大久保泰希(2012年度卒業)
高校生活は、生徒が豊かな学びと体験を通じて自己と社会の関わり方を見出し、キャリア形成の基礎を築く人生において重要な時期です。私の英語教師としての基礎は、獨協での学びによって形成されました。英語学科へ進んだ理由は、第二言語習得論を学ぶことで学校英語教育における指導のあり方を探究したいと考えたからです。統語論や意味論の授業では、英文法を体系的に整理することができ、英語コミュニケーション力の基盤として英文法を学ぶ意義を実感しました。3,4年次には、ことばの教育に関するゼミに所属し、国内外の英語教育について学びました。様々な論文や書籍を読み、英語で議論し合う体験を通じて、ことばが文化や社会と密接に関連していることを知りました。ゼミ生の意見や考えを傾聴し、折に触れて的確なフィードバックを与え、内省と気付きを促してくださった教授は、今でも私にとって教師のロールモデルです。
高校の英語授業には、小・中学校での学びの連続性を意識しながら、確かな知識・技能を身に付けさせることが求められます。大学で学んだ第二言語習得論の知識は、生徒の特性に応じた授業設計に大いに活かされています。また、教科書題材には身近な話題からSDGsをはじめとする社会課題が扱われており、生徒の発達段階に応じて言語活動を高度化することで、議論を通じて思考を深める活動が展開できます。やりとりを重視した英語授業を通じて、新たな見方・考え方を獲得させ、他者意識を持ちながら自己を表現できる生徒を育てたいと考えています。
少子高齢化やグローバル化により、今後も社会が変化し続けています。歴史を振り返ると日本の英語教育も時代の潮流に左右されており、今日も様々な英語学習観や学習ニーズが存在します。今後も英語教師として生徒の英語コミュニケーション能力を育み、高校卒業後も自己を探求し続ける学習者を育てたいと思います。