清瀬校外巡検2015 本文へジャンプ
活動報告

6月14日、経済地理学研究室の校外巡見が行われました。梅雨の晴れ間にも恵まれたこの日、参加した50名の学生たちは、犬井教授から都市近郊地域における農業の現状や課題についての説明を受けるとともに清瀬市で酪農を営んでいる山下さんと園芸農業を営んでいる横山さんから農業経営についてお話を伺った。武蔵野台地の北東部、埼玉県との境界に位置する清瀬市は、都市住民への新鮮な野菜や牛乳の供給地域としての役割を果たしている。また、都市近郊にありながら緑地が多く残存するという特性をいかして、サナトリウムなどの医療の町として発展してきました。現在でも、総面積の約46%を緑地が占め、約20%を農地が占めています。しかしその一方で、首都近郊の住宅地としての需要の高まりを受けマンションや戸建て住宅などの建設が進められており、宅地への転用による農地や緑地の減少が認められる地域となっています。

清瀬市における近郊農業
 清瀬市は、結核の治療を目的とした病院の町として発展した。病院が集中して建てられた場所は、江戸時代の新田開発時よって設けられた平地林(農用林)で、かつては畑の地力を維持するための落ち葉掃きや薪炭材の採取がおこなわれ枝葉山(芝山)とよばれていた。現在では平地林も少なくなってしまったが、芝山の地名がこの地域の歴史を語っている。
 かつて結核は、不治の病とされていたが、1944年にアメリカのS・A・ワックスマンが抗生物質「スプレプトマイシン」を発見したことで治療が可能となり、日本にも1949年に輸入されるようになったが、国内での量産体制が整うまでにはさらに数年の時を要した。結核治療を目的に設立された清瀬病院は、昭和37年に国立療養所東京病院として改組され、平成16年には国立療養所が独立行政法人国立病院機構に移行されたが、東京病院は現在でも呼吸器系疾患の中心的治療・研究機関に位置づけられている。

        

 1960年代の清瀬駅周辺図
当時、難病とされた結核患者のサナトリュウム(療養所)や病院施設に加えて広葉樹や針葉樹の平地林が広がっている様子がわかる。


結核病院の隣に今ものこる芝山の平地林
 


生産緑地の説明を受ける学生たち

中里の富士塚
 中里富士塚は、富士山(浅間神社)を信仰するは霊峰として大事にされ、登って浅間神社に参拝し
たいと願う人たちが、関東・東海地方にはたくさんいまし
た。本当に富士登山をするかわりに、小さな富士山をつく
ってお参りすることもありました。中里の富士講は、享保
18年(1733)にできたもので、武蔵野では最も古いほうの一
つです。現在の中里富士は、明治7年(1874)に現在の形
になりました。じぐざぐ型の登山路は、ミニチュアながら登
山の気分が味わえます。毎年9月1日、中里富士で行われ
る“火の花祭り”は炎が夜空をこがし勇壮で、その灰を門
口に置くと、魔除けになるといわれています。



 結核病院に隣接する芝山の平地林           生産緑地の説明を受ける学生たち


 清瀬市は、結核の治療を目的とした病院の町として発展した。病院が集中して建てられた場所は、江戸時代の新田開発時よって設けられた平地林(農用林)で、かつては畑の地力を維持するための落ち葉掃きや薪炭材の採取がおこなわれ枝葉山とよばれていた。現在では平地林も少なくなってしまったが、芝山の地名がこの地域の歴史を語っている。
 都市近郊畑作地域(生産緑地区域)では、犬井教授から土地利用の特徴や住宅地の増加による営農環境の変化についての講義が行われた。域内農地の約9割が生産緑地となっている事実やその指定を受けるための条件などの説明をうけた学生たちは、教授の話をノートに取るとともに、写真に収めていた。


   
 結核病院に隣接する芝山の平地林           生産緑地の説明を受ける学生たち



園芸農家 横山さん
 横山さんは、40年近く清瀬で花卉を中心とした農業を行っている。横山さんはクリスマスローズ、ダイヤモンドリリー、原種シクラメンの専門家でNHK趣味の園芸の講師も努めている。横山さんのお宅で栽培している3種の花は、どれも特殊なもので他の人がなかなか真似できないようなモノを作りながらも、あまり管理に手間がかからないものを峻別しているという特徴がある。横山さんによれば、これも都市の近郊地域で営農を続ける上で重要な要素の一つとのことであった。また、自分にあった花を探すことが大切で、出会うまでに花だけでも300種類以上栽培したとのことであった。また、横山さんのお宅では野菜の庭先販売も行っており、常に10種以上の野菜を販売できるように多種少量栽培で1年間に50種以上の野菜を栽培している。
 新しい品種を見つけるために年に数回海外へ視察に出かけるという横山さんのお話を伺った学生たちは、今まで自分が抱いていた農業のイメージを一新するとともに、自分の好きなことに真剣に取り組むことの大切さを学んだようであった。

 
花卉栽培についてお話して頂いた横山さんご夫妻   横山さんの話を聞く学生

 
奥さん手作りのパンやクッキーを頂きました。    手作りジャムや手作り味噌など絶品でした。
ごちちそうさまでした。

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