氏名 村山昌平
職名 特任教授
専門分野 大気科学、地球環境科学
学位 博士(理学)
所属学会 日本気象学会、日本大気化学会、アメリカ地球物理学連合
研究者情報(researchmap) https://researchmap.jp/read0004646

研究紹介

地球温暖化の原因と考えられている大気中の二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの変動の観測を行ってデータを解析し、その変動の原因を明らかにする研究を行っています。

テーマ1:森林生態系における二酸化炭素吸収に関する研究

大気からの二酸化炭素除去効果が温暖化対策としても注目されている森林生態系による二酸化炭素吸収に関する研究を行ってきました。岐阜県高山市の落葉広葉樹林では、1993年~現在まで温室効果ガスの変動や大気-森林生態系間の二酸化炭素の収支の観測(「フラックス観測」という)を実施しています。森林での二酸化炭素フラックス観測は世界各地で行われていますが、当観測は、アジアでは最長、世界でも有数の長期間のものです。長期観測データの解析により、二酸化炭素の吸収は年々の天候の違いや台風の来襲に伴う倒木等の影響で、年々変動することが分かってきました。近年は地球温暖化の影響が示唆される変動も観測されつつあります。
キーワード:森林生態系、二酸化炭素吸収、フラックス観測、長期観測、地球温暖化

テーマ2:地球規模の温室効果ガス循環に関する研究

地球規模の温室効果ガスの変動のように広い空間スケールの変動を捉えるためには、局所的な人間活動や植物活動等の影響が小さい大気(このような大気のことを「バックグラウンド大気」という)の観測が有効です。大学院生の時には1年1ヶ月南極昭和基地に滞在して大気中温室効果ガスの観測を行いました。バックグラウンド大気の観測は、その後も気象庁や研究機関の協力を得て、日本最東端の南鳥島や北極圏スピッツベルゲン島等において実施してきました。得られたデータを解析して、温室効果ガスの大気中濃度の変動やその原因を明らかにするとともに、地球規模の発生源・吸収源を評価する研究等を行っています。
キーワード:温室効果ガス、バックグラウンド大気、発生源・吸収源評価、南極・北極、安定同位体

担当授業科目名

特殊講義a(森林の生態系)、特殊講義a(地球温暖化と温室効果ガス)、特殊講義a(環境データを用いたデータ解析入門)、特殊講義b(気候変動と森林の生態系)、特殊講義b(気候変動の影響とその対策)、経済経営数学入門、統計学入門、環境学、全学総合講座(環境学1)(環境基礎学-自然を見つめる)、サステイナビリティ学

その他(活動,受賞,学会役員等)

・1992年10月~2015年5月 日本気象学会, 講演企画委員
・2010年6月~ 2017年3月 国立環境研究所, 温室効果ガス観測データ標準化WG委員
・2010年12月~ 2011年11月 日本学術振興会, 科学研究費委員会審査委員
・2011年9月 日本植物学会JPR 論文賞(共著として)
・2012年2月~現在 JAL財団, 航空機による地球環境観測推進委員会委員
・2013年5月~ 2017年5月 日本大気化学会, 運営委員
・2018年12月~ 2020年11月 日本学術振興会, 科学研究費委員会審査委員
・2022年4月~現在 産業技術総合研究所, 招聘研究員
・2022年7月~2024年6月 日本学術振興会, 特別研究員等審査会専門委員

授業紹介

特殊講義a(森林の生態系), 特殊講義b(気候変動と森林の生態系)

­ これらの講義では、地球環境を構成する重要な要素であり、人間活動との関連性が強い、森林生態系についての理解を深め、豊かな自然観を身につけるとともに、人間社会と地球環境の共生の実現に向けた分析能力を身につけることを目指します。

特殊講義a(森林の生態系)では、まず生態系の概念や気候帯毎に異なる森林生態系の特徴についての知識を身につけます。さらに、植物の光合成・呼吸活動や森林生態系における二酸化炭素をはじめとする物質の循環および生態系が人間生活に対して提供する様々な恩恵である生態系サービスの概要を学び、森林生態系に関する環境学的な理解を深めます。特殊講義b(気候変動と森林の生態系)では、まず気候変動と森林生態系における炭素の循環の基礎知識を習得し、気候変動による各種森林生態系への影響を理解します。さらに、森林の生態系サービスを活用した気候変動対策の近況について理解を深めます。いずれの講義でも、担当教官の森林生態系での観測の経験を踏まえたエピソード等も紹介します。

+ 関連科目 環境学、サステイナビリティ学、地球環境論a, b