香港の食文化に触れて英語学科3年 浅野愛梨
私は今回の香港プログラムに参加するにあたり、以前から関心のあった香港の食文化をテーマに研究することにしました。 研修中は現地で引率してくださった先生に、香港の有名な料理店に連れて行っていただき、香港の食文化に触れることができました。
香港には四川料理、上海料理、そして香港を代表する広東料理などがあります。 同じようで素材も調理法も全く異なる奥の深い料理の世界に、ただ舌鼓をうつばかりでした。
この他にも、現地の学生たちに香港のローカルフードが食べられる屋台に連れて行ってもらい、異国の雰囲気が漂う中での食べ歩きを楽しみました。
特に印象に残っているのが、鶏蚕仔(ガイダンジャイ)というもの。 ベビーカステラが一つにつながったような特徴的な見た目のお菓子で、香港の若者の間では定番の食べ歩きフードだそうです。
材料はいたってシンプルで、卵と水と小麦粉の三つ。卵の風味豊かな優しい甘さと触感に思わず笑みがこぼれました。 もし皆さんが香港を訪れることがあったらぜひ食べてほしい一品です。
香港にはこのように多様な食文化が存在し、街を歩いているとさまざまな食の形に出会うことができます。
大人数で丸いターンテーブルを囲み食事をとる伝統的な中華料理から、先に述べたような屋台での食べ歩き、そして世界各地から出店された現代のチェーンレストラン。 中には日本でも馴染み深い吉野家やかつや、一風堂などの看板も多く見られました。
現地の学生にとった食に関するアンケートでも、日本食が香港で人気を集めていることが伺え、改めて日本食の世界に通ずる底力を感じました。
一週間の研修期間を経て、香港の食文化は一つの概念にとらわれず多種多様であることこそがその魅力であると学びました。
同時に、私たちにとって最も身近な“食”を研究テーマにしたことは、香港だけでなく自国の文化への気づきや、魅力の再発見につながったと思います。
今回の香港研修に参加できたことは、自分にとって人生の一ページに深く刻まれるかけがえのない経験になりました。
香港から見た日本のポップカルチャー 英語学科3年 尾内優里
グローバル化する世の中でアジアの国々が注目されるなか、より広い視野を得たいという理由から、私はこの研修への参加を希望しました。
研修参加以前、香港は私にとって未知なる場所でした。一週間と短い期間でしたが、政治・食・文化・ビジネスなど様々な視点から「real香港」を自分の目で確かめることができたと思います。 事前学習で調査を進め、香港では「日本の文化」、特にアニメや漫画が広まっていることを知り、自身の研究テーマとしました。
現地に着いて繁華街を歩くと、それだけでいかに日本のアニメが人気かを実感できました。
香港の大学生にインタビューしたところ、日本のように香港でも夕方になると決まった曜日にアニメが放送されること、日本の漫画を集めている人も多いことがわかりました。 今ではインターネットが普及しているため、多くの人はネットを通じて動画を視聴し日本に関する情報を得ています。 いま日本で流行りのドラマはもちろんのこと、バラエティ番組や歌番組は日本で放送された数週間後には香港で放送されているほど、流行に敏感です。
では、なぜこんなにも日本のポップカルチャーが香港で人気なのでしょうか。
現地で日本文化について講義をしてくださった方によると、特に若者・思春期にあたる人々は、クールさを求め、憧れの対象を探し求めているために流行に敏感であると言います。
香港において日本文化は欠かせないものであり、いまや商業目的よりも彼らの興味によって、ここまで広まってきました。
事前学習では得ることのできなかった情報を現地に実際に行くことで知ることができ、大変実りあるものでした。
この研修で得た物の見方・感じ方を忘れることなく、今後も広い視野で未知なるもの・ことを開拓していきたいです。
一人でも多くの学生にこの素晴らしい経験をしてほしいです。
香港の建築保存活動 英語学科3年 長谷川有紀
香港、と聞いて私がまず思ったことは、香港って国なの?ということでした。
そのくらい事前知識がなかったのですが、研修に向けて調べていくうちに、香港に関心を持ち、特に歴史的建造物の保存活動について学びたいと思うようになりました。
香港では近年、歴史的に意義のある建物を保護していこうという動きが出ています。
私達が訪れたPMQという施設は、かつては既婚の警察官のための宿舎(Police Married Quarters)だった建物を改修・改装したものです。 建物の元の形を残しながら、若手のデザイナーやクリエイターが作品を展示できる部屋や、ショップやレストラン、イベントスペースを楽しめる複合施設として生まれ変わりました。
PMQの外観は白地に深緑のラインの入った、現代的なデザインのシンプルな建物です。
この建物のどこに歴史的な要素が?と、現地に行く前は疑問に思っていました。
しかし実際に館内を回ってみると、官舎だった当時の郵便受けが残っていたり、部屋番号がそのまま活用されていたりするのを見て、かつてこの場所が居住空間であったことを感じました。
現地でガイドをしてくれた女性の話によると、PMQは歴史的な側面を保有しながらも、若手の芸術家やデザイナーに格安で展示や販売スペースを提供することで、新進気鋭のクリエイターの活躍を後押ししているそうです。
部屋の中だけでなく、階段や建物の壁に絵が描かれていたり、廊下にオブジェが飾られていたりと、いたるところで作品が展示・表現されています。
土地が限られている香港だからこそ、建物の歴史的な部分を保護しつつ新しい要素を組み合わせることで活用している、という動きに感心させられました。
事建物を保存する、ということはつまり、それを当時の状態のままに保存し続けるということだと、私は勝手に思っていました。
しかしPMQのように、現代的な価値を与えることで歴史的建造物の再活性化を促すという新しい考え方を、今回の研修を通して体感し学ぶことができました。
雨傘革命と香港の学生たち 英語学科4年 尾野夏海
みなさんは海外の学校の様子を見聞きしたことはあるでしょうか。
同じアジアの学生が勉強に対してどのような姿勢を持っているのかが気になった私は、香港プログラムへの応募を決めました。
香港で2014年に学生が中心となって起きた雨傘革命。
日本で学生運動といえば、個人的には一昔前のことという印象を持ちます。生活水準が高く経済が発展した香港でなぜこのような運動が起きたのか。 もちろん将来に不安を持つ学生達が中国政府の出方にノーを突き付けたからなのですが…。
では、日本が香港と同じような政治状況に立たされたとき、学生は何か行動するのかというと、私にはわからないです。 政治運動に関わるのは、極めて意識の高い一部の人々なのではないでしょうか。 そこで、多くの学生を駆り立てた雨傘運動を、学生に身近な学校教育から見いだせないかと思い、調査をしました。
現地では高校の先生に教育事情について伺いました。 そのなかで興味を持ったのは、教養科目(Liberal Studies)が大学受験科目の一つになっていることです。 これは、高校生のうちから物事を多角的に、批判的に考える力を養うために、歴史、科学などを学際的に学ぶ科目です。
現地でわかったことは、香港の学生が学ぶことに対して特別意欲的というわけでもなく、授業態度は日本とそれほどには変わらないということ。
しかし、教養科目に代表されるように、生徒は学校で社会について考え、意見を発信する機会に恵まれています。教員や友人と雨傘革命の話をすることは当たり前であると答えた学生も多くいました。 半分余りの学生が雨傘革命に参加しなかったというアンケート結果でしたが、それは社会に無関心なのではなく、考えたうえで参加しないという選択をした人たちでした。 同じ世代の人でも、教育の現場が違えば考え方も価値観も異なります。
みなさんにも実際に香港の学生たちに会いに行き、リアルな声を聞いてみてほしいです。