氏名 大床 太郎
職名 准教授
専門分野 環境と生活の質の経済評価
学位 博士(経済学)
所属学会 環境経済・政策学会
研究者情報(researchmap) https://researchmap.jp/ohdoko

研究紹介

いわゆるアンケート方法のひとつである表明選好法(仮想評価法・コンジョイント分析・ベストワーストスケーリング)を用いて、環境や生活の質に関する消費者・市民の評価情報抽出関連の研究を行っています。

テーマ1:環境や生活の質に対する表明選好法の応用研究

概要:消費者・市民が抱いている環境質や生活の質に関する選好情報をいわゆるアンケートによって抽出する研究を行っている。市場に反映されていない自然環境・都市環境を保全する際の便益計測、生活の質や安全安心社会構築に対する市民の選好・嗜好については、マーケットデータやビッグデータに必ずしも反映されているとは言い難く、対策効果の金銭的測定によって費用便益分析を実施できない障壁となっている。そこで、直接消費者・市民にその選好を問う表明選好法によって対策便益を明らかにする研究を実施している。

キーワード:仮想評価法、コンジョイント分析、ベストワーストスケーリング

テーマ2:離散選択モデルの発展に関する研究

概要:表明選好データを分析するには離散選択モデルという統計解析手法が欠かせないが、ミクロ経済学的な効用関数との結びつき、認知科学的知見との結びつきはまだ十分に明らかにされたとは言えない。既存のモデルを発展させていくことによって、解析結果をどのように経済理論や認知科学と融合・解釈していくかについて数理的に取り組んでいる。

キーワード:表明選好法、効用最大化、後悔最小化、プロスペクト理論、認知科学モデリング

テーマ3:政策便益計測に関する研究

概要:表明選好データは個人の意思表示であり、それをマクロレベルにして政策便益を議論するには、従来の単純な積和では素朴にすぎ、より洗練された算出理論が必要となる。どのような形でミクロレベルの情報をマクロレベルにしていくのかを数理的に研究している。

キーワード:表明選好、生態学的妥当性、費用便益分析

担当授業科目名

社会調査論a, b

ゼミ紹介

ゼミ名

大床太郎ゼミナール

ゼミ概要

社会調査データの統計解析一般の倫理的コードとプログラミング素養を座学によって身に着けることを目的とする。標準的統計学、因果推論について、基礎的なプログラミングについて触れ、データサイエンティストの基礎の基礎を養い、今後の社会人生活に役立つ知識を身に着けてもらう。

ゼミの進め方

① 轟亮、杉野勇、平沢和司(2021)「入門・社会調査法」第4版,法律文化社
② 杉野勇(2017)「入門・社会統計学」法律文化社
③ 浅野正彦、矢内勇生(2018)「Rによる計量政治学」オーム社
[2年次]春学期はテキスト①、秋学期中は②の演習問題レポート。
[3年次]春学期は②の演習問題の残りのレポート。秋学期は③の前半部分のレポート。
[4年次]春学期は③の残りに関するレポート、秋学期は卒論の最終報告。
レポートが単位修得のすべてなので、当然ながらそれを提出しない学生は単位を修得できないことに留意すること。

卒業論文テーマの例

ユーグレナ食品のマーケティング、フェアトレードコーヒーのマーケティング

授業紹介

授業名:社会調査論a, b

授業概要

近年、「アンケートなど簡単にできる」という勘違いから、まったく無意味なデータを取得したり、推論に致命的な間違いを含んでいたりする社会調査が世にあふれすぎている。
意図的に収集せずとも集まってくるビッグデータ解析、フィールドから室内など多様なレベルで行われる社会科学の人対象実験による因果推論などが席巻している中、それらの基礎をなしているのは社会調査データの収集と解析である。データ収集から解析に至るには、調査研究倫理など遵守すべき行動規範、収集前の統計学的検討、収集後の分析前処理、多変量解析まで広範なトピックがある。
どのように実施すれば倫理的配慮のなされた有効な社会調査たりうるのかを理解するには、社会調査の行動規範の各トピックについて自身で考察できる必要がある。また、どのように実施すれば有効な社会調査たりうるのかを理解するには、実際のデータに触れながら自身で調査票を構築する、データ解析用のプログラミングを行う、解析結果を読み解くなど多くの能力を向上させる必要がある。
社会調査論aでは、行動規範の各トピックを解説したうえで事例を提供し、自身で行動規範に照らして考察してもらうことに重点を置く。一方で社会調査論bでは、プログラミング例を提供しながら実際に履修者に分析してもらうことに重点を置く。

授業の進め方

シラバスを参照

推薦教科書,図書

シラバスを参照

関連科目

統計学a,b、多変量解析a,b、計量経済学a,b