伝え合いの能力)
言語の非言語との違い
1.恣意性
2.二重分節性
3.体系性
言語の恣意(しい)性
  言語記号を構成する音声と意味の結び付きには必然性がない。
「バカ」という音声に、日本語では〈馬鹿(ばか)〉という意味が結
び付けられているが、スペイン語では〈雌牛〉という意味が結び
付けられている。
  個々の言語によって、ものごとの表し方が異なる。
言語の「二重分節性」
  大部分の語はさらに小さい音声単位(=音素)に分割され、比
較的に少数の音声単位を組み合わせることにより、多数の語を
つくりだせるようになっている。この語をさらに組み合わせて、無
限に近い数の異なった文をつくりだすことができる。
五十音図
  古来,語源,語釈,てにをは,仮名遣い,活用など国語
の研究において尊重された歴史的事実と照応するが,さ
らにこの図の発生,伝承,実用の沿革が有用性をよく物
語る。現存最古の図は醍醐寺蔵の《孔雀経音義(くじやく
きようおんぎ)》に見えるもので11世紀初めのものである。
古学の貢献
  五十音図の仮名の配置のうち,すでに早くオとヲは平
安時代から,イとヰ,エとヱは室町時代に,互いに位置
が入れかわった図が作られていた。発生時の正しい姿が,
現在のように復古し一定したのは,浄厳,契沖,富士谷
成章,本居宣長らの研究を経てからである。
本居宣長
  1730−1801年、松坂(現松阪市)
  宣長にあって〈言(こと)〉はあくまで〈事(こと)〉であり,古典の言
葉から離れ,観念とたわむれることを彼はしなかった。とりわけ
《古事記伝》は三十数年間の心血を注いで成った,〈言〉の徹底
的な注釈という点で他に類のないもので,古学のかぎりが尽くさ
れている。日本語の研究史上,宣長の業績がいちじるしいのも
偶然ではない。
言語の体系性
  音声単位、語、語順などの言語要素は、それぞれ共通点と相異点に基
づいて、それらの集合の中で役割をはたしている。
  そのように、それぞれの要素がその集合の中でおのおのの役割とおた
がいの関係(相互関係)の決まっている集合を体系といい、言語は音韻体
系(・文字体系)・語彙体系・文法体系という部分体系からなる一つの体系
を構成している。
   日本語の五十音図はその一例である。
言語学
  言語学は、その対象とするものによっていくつかの分野に
分けられる。音声学は言語の音を対象とし、音韻論は個別言
語で音がどのように用いられているかを研究する。形態論は
単語の構造、統語論(構文論)は句や文の構造、意味論は語
句や文の意味の研究である。もう一つの主要な分野である語
用論は、言語とそれが用いられる文脈との相互関係を研究対
象としている。
  文法:音韻論・構文論・意味論
    +実用論
脈絡と伝え合いの能力
言語と世界
世界は一つでも、言語の種類は多数
言語は条件であるとともに産物
 生活・行動様式としての文化とともに、
 言語は民族・種族の歴史的産物・条件
手話もまた言語
おわり
学んだことをレポートに!また来週!