Auslandsgesellschaft Intercultural Academy gGmbH(森下 実莉)

森下実莉(ドイツ語学科3年)

インターンシップ先:Auslandsgesellschaft Intercultural Academy gGmbH


1.はじめに
私は獨協大学に入学する以前からこのドイツのインターン・プログラムには興味があり、学生時代に実現しておきたい目標の一つでもありました。また語学を生かした経験をしたい、ドイツで仕事をする環境が自分にあっているのかなど将来のことも考えて一度体験しておきたいという思いで、今回の研修プログラムに参加させて頂きました。

2.事前研修
 このプログラムにあたり、獨協大学での春学期の授業で「インターンシップ特殊演習」を受講し、ビジネスドイツ語、電話対応の仕方やインターン先で活用できる会話表現などを学びました。ドイツではいきなり仕事に取り掛かるのではなく、最初の10日間はドルトムントにある語学・文化教育機関Auslandsgesellschaft(外国協会)でドイツ語の集中授業を受けました。個人的な感想になりますが、ドイツでも異例の猛暑が続くなか、この10日間は毎日教室にこもってドイツ語の勉強に明け暮れる、正直体力的にはかなり消耗する日々となりました。実際の授業では、部屋の中で毎日5~6時間ドイツ語を勉強する他、パン工房や古城の見学、美術館訪問やミュージカル鑑賞など教室の枠を超えたさまざまなアクティビティも用意されており、これはこれでとてもよい経験となりました。

3.ホームステイ
 私が今回お世話になったのは、若いカップルのご家庭でした。ドルトムントの中央駅から電車と徒歩をあわせて計1時間かかるため、とても交通の便が良いとは言えない、郊外にある2階建てのお家でした。地下鉄もバスも通っていない地域でしたが、ここは郊外という立地上、自然がすぐそばにある快適な場所で、心地良い生活拠点となりました。
ホストは今までにこうした部屋の提供や外国人を受け入れたことがなかったうえに、新居に引っ越して半年と短いにも関わらず、私を受け入れてくれたみたいです。部屋は、非常にかわいらしく、机、クローゼットやベッドも備え付けで、居住環境としてはとても快適なものでした。洗面所や冷蔵庫は、ゲスト用が設備されていたため、共有するのはシャワーくらいでした。食事は、全額自己負担でした。外食やスーパーに一緒に食材を買い出しにいく際も、別会計でしたが、フェストなどに行った時にはご馳走していただきました。
 二人が結婚してないカップルで、正式には「家族」とは言いづらいためか、はじめの頃は、そこそこなじめていても、どこか人間関係の「壁」を感じてひとり悩むこともありました。ロック音楽好きでディスコやクラブに行って踊ったりして楽しむことが好きなホストだったため、クラシック音楽愛好家の私にとっては、異文化の差だったり価値観の違いを感じることもありました。しかし、リビングのテレビで映画を一緒に見たり、小さなお庭でバーベキューをして外で一緒に過ごしたりもしました。帰国日も駅まで車で見送ってくれて、再開の約束をして別れました。はじめの頃に悩んでいた自分が嘘かのように深い充実感を抱いたことを思い出します。

4.研修先について
 私が働く研修先は先に述べた語学・文化教育機関の外国協会でした。期間中は事務作業の他、授業を聴講させてもらったりしました。主にプッシェルさんという女性が働いている傍で、学生のメーリングリスト入力や移民の人たちが受ける試験の問題用紙の確認・準備、監督業務などをアシスタントとして任されることが多かったです。また、こうした作業がないときは、通常のドイツ語コースから移民向けの統合コースまで多くのドイツ語コースを聴講させていただきました。コースやクラスの授業進度はさまざまで、なかにはアルファベットからゆっくり進んでいくクラスもありました。以前から、移民や難民の受け入れに関して興味や関心があった私にとって、この職場では直接、彼らとコンタクトが取れる機会も多く、シリアなどの紛争地の現状や背景、またどのようにドイツへ逃れてきたのかなどについて詳しく話を聞くこともできました。プッシェルさんをはじめスタッフのみなさんには、短期滞在の私にも多くの興味深い内容の仕事を分け与えてくれたことにとても感謝しています。

5.私がインターンを通じて得たもの
今まで学んできたドイツ語を生かし、研修先の上司や同僚と話しながら、自分の関心分野である移民や難民の人たちとの交流を目指していた私ですが、今回のインターンを通じて、将来に対する重要な示唆を得ることができたと思います。それは、ドルトムントの近郊都市オーバーハウゼンにある「ドイツ国際平和村」との出会いです。外国協会で働くことで、多くの移民や難民の人たちとの交流を持つことができ、彼らが苦労してドイツへ逃れてきたという体験談を聞くことで、私はこうした困窮者への支援活動を行うボランティア活動に目覚めました。職場の人からの紹介をきっかけに、インターン中に「ドイツ国際平和村」のフェスティバルを約2時間かけて訪れたことがありました。さらに帰国前直前のプログラム終了間近、私はこの「ドイツ国際平和村」で実際に一泊二日の研修も体験させてもらいました。その結果、私はボランティア活動をここで実際に行ってみたいと強く思うようになりました。

6.おわりに
ドイツに滞在することで、日本での生活よりも自分を見つめなおす時間が増え、やりたいこと、学生時代にまだやり残していることなどをじっくり考えることができました。また、外国協会で働くことで、職場の人たちやそこに通う難民や移民の人たちと交流が持てたり、近い将来やりたいことが見つかったりと、とても貴重な経験を積むことができました。このように今回のインターンシップは自分の今後の人生に対する大きな糧になったと思います。さらに、素晴らしい人たちにも出会えて、学ぶことの意義に改めて気づかされることもたくさんありました。初期の頃は、異文化の違いからホストファミリーとすれ違うこともありましたが、今ではこの出会いを大切にしたいと心から感じています。
獨協大学で指導していただいたアルブレヒト先生と古田先生をはじめ、関係者の方々に感謝を申し上げます。

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Bäckerei Kanne GmbH & Co.KG(村 美里)

村 美里(ドイツ語学科3年)

インターンシップ先:Bäckerei Kanne GmbH & Co.KG


1. はじめに
 私がこのインターンシップ・プログラムを知ったのは1年生の秋学期でした。同じ部活の先輩が夏休みを利用してのドイツでのインターンシップ体験を話してくれました。元々私はドイツの大学へ留学したいと思っていました。しかし将来ドイツ語をいかした仕事をしたいと思っていたので、私のさしあたりの目標は、留学からこのインターンシップへの参加に変わりました。

2. 事前研修期間
 8月3日~11日の約10日間、私たちはドルトムントにあるAuslandsge-
sellschaft(外国協会)で語学研修を行いました。先生は外国協会のHein氏が担当してくださいました。授業では日常会話で使われるドイツ語のほか、職場で使うドイツ語も学習しました。特に私が役にたったと思った授業は電話の聞き取りです。日本語でもそうなのですが、電話を通して相手の声を聞くと音がこもってしまい、とても聞き取りづらいのです。そのため大切な情報を聞き逃してしまったりすることがあります。電話での会話や聞き取りの練習は、現地で会社やホストファミリーと連絡を取るにあたってとても重要なことだと思いました。
 またこの研修期間にはドイツ語の勉強だけでなく、ドルトムントの周辺事情についても教えていただきました。ドルトムントで生活するにあたり、外国協会のインターン生であるアプト君とムディ君が電車の乗り方や切符の買い方、日用品の買える場所、美術館や図書館の場所などを教えてくれました。彼らがドルトムントで生活するにあたりヒントをくれたことで、休みの日や仕事の後は有意義な時間を過ごすことができました。

3. インターン先について
 私のインターン先はKanne Bäckereiというパン屋さんで、ドルトムントの近くの町のリューネンで一番大きなパン屋さんでした。研修期間中にKanneの社長さんとお話をする機会がありました。その会話の結果、私は6週間あるインターン期間で工場での製造部門と店頭での販売部門を3週間ずつに分けて体験させてもらえることになりました。ここではこの2つに分けて私の体験を記したいと思います。

4. パン工場での勤務
10日間の事前研修期間の後、最初の勤務先はKanneのパン工場でした。勤務開始時間は朝6時半からだったので、毎朝5時に起きる生活になりました。その代わり、退勤時間が12時と早かったので、午後はゆっくりと過ごすことができました。工場までの通勤時間は約30分で、電車とホストファミリーからお借りした自転車を使って通勤していました。工場での仕事内容は主にパンとケーキの製造でした。ドイツはパンの種類が豊富で、パンによって使う材料や配合が全て異なります。そのため手でパンの形を作る際にはとてもてこずりました。特にプレッツェルのような特殊な形をしているパンはコツをつかむのに時間がかかりました。Kanneではケーキの製造も行っていました。プルーンやりんご、いちごなどのフルーツとたっぷりのカスタードクリームで作るケーキには観るだけでワクワクさせられました。もしかしたら工場勤務で一番楽しかったのはケーキを作っている時だったかもしれません。
 その日のパンやケーキの製造を終えたら、次の日の仕込み作業です。特殊な装置を使った卵の黄身だけを取り出す作業や、いちごのへたとりなど地味な作業が多かったですが、職場の人と話しながら作業をしていたのでそこまで辛くはありませんでした。Kanneの工場ではインターン生が私だけではなく、ギムナジウムや職業訓練学校を卒業した人たち、難民の人も受け入れていたので、みんなで助け合いながら仕事をすることができました。
 そして3週間が経ち、販売業務に移ることになりました。

5. カフェでの販売業務
 販売業務は家からバスで約30分のところにある、Kanneのカフェで実践することになりました。勤務スタイルは朝番と昼番から選ぶことができ、私は朝から働くことにしました。そのためカフェでの勤務に変わっても勤務時間は工場と同じく6時半開始でした。早朝ということもあり、出勤前にパンを買いに来る人が多かったのが印象的でした。業務のなかでは、特にその場でサンドイッチを作るサービスが大変でした。具やソースを聞きながら作るので、当初作業に不慣れなわたしはすっかり焦ってしまいましたが、判らなかったらちゃんとお客さんに確認し、丁寧に作ることを心がけていたら、皆さん温かい目で見守ってくださいました。早朝の販売が静かになると次に来るのは朝食の支度です。
Kanneのカフェではモーニングセットのサービスもしており、注文のあったパンとともにお客さんにお出ししていました。この業務のときは、サンドイッチを作るときよりもはるかに多い情報を言われるので、毎回同僚の方に助けてもらったことを覚えています。その後、お昼のパンを買い求めてくるお客さんもやって来ます。工場勤務でも書きましたが、ドイツのパンは種類が多いのです。特にブロートと呼ばれる大きなパンは種類によって小麦とライ麦の配合量が違うので、説明するときは困りました。しかし毎日見ていると覚えてくるもので、インターンシップが終わりに近づく頃には私からお客さんに「おススメ品」を紹介することができました。
 午前の仕事が終わると、お昼休憩です。昼食は店長さんのご好意で好きなパンをいただいていました。甘い菓子パンもあったのですが、私は種が入ったフォルコーンブレートヒェンという小さなパンが好きだったので、それでサンドイッチを作って食べていました。
 お昼の時間が過ぎると、コーヒーブレイクに来たお客さんにケーキとコーヒーのセットの販売をしていました。余裕があるときはそれをお客さんの席まで持っていくということもしていました。最初のうちは緊張しましたが、最後には常連さんと仲良くなることができたのでとても嬉しかったです。
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6. ホストファミリー
続いて、私のホストファミリーについて紹介したいと思います。私をホストしてくれた方はMaike Pueschel(マイケ・プッシェル)さんという方で、外国協会の職員であり、今回のインターンシップ・プログラムのコーディネーターでもありました。プッシェルさんはリューネンに住んでおり、私はその家の屋根裏部屋をお借りして生活をしていました。平日は私の出勤時間が早かったこともあり、顔を合わせる機会も少なかったのですが、夜に時間があるときは一緒に夕食をとりながら映画を観たりしました。また週末にはプッシェルさんの恋人のフィリップさんもオランダから帰ってくるので、3人で一緒に散歩をしたり、食事をしたりしていました。  また2人の趣味がサッカー観戦だったこともあり、ホームチームのボルシア・ドルトムントの試合があったときにはチケットを取ってくださり、一緒に試合観戦に行きました。2人と一緒に過ごす時間は少なかったものの、時間があるときは一緒に料理をしたり、映画を観たりと温かい時間を過ごすことができました。2人には心から感謝しています。私を受け入れてくれて本当にありがとうございました。
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7. おわりに
 このインターンシップでは楽しかったこともたくさん経験しましたが、もちろん自分の思い通りにいかない事も多々ありました。語学力の欠如という問題だけではなく、自分の意見をうまく主張することができないことにも原因があったと思います。私はこのインターンシップではパン屋さんで接客をすることを望んでいましたが、工場での勤務が続きました。そして2週間半経っても販売業務の連絡が来なかったので、事務の方に尋ねてみると私が販売業務に携わることすら伝わっていなかったことが判明しました。しかしその方と自ら交渉し、無事、次の週には接客に携わることができました。そこで私が学んだのは、受身では何も始まらない、自分から動かなければいけないということです。インターンシップではその大切さに気づくことができました。
 ドイツでインターンシップができる機会は滅多にありません。たくさんのことを学ぶことができ、仲間にも恵まれ有意義な2ヶ月を送ることができました。このような機会を与えてくださった先生方、そしてドイツで助けてくださった方々に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


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Mercure Hotel Dortmund Centrum(五十嵐 むつみ)

五十嵐むつみ(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Mercure Hotel Dortmund Centrum


1. はじめに
私がこのドイツ語学科のインターンシップ・プログラムをはじめて認識したのは、1年生時の必修科目である「ドイツ語圏入門」の授業内で先輩方が興味深い体験談を披露された時でした。大学に入ってからドイツ語を習い始めたので、当時はただ「すごいなあ、行けたらいいなあ」とそんな軽い気持ちでいました。次第に進路のことを考えるようになり、今後の人生においてドイツでインターンシップをすることがいかに貴重な経験となるのかということに気づきました。そこから、参加をするうえで必要となるGoethe Institutの資格取得に向けて勉強をはじめ、2年生の秋にB1を取得し、今回のプログラムに参加をすることができました。

2. ホームステイ先について
私のステイ先は一人暮らしの女性のお宅で、私のほかに医者を目指しているコロンビア人の男性も住んでいました。しかし、彼は二階の部屋に滞在しており、食事も別々にとっていたため、私はほとんどホストマザーと二人暮らしのような状態でした。ここのお宅は大きな公園の中にあるのですが、立地は大変良いところで最寄駅までは徒歩3分ほど、そこから中央駅までは10分もかかりませんでした。2週間に一度清掃業者を呼んでいることもあり、家の中はいつもきれいでした。家の中には、素敵なインテリアも多く飾られていて、とても快適な暮らしができました。ホストマザーは平日は毎日17時頃まで働き、その後はヨガ教室や絵画教室を訪ねたりする他、イタリア語も熱心に勉強していました。休日は水泳やボートを漕ぎに行くなど、とてもアクティブで忙しい方でした。しかしそうした多忙な合間にも、私とバトミントンや重いボールを使った腹筋トレーニングをしたり、料理をつくって一緒に食べたりと様々なことをしてくださいました。プログラム最終日には、仕事を早く切り上げて一緒に出掛けてくださったり、最後には心のこもったお手紙とプレゼントを頂けたりと、本当に親切で情に厚い方でした。
ただ、一つだけ私は一緒に暮らす上で難しさを感じたことがありました。それは、ホストマザーがベジタリアンであり、環境に配慮したBio商品をこよなく愛している人だったということです。ドイツではベジタリアンの存在はそう珍しいことではありませんし、Bio商品も食品や洗剤をはじめ、服や化粧品など多岐にわたって存在します。ベジタリアンよりももっと野菜中心の食生活をするビーガン向けの食事もレストランでは用意されているので、日本に比べて多様な生き方、生活ができるなあ、というのが私の考えでした。しかしながら、私がBio商品でない安物の服を買ったときは商品について小言を言われましたし、友達を家に招いて一緒にパスタを作った時には使ったパスタソースについて厳しく批判されました。家で食べたければお肉も食べていいよと言われていたので自分で調理したこともありましたが、その際にもあまりいい顔をしていなかったりと、半ばホストマザーの暮らしぶりを「強要させられる」ことがしばしばありました。自分の立場や意見をしっかり示す、という点ではまさにドイツ人らしく、良いことだと言えますが、他人に自分の考えを強要するのはよくないのではないかと思います。最初はホストマザーとの関係が悪化してしまうのを恐れて、「そうだね。その通りだよね。」と賛同することがほとんどでしたが、次第に勇気を出して反論するうちに、しっかりと自分の意見を示すことができるようになったので、苦い思い出ではありますがこれも良い経験になりました。

3. インターンシップ先について
私は世界中に拠点を持ち、日本にもいくつか存在するメルキュール・ホテルのレストラン部門でウェイトレスとして働かせていただきました。2年生の夏に、1か月ドイツに留学した際に、店員と客との距離の近さに感動し、今度は自分が店員の立場になってお客様と接してみたいと考え、ホテルでのインターンシップを希望しました。
まず、勤務時間は平日の朝7時から午後3時頃までで、他のインターンシップ先と比べると長時間でした。10時台に一度朝食休憩、昼食の業務が終わるとまた休憩が与えられ、どちらもビュッフェの料理を自由に食べさせてもらうことができました。仕事内容は、日本のウェイトレス業務と大差はなかったように思います。お皿を厨房内にあるワゴンへ下げたり、食事がおわったテーブルを片付け、次に来るお客様のためにナイフ、フォーク、ナプキンなどのセッティングをします。基本はビュッフェ式のレストランでしたが、昼食時や予約に応じてコース料理の日もあったので、希望のドリンクを聞いてそれを提供したり、料理を一人一人に提供する機会も得ることができました。ホテルのレストランならではの仕事だなと感じたのは、朝食時に一人ひとりのお客様に部屋番号を聞かなければならなかったことです。もし、朝食付きで予約をしていないお客様がいたら、その場で朝食を追加で予約し、お客様にサインを頂かなければなりませんでした。お客様の中にはドイツ人でない方々も多くいたため、そのような方とは英語でのコミュニケーションが必要とされました。それゆえ、最初はドイツ語と英語が混ざってしまうことがよくありましたが、終わりのころには流暢に英語を話すことはできないものの、しっかりと英語とドイツ語を分けて使うことができるようになったので、二か国語を習う上でとても良いトレーニングだったと思います。
このホテルのお客様の多くは、会社のセミナーなどで団体で連泊されていました。連泊をして下さることによって、従業員はそれぞれのお客様の要望を事前に知ることができるようになります。その利点を活かそうと考え、毎朝ホットミルクを飲む方、カフェインレスのコーヒーを飲む方には、言われる前に用意しテーブルに持っていくなどの工夫をすることにより、とても喜んでいただけました。そのようなことを通してお客様と近づくことができ、連泊の最終日には「あなたのおかげでとても良い滞在ができたよ。また私たちはここへ来るわ!」と言って握手、またはハグをしてくださったり、接客経験のあるお客様には体を使って効率のよいお皿の持ち方を教えていただけたりと、とても温かい気持ちになることが多々ありました。チップを頂けたときには、外国人である私の接客が現地、または外国の方に通用し、認められたのだなと感謝の気持ちと嬉しさで胸がいっぱいになりました。
 同僚のホテル従業員たちは、陽気なシェフを筆頭に本当に良い人たちばかりで、毎朝7時からと朝早く真っ暗な中での出勤でしたが、一度も出勤するのが嫌にはなりませんでした。初日は緊張してしまい、私の表情がこわばっていたこともあり、うまくコミュニケーションをとることができず、明日から9月末までやっていけるのだろうかと泣きそうになるほど不安に思いました。しかし、2日目からは父から言われていた「笑顔でいればまわりが助けてくれるよ」という言葉を意識し、朝の挨拶をとびっきりの笑顔でしたところ、そこからはすぐに打ち解けることができました。業務上の質問はもちろん、ドイツ語の言い回しやお客様に対して使う言葉、またはミルカ(私の大好物だったチョコレート)をどこで一番安く買うことができるかなどといったことまでも自ら積極的に聞く(話しかける)ことによって、気づいたときには冗談やたわいもない話ができるようになっていました。インターンシップの終わり頃には、レストラン内だけでなく、各部署の方々とも仲良くなることができ、仕事中は自然と笑顔でいることが多かったように思います。特に厨房内のシェフたちは、本当に冗談好きのおじさんばかりで、お皿を下げに行くたびに笑っていました。ある一人のシェフの息子さんが20歳で私と同い年であることを知った時に、「ちょうどいい!結婚だ!」なんて冗談を言われたこともありました。外国人である私のことをこれほどにも皆で受け入れて、外国人だからといって特別扱いをすることなく、仲間の一人として普通に接してもらえたことが、何よりも嬉しく思います。別れの際に頂いた「Bleib so wie du bist !」(そのままの君でいてね。)という言葉は私の宝物です。本当にここでインターンシップができてよかったと心から思います。

4. おわりに
たった2か月間ではありましたが、このプログラムに参加して肌で感じて学び取れたことがたくさんありました。その中でも私がここで一番お伝えしたいのは、どんな状況下でも、笑顔でいることの大切さです。接客をするうえで笑顔でいることは大前提でしたが、接客以外のところでも笑顔を意識することで、関わるすべての方にまず悪い印象を与えることはありません。笑顔でいることによって相手もこちらに近づきやすくなりますし、自然と不安も解消されたように思います。このことは海外においてのみならず、日本国内で生活していく中でも大切なことだと思うので、今後の就職活動をはじめ、常に意識していこうと思います。
最後になりましたが、このプログラムを支えて下さったアルブレヒト先生や古田先生をはじめ、現地で関わったすべての方々に心からお礼申し上げます。本当にこのプログラムに参加して良かったです。ありがとうございました。

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Wasserschloss Haus Bodelschwingh (小峯 萌花)

小峯萌花(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Wasserschloss Haus Bodelschwingh


1. 応募理由
私がこのインターンシッププログラムに応募した理由は大きく分けて3つあります。
1つ目はドイツ語を実生活の場で使うことを重要視したからです。海外で働くとなると、その地域での言語は必須となります。私はドイツ語を「使う」ということを第1に考えていました。高校から学習してきて1番苦手なのはアウトプットでした。日本で学習しているとどうしても母語に頼ってしまうのでその状況から脱したかったというのもあります。留学を選ばなかった理由は、「ドイツ語を勉強する」「ドイツ語で授業を受ける」というよりも、「ドイツ語を使って何かをする」ということに目的を置いて、ドイツで生活したいと考えていたからです。
 2つ目はホームステイです。今回のインターンシップでの渡独が私にとって初めての渡独でした。海外で長期滞在をしたこともなかったので、留学のように1人暮らしは不安だったというのもあります。ですが、ホームステイを望んだ1番の理由は、ドイツでの現地の人の暮らし方を実際に体験したかったということです。自分が生まれてからずっと生活してきた日本と何が違うのかを自分で体感するためには、ホームステイがベストだと思いました。
 3つ目は「ドイツで働く」という経験を積みたかったからです。ドイツ語を学びながら、将来的にはドイツで働く、もしくはドイツ語を使って働くということを常に意識していました。学生のうちにその経験ができるのは、今後の人生で大きな糧になると思いました。こういったドイツでのインターンシップ・プログラムを用意してくれている大学はなかなかありません。最初はその珍しさからの興味もありました。海外、しかもドイツで、自分が専門的に学んでいるドイツ語を使ってその経験ができるというこのプログラムは絶好のチャンスでした。

2. 日本での準備
私はこのインターンシップ・プログラム参加のために、大学内外で様々な準備をしました。
1) 学内(このプログラムの準備として受講した授業)
・木曜1限「インターンシップ特殊演習」 担当教員:アルブレヒト先生
 授業はすべてドイツ語で行われました。この授業はインターンシップ・プログム
に参加する学生は必ず受講しなければなりません。授業では毎回受講生の1人が
プレゼンテーションを行い、質疑応答、評価をしました。また、ドイツで仕事をす
るうえで必要な、電話応対、メールの書き方なども学習しました。宿題として毎日
ニュース番組のTagesschauを見て、知らない語句を5つ以上挙げて、次回の授
業で確認するというものもありました。
 ドイツ語でプレゼンテーションをする機会が今までになかったので、最初は難し
く感じたように思います。テーマがフリーだったので自分の好きなスポーツについ
てプレゼンテーションをしました。興味のある内容だと苦手なSprechen(会話)
も単語がどんどん出てきて自信につながりました。

・月曜5限「外国語特殊演習」 担当教員:ビティヒ先生
 この授業もすべてドイツ語で行われました。協定校のレーゲンスブルク大学の学
生と授業内外でビデオチャット(タンデム)をする授業です。授業で1時間、プラ
イベートで1時間、決まったタンデムパートナーとタンデムをして、最後に私たち
はドイツ語で、ドイツのタンデムパートナーは日本語でプレゼンテーションを行い
ました。
 この授業は自分のドイツ語会話能力を上げようと思い受講しました。このタンデ
ムで使ったドイツ語は授業で習うドイツ語というよりは日常会話に近い印象でし
た。タンデムパートナーにこのインターンシップ・プログラムでドイツへ行くこと
を話していたので、仕事するうえで不安なことを相談したり、「ドイツで働く」と
いうことをよく質問したりしていました。スモールトークが苦手だったのですが、
ネイティブと話す機会を設けられたので鍛えられました。
2) 学外(このプログラムの準備として参加した学外のプログラム)
・インターウニ・ゼミナール
大学間を越えたドイツ語学習のための4泊5日のキャンプ。グループディスカ
ッションやグループワーク、プレゼンテーションなどを行った。1年次の春休み、
2年次の夏休みと春休みの3回参加。
・KisDaF(韓国のインターウニ・ゼミナール)
 韓国で開催されるインターウニ・ゼミナールに日本からのゲスト学生として参加。
期間は3泊4日。
    
3. 事前研修
事前研修は日曜日を除く8月3日から8月11日にかけてドルトムントのAus-
landsgesellschaft(外国協会)で行われました。そこで受講したドイツ語の授業
では、ゲーテ講座対策のようなテキストのプリントを用意してもらい、これに取り
組みました。Lesen(読解)を中心にちょっとしたプレゼンなども行いました。内
容は職業や職場、将来の夢などに関係したものが多くこれから自分がドイツで「働
く」ということを自覚するとともに楽しみな授業になりました。

4. インターンシップ
私はSchloss Bodelschwinghというお城のお庭で開催される3日間のお祭り
の準備、運営、後片付けを行いました。お祭りの当日までは事務所で招待状の準備
や、リストの作成、倉庫での備品整理など、集中して行う作業から体力勝負の作業
まで様々でした。事務所には、私たちの上司の女性が1人、その方の同僚の女性
が1人、ドイツ人のインターンの男子学生が1人いました。敷地内のお城にお祭の
主催者である男爵夫人がお住まいになっていて、事務所にいる職員に用事がある
ときのみ事務所にいらっしゃるという感じでした。事務作業を任されたときは、
データや資料とのにらめっこでした。特に苦労したのは現地の人の筆記体の資料の
解読です。普段筆記体でのアルファベット表記になれていなかったので、この作業
はとても神経を使って少しストレスがたまる作業でした。また、お祭りが近づくと
現地のアルバイトの学生が準備のためにお城に集まるようになり、そこでやっとド
イツ語を話す機会が増えてきました。
 お祭り期間中はDepot Serviceというサービスのお手伝いをしていました。日
本でいうクロークみたいなものです。お客様の荷持をお預かりして、帰宅時に再
びお渡しするというサービスです。「どんな荷物ですか?」「何を預けましたか?」
などいろんな表現をアルバイトの学生のまねをして使うようにしました。お祭りが
終わってからは、テントや花壇の整理などおと片付けに追われました。これもまた
体力を要する作業で汗をかくこともありました。私たちの担当となっていた女性職
員は気分の波が激しくて温厚な時とそうでないときで使うドイツ語の難易度にも
波がありました。最初はその波についていけず、大分戸惑いましたが、3週間すぎ
位から、自分も順応していけました。

5. ホストファミリー
ドルトムントではSchröder家にお世話になりました。お父さん、お母さんと大
学院に進学が決まったお兄さんの3人家族で、中型犬を飼っていました。一緒に生
活していたお兄さんは二男で、長男はすでに結婚し、奥さんとお子さんと別の場所
で生活していましたが、週末にはよく実家に顔をだし、その娘さんと遊ぶことも何
度かありました。Schröder家は一軒家で大きな庭がありました。その庭には、ゲ
ストを受け入れるための小さな建物があり、私はそこで生活していました。その建
物にはキッチン、冷蔵庫、ベッド、机、トイレ、テレビがあり、一人暮らしには十
分な設備が整っており、シャワーのみ母屋のものを借りていました。朝食は母屋で
時間が合えばホストファミリーと一緒に取り、昼食は自分でサンドイッチを作り職
場へ持参していました。夕食は母屋のキッチンや自室のキッチンで作ったり、ホス
トファミリーが振舞ってくれたり、友人とレストランへ食事に行ったりと日によっ
てまちまちでした。Schröder家は私のことを本当の家族のように扱ってくれまし
た。お父さんはよく庭で工具を使って何かを作っていたり(私が滞在している間に
自転車の自動ドアつき車庫を完成させていました)、お母さんは料理上手の方で、
仕事が終わるとウォーキングやサイクリング、ジムへ誘ってくれたりとアクティブ
な方でもありました。お兄さんは車に乗せてお祭りや、友人のBBQに連れて行っ
てくれたりしました。お父さんとお母さんは、毎朝今日の予定を聞いてくれて、毎
晩その日あったことに耳を傾けてくれました。私が心配をかけたくなくて、少しご
まかして話をしているとき、少しでも私の表情に違和感を覚えたらすぐに声をかけ
てくれたり、相談に乗ってくれたり、「そういう時はおいしいものを食べよう!」
と気分転換を促してくれました。初めて海外で2週間以上過ごしたので、ホームシ
ックになることを心配していましたが、Schröder家のおかげでホームシックにな
ることなく無事に2か月の滞在を終えられました。

6. おわりに
 「働くこと」に関してひとつ、日本との違いを挙げるなら、ドイツでは定時で必
ず仕事が終わるということです。最初は就業後の時間の使いかたに戸惑いましたが、
過ごしていくにつれて、就業後の自由時間は自分のやりたいことを目一杯できる大
切な時間だと気づきました。今後、このプログラムに参加したいと考えている学生
のみなさんには、インターンシップとは別にもう一つ目的をもってドイツへ渡るこ
とをお勧めします。私は大学で体育会フライングディスク部に所属していたのでド
ルトムントのアルティメットチームの練習にお邪魔して週2~3、仕事終わりに練
習に参加し、週末は小さなトーナメントに出場させてもらったりしていました。
 このプログラムを終えた今、総じて言えるのは参加してよかったということです。
いいことも、悪いことも、うれしかったことも、嫌なことも、実体験してみないと
自分を成長させることはできないし、自分のドイツ語能力も上がりません。海外で
働くこと、海外で生活すること、他人と「家族」になること、いろんなことをこの
プログラムで初めて体験できたと思います。

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Litfass Bücher und Medien GmbH(藤原 寧嶺)

藤原寧嶺(ドイツ語学科3年)

インターンシップ先: Litfass Bücher und Medien GmbH


1.はじめに
 私は高校3年次に獨協大学のオープン・キャンパスでインターンシップ・プログラムの存在を知り、当時から参加する事を決めていました。将来何をするのか進路が決まっていない私にとって、このプログラムは働くことを考えるきっかけにもなるのではないかと考えました。また長期留学とは異なり、ステイ先がホストファミリーであることも魅力でした。実際にひとつの家庭のなかで生活することにより、文化、習慣を肌で感じることができることも参加する動機のひとつでした。

2.事前準備
 プログラム前の春学期にアルブレヒト先生の「インターンシップ特殊演習」を受講しました。アウトプット重視の授業なので、プレゼンテーション、スモールトークの練習、ドイツのニュースを聞いて話し合うことが中心でした。ドイツで働くために大切な知識を得られるだけではなく、会話をする機会が他の授業よりも多く、職場で同僚と話すための準備練習ができました。ドイツに渡航してからインターンシップが始まるまでの約1週間、ドルトムントのAuslandsgesellschaft(外国協会)でドイツ語コースを受講しました。受講期間中は授業だけではなく、パン工場見学、ミュージカル鑑賞、市内観光など、さまざまな課外活動を体験することができ、ドルトムントの歴史、ドイツの職場について多くを知ることができました。

3.インターンシップ
 研修先の書店「Litfass Bücher & Medien」は私が想像していたものと少し違っていました。主な顧客は市の図書館、大学、研究所などの団体が多く、店頭で書籍の販売もしていますが、インターネットによる購入や定期購読書の注文応対が業務のほとんどでした。書店に訪れるお客様は1時間に1、2人だったので、最初の2週間店頭で働いていた私は、業務内容にすこし物足りなさを感じたため、社長とこのことについて話し合うことにしました。その結果、ひとつの業務に特化するのではなく幅広い業務を体験することになりました。そこからの4週間では、領収書の整理などの事務作業や、本を配達しているトラックに乗り荷物を運ぶこと、新規の顧客に送るメールの作成もお手伝いさせていただきました。
 なかでも一番おもしろかった仕事は、図書館に送る本やギムナジウムで使う本にカバーをつけることでした。作業自体は簡単だったのですが、そこの部署の同僚がバイエルン出身だったため、はじめは彼女のドイツ語を聞き取ることがとても難しく何回も聞き返してしまいました。私が聞き返すと彼女は、毎回笑顔で、簡単な言葉に言い換えて説明してくれました。
 研修先は社長を含めても10人ほどの小さな会社だったので一人一人の距離が近く、お昼もみんなで食べるほど雰囲気が良かったです。勤務時間は平日は8時から16時(金曜は15時)まででした。通勤時間が大体30分ほどかかったので朝がすこし辛い時もありました。しかし、休憩時や週末にはすきな本を読んでいいと言われていたので色々な本を読むことができました。また、研修最終日には本をプレゼントしていただきとても嬉しかったことを覚えています。6週間という短い期間でさまざまな仕事を体験することができ、何をしたいという明確な職種が決まっていなかった私にとってもとても参考になるドイツでの就業体験でした。

4.ホストファミリー
 私はもともとWagnerさんがホストファミリーだったのですが、急遽Burmannさんの家に滞在させていただくことになりました。Burmannさんは娘が日本に住んでいることもあり、日本のことにとても詳しい方でした。食卓の場では日本とドイツの違いについて議論したり、家族の紹介をしたりしてたくさんドイツ語を話すことができました。食後はふたりで映画をみたりラジオをきいたりしてドイツ語の勉強をしました。休日には近くの公園に木の実を取りに行き、その木の実を使ったケーキを一緒に作りました。基本的に食事はふたりで準備し片付けることがいつの間にかルールになっていました。Burmannさんは私のドイツ語がまちがっているといつも訂正してくれ、不自然な単語や文法も、より自然な言い回しや同じようなニュアンスの言葉に置き換えて教えてくれました。ドイツの家庭の文化や習慣を直接肌に感じるとともに、ドイツ語力もさらに高めることができたと思います。

5.おわりに
 今回このインターンシップを通して、海外で働くこと、海外で暮らすことを実際に体験することで今まで知らなかったことがたくさん見えてきました。外国語環境の中で働くことは想像どおり決して簡単なことではなかったのですが、自分の思っていることを伝えることがとても大切だと改めて気づくことができました。このプログラムを通じて、語学力の向上だけでなく人としても成長できたと感じています。 
 最後になりましたが、このプログラムは周りの方々の助けがあったからこそ参加し、無事にやり遂げることができたと感じています。プログラムを支えてくださったアルブレヒト先生、古田先生、ドルトムントで事前研修を担当してくださった外国協会の方々、ホストファミリーのBurmannさん、応援してくれた家族に感謝しています。このプログラムで得たことをこれから発揮できるよう頑張ります。

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Super Bio Markt AG(浅川 穂乃香)

浅川穂乃香(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Super Bio Markt AG

1. はじめに
大学2年生になり、ドイツ語の能力を習得するだけでは無く、ドイツ語を"使って"何かをしたいなと考え始めました。また、将来は海外で働いてみたいという憧れをずっと持っていたのですが、外国人として働くということがどんなことなのかを知らずに、将来を決めていいのだろうかと悩んでいました。そこで、1年生のときにドイツ語圏入門で先輩方がお話しして下さったインターンシップのことを思い出し、日本の大学に在学しながらも、海外で働く経験ができるというこのチャンスはかなり貴重だと思ったのと、何よりも、ドイツ語を使って働けるという私の希望にぴったりのプログラムだったので、参加をする事に決めました。

2. 事前準備について
このインターンシップに参加するにあたっての条件であったB1の資格は、2年生の秋に取得しました。インターンシップの参加が決まってからは、3年生の春学期にアルブレヒト先生の「インターンシップ特殊演習」の授業を取り、ビジネスで必要なドイツ語の言い回しやドイツについての知識を学び、スモールトークやプレゼンを通してアウトプット力も身につけることができました。ドイツに到着してからの8/3〜8/11までの約1週間はAuslandsgesellschaft(外国協会)で参加者みんなで授業を受けました。ドイツ語のアウトプットに慣れることや、現地の雰囲気に慣れるためのいい準備期間だったと思います。授業の後には、外国協会の方々が用意してくれたお出かけプログラムでドルトムントの街を散策したり、炭鉱やパン工場を見学に行ったりと、とても充実した内容でした。インターンシップが始まるまでの緊張した気持ちを落ち着かせることができたので、この授業期間のプログラムはとてもありがたかったです。また、インターンシップが始まってからも外国協会の方がStarlight Express というBochum にある有名なミュージカルのチケットや、BVBの試合のチケットも手配してくださり、とても貴重な経験をすることができました。

3. インターンシップ先について
私の職場は、ドルトムントの中心地から少し離れたところにあるSuper Bio Markt という、オーガニック食品や商品のみを扱うスーパーでした。そのスーパーのなかにはカフェと一体化したパン屋さんがあり、主に私はそこで働かせてもらいました。8/13〜9/21の間、勤務日時は月〜金で、基本的には12:00〜18:00まで働きました。仕事内容は、陳列棚での仕事とパン屋さんでの仕事でした。
 陳列棚では、お客さんの減ってくる時間帯の17:00からは棚の整理を任され、陳列している間に日本では見たこともない商品を発見したり、新たな単語も沢山覚えたりすることができたので、常に新しい発見がありました。お客様に商品の場所を聞かれることもよくあったので、会話の練習にもなりました。
 パン屋さんでは、レジ作業の他、お客様からの注文を受けて、パン、ドリンク、ランチを提供するのが主な仕事でしたが、ドイツのパンは驚くほど沢山種類があり、まずはそれを覚えることに必死でした。
 また、良くも悪くも、シェフは放任主義だったので、細かい指示は無く、棚の陳列に呼ばれたり届いた商品の開封作業を手伝った後は放置されたり、知らぬ間にシェフは帰ってしまっているという状況に途方にくれたこともありました。こうした経験を通じて痛感したことは、受け身ではなく自発的に行動する力が必要だということです。特に、シフトの関係で日々入れ替わる同僚たちとの関わりも、私から積極的に行かないと、挨拶は交わすもののそれ以上仲良くなるチャンスすら得られないと思ったので、挨拶だけではなく共通の話題を見つけたり、積極的に話しかけるようにしました。その甲斐もあり、サッカー好きの同僚とはスタジアムで合流することもできたり、アジアに興味のある同僚からはドイツ産のお醤油をプレゼントしてもらえたりと、仕事以外の面でも関わりを増やすことができました。お客さんと仲良くなるために、緊張しつつも自分からスモールトークを始めてみたり、日本人である自分ならではの心遣いを大切に接客をしたりと工夫をしました。スーパーがあったHombruch というところはアジア人がものすごく少ない地域だったので、日本人の私が珍しかったこともあり、興味を持って話しかけてくださるお客さまも多く、常連の方々も私のことをだんだんと受け入れてくれました。このようにして、仕事や環境に慣れるまでの間は、仕事内容や人間関係に関して日々試行錯誤を繰り返しました。
 インターンの後半には、1人でパン屋さんの仕事を任せてもらうこともでき、やり甲斐を感じられました。いつも私の面倒をみてくれていた同僚ととても仲良くなり、仕事の休憩時間には一緒にアイスクリームを食べに行ったり、街をお散歩したりしました。他の同僚もみんなとても親切で、分からないことがあればなんでも教えてくれました。この職場では年齢や役職に関わらず、みんなファーストネームで呼び合い、親しい間柄で使用するDuで話していたことが印象的でした。また、お客さんとの距離も近く、同僚がいつも楽しそうに会話をしながら接客をしていることがとても新鮮でした。お客さんや同僚との関わりの中で、人との繋がり、オープンな心でいることの大切さを改めて感じられたインターン先でした。

4. ホームステイ先について
私はドルトムントの中心部にあるお家に、ホストマザーと2人で2ヶ月間生活をしました。家には、2匹の猫もいました。家の周りにはスーパーが沢山ある良い立地環境で、買い物に困ることはありませんでした。ホストマザーは以前はお医者さんをしていた方で、退職後の今は週に2回、難民の方々にドイツ語と英語の授業を行なう他は在宅していたため、一緒に過ごせる時間がとても多く、朝食も毎日一緒に食べていました。食事についてですが、基本的に私は自炊生活を送りました。親切なホストマザーは、冷蔵庫と、パスタなどを保管しておく棚を私用のスペースを空けて貸してくださり、キッチンや、調味料、家に置いてあるフルーツは自由に使ったり食べたりしていいよとも言ってくれました。
 彼女はとても趣味の多い方で、水泳、スケッチ、バイオリン、サイクリング、コンサート鑑賞など毎日様々な活動をしていて、私も一緒にプールやサイクリング、コンサートに連れて行ってもらい、とても楽しい時間を過ごせました。夜はその日1日のことをお互いに語り合い、テレビドラマを一緒に見るなどして過ごしました。8月の最後の1週間、ホストマザーはUrlaub(長期旅行)に行ってしまい、一人暮らしのような期間が1週間だけありましたが、自分のペースで暮らすことができ、楽しい時間でした。2ヶ月も一緒に暮らしていると、意見が合わないこともたまにありましたが、その時はしっかりと話し合い、無事に解決することができました。最後の日には「私はあなたの友人よ。またいつでも来てね!」と言ってくださり、ステキな出会いに感謝でいっぱいです。

5. おわりに
このプログラムを通して、ドイツでの働き方や生活の仕方についてよく知ることができました。そこで特に感じたのは、"外国人"として暮らすことの大変さです。言語や文化の壁を越えることは簡単ではないけれども、まずは積極的にその地に溶け込もうとする姿勢が必要なのだと痛感しました。YesかNoか、自分のはっきりとした意見を求められることや、アジア人であるが故に奇妙な目で見られる辛さなど、日本に住んでいるだけでは体験することのないようなことも起こりましたが、ドイツで暮らしている以上はそこの文化に上手く順応することが、自分のストレスを減らし楽しく生活するために1番大切な秘訣だなと感じました。
 大変なこともあったけれど、試行錯誤をしながら無事にインターンを終えることができ、達成感でいっぱいです。このインターンで学んだことは、これから先の人生においても必要になるものだと思うので、ここでの経験を活かしていきたいです。ドイツ社会に溶け込む経験のできるこのプログラムに参加して本当によかったなと心から思います。このような機会を作ってくださった古田先生、Albrecht 先生、外国協会の方々、そしてインターンシッププログラムで一緒に過ごしたみんな、応援してくれた家族、関わってくれたすべての人に感謝します。
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Wasserschloss Haus Bodelschwingh (椎名 智也)

椎名智也(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先:Wasserschloss Haus Bodelschwingh

1. はじめに
 私がこのインターンシップ・プログラムに参加した理由は、日本での自分を客観視するためでした。あらゆるものが異なるドイツで、ある家族の一員として暮らし、ある会社の一員として働き、現地のリアルな生活を体験する機会を提供してくれるのがこのインターンシップでした。私は語学力向上を目的に参加したのではありません。そのため夏休みの間は、他の国で生活することも考えていました。しかし大学で学んだ集大成として、そして言語的にリアルな日常を送るためにも、ドイツでのインターンシップに参加することを希望しました。もちろん金銭的な面も、言わずもがなです。

2. 事前研修
 このプログラムに参加するためには大学で春学期に、「インターンシップ特殊演習」の授業を受けることが必須でした。この授業ではドイツ語で、簡単なプレゼンテーションやスモールトークを行ったり、Youtubeの動画をみたりしながらドイツ語を学習しました。その結果日本にいるのにもかかわらず、ドイツ語を用いることに対しての抵抗感は確実に減りました。またドルトムントでもインターンシップ開始前、Auslandsgesellschaft(外国協会)で約2週間にわたるドイツ語の授業を受けました。内容としては実用的で基本的な、ドイツ語の習得を目指すものでした。

3. ホストファミリー
 私はドルトムント中央駅から電車で約20分の場所にある、Schröder家でホームステイをしました。家族構成は父と母、次男、そして一匹の犬でした。数年前に結婚をして実家を出ていった長男の部屋を、私は借りました。
父は建設会社に長年勤めており、何でも自分で作ってしまう人でした。そのため長男の部屋を獨協のインターン生のためにリフォームしただけではなく、庭に大きな小屋をつくったり、家を自ら設計して作り直したりと、とても頼りがいのあるホストファーザーでした。また母はケーキを焼くことが趣味であるそうなので、ティータイムの時間が待ち遠しかったです。また日ごろから掃除を熱心にしているため、家は常に清潔に保たれていました。次男は日本が大好きで、日本を訪れたこともあるそうです。部屋にはワンピースの漫画が全巻置かれていたりと、大のワンピースファンでもありました。そんな彼は休日、様々なイベントに連れ出してくれたり、彼の友人らとのパーティーに招待してくれたりもしました。犬に関してはやたらと人懐っこく、部屋のドアを開けていると勝手に入ってきては、足元で眠ってしまうことも多々ありました。家族は総じて親切で、彼らと生活することで多くのことを学ぶことができました。例えばお互いを尊重したうえで主張し合う大切さや、物に対しても尊敬し大事に扱うことなど.........。Schröder家の一員として生活することで、人生における基本的で重要なことのいくつかを身をもって学び、体に染みこませることができました。

4. インターンシップ
8月13日から9月19日までの間、私はドルトムントにあるSchloss Bodel-
schwinghという城で、インターンシップを行いました。この城でのインターンシップの目標は8月末から3日間、開催される祭りを成功させることでした。この城でのインターンシップには同じく3年生の小峯さんも参加していました。私たちの仕事は主に祭りの準備と後片付け、そして次の祭りまでの準備でした。仕事現場は城の近くの事務所か屋外テント、倉庫が主でした。仕事内容としては正直、頭と口を全く使わない雑用的な単純作業がほとんどでした。インターン生が2人いるのは今年度が初めてだったそうで、担当の方も色々と手こずっているようでした。
ここからは少し愚痴的なものになりますが、まず仕事が単純すぎました。例えば祭りの入場券を黙々と何時間も数え続けたり、封筒に何時間も書類を入れたりするような単純作業が多かったです。またインターン生が2人いたため言語的にも簡単であったり、オフィス外でぽつんと仕事をすることが多かったため、インターン先でドイツ語を日常的に使う機会はとても少なかったです。
反対に良かった点と言えばまず一つ目に毎日、非日常すぎる空間で仕事をすることができることにあります。毎日、城や広大な自然を見ながら出勤し、マイナスイオンを感じながらのんびりと帰宅することができるのは、この城でのインターンシップの魅力でした。また2つ目に、休みがしっかりもらえる点も嬉しかったです。今年は特に参加者が2人いたこともあり、仕事が早く終わってしまった日や、仕事が済んでしまった日は早く帰宅したり、丸1日休みになることもありました。その休みを利用して多くの地を観光することも可能だったため、アクティブな僕にはそういった点で良い環境でした。

5. おわりに
私はこのプログラムを通して多くのことを吸収し、日本での自分をしっかりと客観視することができました。幼いころから自分の意見をしっかりと持てるように教育するドイツと、集団行動を徹底し、協調性を叩き込む日本。この考え方の違いをドイツでは強く感じました。もちろん両者とも一長一短であると思います。例えば日本には「出る杭は打たれる」という言葉もある通り、日本人の多くは目立ってでも主張することを苦手とし、集団に合わせがちです。そういった環境下で育ち、教育されていては、協調性こそが美であると盲目的に考えてしまいがちです(自分はそうでした)。しかし日本を飛び出してドイツで生活することにより、その考えは自分には合っていないことに気がつきました。もちろん、常に主張ばかりして自分が一番、とばかり考えていたらそれはそれで社会不適合者となってしまいます。
今回のプログラムを通じて、こういった日本とドイツでの考え方の違いを実際に体験し、両者の特徴を客観的に理解することができました。それによってこれからの人生、自分に自信を持ち、よりよく進んでいけるのではないかと考えています。
 最後に、このプログラムを進めてくださった古田先生やAlbrecht先生、そして受け入れてくださった外国協会の方々やSchröder家、Schloss Bodelschwinghの方々、2か月間本当にありがとうございました。思い返してみるとたった2か月という短い期間ですが、日々挑戦の連続で、大きく進歩することのできた期間であり、人生の岐路にもなったのではないかと考えています。ドイツでの実りある日々の経験を忘れずに、これからも多くのことを吸収し、自分を形成していきたいと思います。ありがとうございました。

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