ドイツ語学科では、夏休み期間にドイツでのインターンシップ研修を行うことができます。
ドイツ語圏で仕事することやドイツ語を使って仕事をすることに興味のある学生は、ぜひこのチャンスを最大限に活用してください。
2024年度インターンシップ参加申込案内
2024年度のインターンシップ参加希望者を募集しています。
参加を希望する学生は、以下の注意事項に従って必要書類を提出してエントリーください。提出いただいた書類は採用のための選考資料にします。
提出書類:① エントリーシート(以下よりファイルをダウンロードしてください。)
② 獨協大学発行の「成績表」1部
提出場所:ドイツ語学科共同研究室(中央棟5階526)
提出締切:2024年1月31日(水)午後5時(時間厳守のこと)
エントリーシートはこちら(PDF形式です)
エントリー後の流れ:
① 書類選考の上、個別面接をします。詳しい時間・場所については追ってメールにて連絡します。
② 面接結果を踏まえた最終結果も、メールにて個別に連絡します。
③ 過去のインターンシップ参加者の報告書を読んでおいてください。(下部よりご覧ください)
2019年度、ドイツにて行われたインターンシップ研修の様子を参加した学生の報告書からご紹介します。
2019年度参加者:5名
Mercure Hotel Dortmund Centrum(榑林 みなと)
榑林 みなと(ドイツ語学科2年)
インターンシップ先:Mercure Hotel Dortmund Centrum
【参加動機】
私がこのインターンシップ・プログラムに参加しようと思った最大の理由は、「実践的なドイツ語を習得したい」からでした。高校3年生から1年間ドイツに留学していた経験がありました。当時は文法的な学習を体系的には行わず、基本的な単語の並びと格変化以外はほとんど耳で覚えたドイツ語でした。そのため、常に自分のドイツ語が正しいものなのかという不安もあり、もやもやした状態でコミュニケーションをとっていました。
獨協大学に入学して半年ほどたったときに、基礎的な文法を改めて学び、ある程度正しいドイツ語を使えるようになってきたことを実感するようになりました。そのころから、「新たに培ったドイツ語力をもう一度現地で使ってみたい」と思うようになり、このプログラムに応募しました。
【出発前の準備】
・インターンシップ特殊演習
インターンシップに参加する直前の、2年生の前期、Niewalda先生の「インターンシップ特殊演習」を履修していました。この授業では、主に職場で使うドイツ語を学びました。プリントをこなしたり板書をするような授業ではなく、会話をしながらコミュニケーションをとったり、プレゼンテーションが中心の授業です。
インターンシップを終えたときに、私が最もこの授業で学んだ内容で役に立ったと感じたのは、スモールトーク、所謂会話力を伸ばす練習でした。実際に行われた授業は、日本に関するテーマを一人一つ決めて発表し、その発表に対して感想や疑問を伝えます。そして最後に、自分がプレゼンから得た知識を使って学生同士で模擬スモールトークをするといったような内容でした。インターン先は長期休暇の時期という影響もあり、1日の勤務時間のほとんどを同僚と話をして終わってしまうような日もよくありました。こうした折には実際に発表で知った、日本の漫画やアニメなどの文化的なことから日本の教育制度にいたるまで、幅の広い会話を同僚たちと楽しむことができました。
数える程しかありませんでしたが、職場にかかってくる電話に対応する機会もありました。そのときには授業で学んだ電話中に使えるフレーズ、例えば「こちらは○○です。」や「○○は本日お休みです。」、「○○に電話をお繋ぎします。」がとても役にたちました。冷静に考えればわかるけれども、焦っていたり緊張したりしていると咄嗟に出てこないような言い回しも、前もってきちんと学んでいたからこそ臨機応変に使えたのだろうと思います。ドイツの時事問題に関する課題も多く出され、決して簡単な授業ではありませんでしたが、たくさんのものを身に付けることができた半年間でした。
・授業外の準備
インターン先がホテルに決まり仕事の内容がわかってからは、実際にその職業に特化した言葉やフレーズを自分で調べて勉強するようにしていました。ドルトムントは経済的にも発展した地域なので、外国からビジネスのためにやってくるゲストも少なくないだろうと考え、英語でもある程度のフレーズが言えるように勉強していました。
今回は獨協大学側、そしてドルトムントの外国協会側、どちらもプログラム担当者が変更になった影響もあり、プログラムの日程が確定するのが遅くなったため、連絡事項が先方とうまくつながらないこともありました。加えて、出国日を早めに知って航空券を確保したい等の事情もあり、参加者間で常に最新の情報をシェアすることもみんなで心がけていたことです。
【準備講座】
8月1日にドルトムントに到着し、翌日の2日から10日までドルトムントの外国協会主催の準備講座がありました。私たちと年の変わらないドイツ人の先生が1週間担当してくださいました。準備講座は用意された教材を元に進められましたが、わからないことがあると、教員は一度教材から離れて、私たちが理解するまで根気強く教えてくれました。この講座ではただ勉強するのではなく、実際にお客様に対して使えるフレーズや言い回しをたくさん教わり、そのシチュエーションを想定して会話の練習が展開されることがとても多かったです。仕事中に、自分の言葉の言い回しに自信を持ってゲストに対応できる時というのは、だいたいこの準備講座で習ったことを実践しているときでした。準備講座の最終日には、担当教員が私たちの小さな不安にも熱心に耳を傾けてくれました。勤務開始時間の何分くらい前に行けばいいのか、出勤するときは指定された格好で行ったほうがいいのか、それともその場で着替えるのか、など外国にいるからこそ心配になってしまうようなことにも最後まで相談に乗っていただき、担当教員の存在はとても心強いものでした。
また、彼女は授業外でも金曜日の夜に夕食に誘ってくれた他、現地の学生がよく行く町にも連れて行ってくれました。私が航空券の手続きでトラブルがあったときには一緒に対処してくれた他、準備講座が終わってからも困ったときには必ず相談に乗ってくれました。
【インターン先について】
・職場と仕事の内容、1日の流れ
私のインターン先は、“Mercure Hotel Dortmund Centrum”内に併設されているレストランで、そこでは接客係として勤務していました。
平日の月曜日から金曜日まで勤務し、土日は休みでした。朝8時に出勤し、10時30分までは朝食ビュッフェの時間です。レストランにやってくるゲストに部屋の番号を聞いて間違いがないかをチェックします。時々ホテルに宿泊をしていないお客様がビュッフェにいらっしゃるので、その場合は人数やメニュー、値段をレジで入力して領収書を発行し、サインをもらいに行きます。それと同時に食器を下げたり、席に着いたゲストのところにコーヒーを持って行ったり、別の飲み物を頼まれたときにはキッチンで作って提供したりします。忙しい時間帯に何人もの人から一度に飲み物を頼まれて慌てることも多々ありましたが、1週間も経つと上手くこなせるようになりました。また、ビュッフェ台には用意されていないパンケーキやオムレツを作るサービスもしていたので、ゲストに頼まれたときは希望の具材を聞いてキッチンのシェフに伝えに行きます。朝食が終わる時間になると、朝食のビュッフェを片付けながら今度は昼食ビュッフェの準備に取り掛かります。予約の団体客がメインなので、毎日台帳でその日の団体と人数を調べてテーブルをセッティングします。それが終わると、朝食ビュッフェから好きなものを選んで、30分間の食事休憩をとります。レストランのフロアで働いている人数が少なく、それぞれの働いている場所やその日の予定によって休憩の時間が違うため、ひとりで休憩することがほとんどでしたが、時々同僚と休憩室で鉢合わせると30分も話し込んで朝食を食べ損ねることもありました。休憩の後は、足りない飲み物や焼き菓子を補充するために倉庫とフロアを何往復もしたり、洗い終えた食器を戻したり、団体客が使う部屋のセッティングをしたりします。昼食の時間はゲストに飲み物を聞き、それをキッチンから持っていきます。コーラの種類が3種類もあったり、聞いたことも見たこともない果物のジュースだったり、とにかく初めて見るものが多くて覚えるまではだいぶ苦労しましたが、寛大なゲストに何度も助けられました。昼食の片付けを終えると、朝と同じようにビュッフェのから好きなものを取って食べることができます。この時間はホテル中の同僚たちと過ごせる唯一の時間でした。昼食を取った後は、夕食のビュッフェのためのテーブルのセッティングをします。就業時間は15時まででしたが、仕事が終わり次第帰宅することがほとんどでした。
・職場環境
この職場の第一印象は、「皆なんていい人たちなのだろう!」でした。決して大きなホテルではないので、レストラン以外のレセプションやサービス関係、建物を整備する技術者や清掃業者など、ホテル内にいる人たちは誰もが顔見知りで仲が良かったです。勤務初日には、ホテル中の人たちが私に挨拶をしに来てくれて、その数があまりにも多すぎて誰の名前も覚えることができないほどでした。ホテルのスタッフの3分の1くらいはドイツ以外の出身者だったこともあり、従業員による言葉の面でのサポート体制は万全だったように思います。キッチンで働くスリランカ人の同僚は、「見たことのないものは全部挑戦してから日本に帰るのだよ」と言って常に料理の味見をさせてくれて、「美味しい!」というと今度はそれをお皿に盛って出してくるような愉快な人でした。レセプションで働く同い年のインドネシア出身の同僚は、誰よりも外国で働くことの難しさを理解していて、常に困ったことはないか気にかけてくれていました。私の教育担当であるホテルでトップの上司は多忙であるにも関わらず、顔を合わせると私の日本の家族や大学のことに興味を示すだけではなく、ドイツでの生活やホストファミリーについてもいつも心配してくれていました。同僚の中にも理不尽な理由で怒りを私にぶつけてきたり、外国人を毛嫌いするような人がいなかったわけではありません。にもかかわらず、それ以上に恵まれた同僚たちの中で働けたことで、このインターンシップ・プログラムの経験はさらに貴重なものになりました。
インターンシップの後半からは職業訓練生が何人かやってきました。特に一緒にレストランで働いていたトルコ人の同僚とは気が合いましたが、人手不足のため彼女には私が仕事を教えていました。一緒に働いていたのは3週間だけでしたが、仕事の愚痴やプライベートなことまで話せるような仲となり、今でも時々連絡を取り合っています。8月中は長期休暇ということもあり、ゲストが少なく午前中に帰宅を許されることも度々ありました。また、同じ作業の繰り返しが基本で、やはりある一定以上の責任を伴う業務はなかなか任せてもらえないのが現実です。そのため、どんなにいい職場環境でも、「慣れ」や「飽き」はありました。そんなときには、同僚や常連のお客様と会話することを常に心がけるようにしていました。日々のコミュニケーションをこころがけていたおかげで、周りの人たちとの信頼関係はかなり厚いものになりました。
【ホームステイについて】
6週間、私はBaumannさんという一人暮らしの女性の家でお世話になりました。娘さんが日本で働いているという縁もあり、今まで何度も獨協大学のインターンシップ参加者をホストしてきた経験をもつためか、日本や日本人に対してとても理解がある方でした。私は3階の一室を借りていましいたが、身支度や寝るとき以外は、好んでリビングで過ごしていました。
彼女も仕事をしていたので、家で一緒に過ごす時間は短かったですが、時間的余裕があるときには映画を見たり、買い物に行ったりしました。時にはビアガーデンにも連れて行ってもらいましたが、ふたりで過ごす時間をとても大切にしてくれる人でした。夕飯も基本的に一緒に作って、食べて、片付けをして、その後はテレビを見ながらチョコレートやチーズとワインを楽しむのが日課でした。朝は毎日ラジオをつけてニュースを聞くのですが、そのニュースについて意見を聞かれることがよくありました。低血圧で朝に弱い私にとって、それはこの家で過ごす上で、唯一の大変な日課だったと思います。
滞在のちょうど中頃、彼女が娘さんに逢いに10日間ほど日本に行くことを告げられました。不安でいっぱいでしたが、前もって近所の友人たちに事情を説明してくれていたので、毎日誰かしらが家に顔を出してくれました。家に訪ねてきたときに私が外出していると心配してわざわざ電話をかけてきてくれたり、週末には食事に誘ってくれたり、広い庭の花の水やりも手伝ってくれたので、ホストマザーの不在中も困ったことは特にありませんでした。むしろ留学をする予定がない私にとっては、ドイツで一人暮らしにチャレンジするいい機会だったなと思います。
Baumannさんは前述した通り、よく話しをする人でした。最後の夜には、私の将来の夢や日本の社会問題、グローバル化した世の中がどうなるのかなど、気づけば2時間以上話し込んでいて、自分のドイツ語力がどれだけ上がったのかを実感しました。また、毎朝のラジオニュースも知らないうちに会話力の向上には役だっていたようです。ドイツにいる間常に社会の話題に触れ、自分の意見を口にすることができていたのは、紛れもなく彼女とニュースのおかげだったと感じます。
【インターンシップに参加してみて】
約2ヶ月間の滞在を通して、私のプログラムへの参加の目的だった「使えるドイツ語」を身に付けることができたと感じます。それは、日本にいてテストの点数で測れるものではなく、あくまで体感ですが、私のドイツ語力は間違いなく向上したなと思います。
このインターンシップ・プログラムで、特にいいと思った点は、1)事前準備がしっかりできること、 2)参加費用の多くを大学が支援してくれること、 3)活きたドイツ語に触れられること、の3つです。日本中を探しても、ドイツでのインターンシップ・プログラムに参加できる大学は、決して多くありません。ましてや、これだけのサポート体制が整った環境の中でインターンシップを実践できるのは獨協大学ならではと思います。
また、インターンシップとはいえ、自分が「外国人労働者」になることで、異国の地で働く上での大変さも学びました。言葉がわかっても文化や習慣が違うだけで、「日本では簡単にできること」が途端に難しくなりました。だからこそ、日本で働く外国人労働者に対する理解を深めることもできました。
このインターンシップを留学の代わりにすることは決してお勧めしません。それは、留学で学べるであろうことをこのインターンシップ中に学ぶのは難しいと思うからです。しかしながら、もし自分のドイツ語力を試してみたい、異文化の中で働いてみたいと思う方には是非ともお勧めします。留学では決して得られない経験と沢山の人たちとの出会いが待っています。
Wasserschloss Haus Bodelschwingh (小池 真愛)
小池 真愛(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先:Wasserschloss Haus Bodelschwingh
【参加動機】
参加の理由は主に2つあります。一つ目は、ドイツで実際に働く経験を得たかったからです。私は将来ドイツで働くことを視野に入れている為、ドイツでの職場環境や仕事に対する姿勢を体験することで、将来の人生設計にとって重要なモチベーションを得られると考えました。
二つ目はホストファミリーのもとに2ヶ月滞在することから、ドイツ語を使う日々の中でドイツ文化をより深く理解できると考えたからです。以前ドイツを訪れた際はホテルに滞在しましたし、そのツアーでは日本人のガイドさんのアテンドも得られました。このツアーを通じて確かにドイツへの関心は増しましたが、ドイツを本当に理解するためには現地の言葉で文化に触れことが必要だと思い至りました。また獨協入学時からドイツでのインターンシップへの参加を目標にしていたこともあり、ドイツ留学中の夏季休暇期間を利用して参加できるこのプログラムは、私にとっては上記の目標を実現するのにとても良い機会となりました。
【出発前の準備】
インターン直前の春学期はすでにドイツに滞在していたため、現地でゲーテコースB2用の参考書を購入し、一般的な職場で使われる表現や単語を中心に自主的に予習をしました。また耳をドイツ語に慣らすために毎日ドイツのラジオ番組を聴いていました。
インターン先が決定してからはお世話になる職場について調べたり、昨年のインターンシップ体験談を読んでどういった仕事内容なのか、あらかじめ学んでおくべき用語がないかなどを確認しました。
【ドルトムントでの準備講座】
ドルトムントに到着した翌日の8/2から8/10までAuslandsgesellschaft (外国協会)で準備講座を受けました。講座は獨協からのインターン生と専属のドイツ人講師のみで行われたため、アットホームな雰囲気で質問がしやすい環境でした。講座の内容は職場で使える単語、表現、文法の学習が主で、電話対応の練習の為にロールプレイをしたりしました。1番ためになったのは、ドイツの職場環境についての文章を読んだことです。一般的な勤務開始時間や休憩時間、上司との会話の仕方をインターンプログラムが始まる前に知ることが出来ました。
また準備講座には授業の他に、市内観光やドルトムント市長との面談が含まれていました。講師の方がドルトムントの中心部や近くの町を案内してくださったり、美術館では職員の方に施設を紹介して頂きました。準備講座を通じて、ドイツの文化はもちろんドルトムントについても知識を深めることが出来ました。
【インターン先について】
私のインターン先は “Schloss Bodelschwingh” という名前の小さなお城でした。このお城の敷地内では年に2度フェスティバルが開催されています。私のインターン期間中には “Gartenflair”(庭園フェスティバルという秋を迎えるお祭り)が、そして冬には “Weihnachtsflair”(クリスマス・フェスティバル)が行われます。私はインターン生として、敷地内にある事務所でそれらのイベントの準備を行いました。
このお城では毎年獨協からインターン生を迎えているため、とても仕事がしやすかったように思います。例えば責任者の方が仕事の手順を一から教えてくださったり、難しそうな仕事についてはゆっくり時間をかけて説明して頂けました。ドイツでは常識である事が、日本人の私からすると分からない事も多かったため、きちんと対応して頂けたことが有り難かったです。体調が優れない時は早めに返してもらえたり、日本人参加者同士での集まりがある日は早めに帰っても良いと言って頂けたり、勤務時間やスケジュールの変更にも寛容な対応をしていただけました。イベント期間はとても忙しく連勤を強いられる一方、フェスティバル終了後にまとまった代休をもらえることもドイツらしいと感じました。
事務所では女性の上司3人と男爵夫妻が働いており、上司の犬や夫妻のお子さんもいる中で毎日仕事を行いました。日本では考えられない職場環境でしたが、私生活も大事にするドイツ文化を理解する機会になったと思います。
仕事内容はフェスティバルに向けての作業が多く、最初の週は招待状の宛先を確認したり、チケットを数えたりする事務作業を任せられました。お祭りの数日前になると、外に出て出店の看板を確認したり、搬入の手伝いなど体力仕事を任せられました。当日はあいにく体調を崩してしまいスタッフとしては働けませんでしたが、上司に「せっかくだからお客さんとして来て欲しい」と招待していただき、他のインターン生と一緒にフェスティバルを楽しむことができました。
通勤について述べると、始めはバスを使っていましたが、1時間に1本しか運行されていなかったため、インターン期間の途中からは徒歩で30分ほどかけて通いました。前年度のインターン生はホームステイ先の自転車を使っていたそうなのですが、私には自転車の高さが合わず使用を断念しました。通勤のためにと思い事前講座の際に定期を買いましたが、あまり必要はなかったように思います。
【ホームステイ先について】
お世話になったのはSchröder家で、私は庭にある小さなゲストハウスで生活しました。キッチン、冷蔵庫、電気ケトル、机、トイレ、ベットが部屋に備え付けてあったため、好きな時間に夕食を作ることもでき、不自由なく生活できました。朝食は毎日ホストファミリーが用意してくださり、朝食時に少しみんなと会話をしてから職場に通っていました。シャワーは母屋に隣接しており、使っていいのは22時までという時間制限がありました。また綺麗好きな家族だったため家庭内にはいつも清潔感が漂っており、私たちも週末はシャワー室や部屋の掃除をするように言われました。整理整頓の基準をホストファミリーに合わせなくてはならなかったので、掃除の際は少々神経質になりました。
Schröder家の母屋には夫妻と息子さんが住んでおり、犬も飼われていました。平日は散歩に誘われたり、休日は車で “Cranger Kirmes”というお祭りに連れて行ってくれたりするフレンドリーな家族でした。その他、平日の夕方には母屋で自家製ケーキをご馳走になったり、一緒にテレビを見ながら世間話をしたりして過ごしました。
その一方で、生活文化の違いから誤解をしたり、逆に誤解させてしまうことも多くありました。自分のドイツ語力の問題もあり、十分に議論が深まらないことにもどかしさを感じることもありましたが、分からないことがあったら黙り込まずに逐一質問するのが良いと思います。またホストファミリー独自のルールに抵触して注意を受けた時は、日本での文化をよく説明し、決して悪意があってこうなった訳ではないことを理解してもらうために努力することが大切だと感じました。
【全般的な感想】
長年日本に住んでいると分からない異文化や、仕事と家庭生活の両立の仕方を学べた2ヶ月でした。特にホストファミリーのもとではドイツの多様な生活文化を知ることができ、お互いに相手の文化を理解し合うことの必要性を身をもって体験することができました。特によく注意された「自分の意見は積極的に言う」ことは今後の人生でも役に立つ大きな教訓になったと思います。
また衝撃だったのは、ドイツの職場が私に示してくれた寛容さです。体調を崩したこともあり思うように仕事ができなかった時もありましたが、それでも私を受け入れてくれた上司の方には感謝の気持ちでいっぱいです。
インターンシップ期間は楽しいことばかりではなく、たくさんの壁にぶつかり悩みましたが貴重な経験になりました。このプログラムに関わって下さった先生方、関係者の方々に感謝を申し上げます。
Super Bio Markt (名子屋 佑樺)
名子屋 佑樺 (ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Super Bio Markt
- 1.参加の動機
私がこのインターンシップ・プログラムに参加しようと思った理由は大きく分けて2つあります。1つ目は、進路について考える際に海外で働くということがどのようなことなのかを知りたいと思ったからです。大学で行われる「世界で就職」(通称:セカシュー)講演会等を通して、日本以外の国で働くということが現実的な選択肢としてありうると考えていました。しかし、実際に海外で外国人として母国語以外を使って働くということを上手く想像することは出来ませんでした。また、ドイツの労働環境は日本とは違い、労働者の権利が強いということを授業などで聞いていました。今回のインターンシップへの参加を通して、海外で働くということを実際に経験し現実的な検討材料にしたいという気持ちと、ドイツ人のワークライフ・バランスについての考え方を現地で学びたいという思いがありました。
2つ目はインターンシップを通じて自分のドイツ語力をさらに向上させたかったからです。私は大学入学時に、2年生の後期から1年間ドイツに留学することを目標に設定し学習を進めてきました。しかし、留学準備を進めていく中で様々な角度から検討した結果、ドイツ留学は断念しました。留学を断念してから集中してドイツ語を使う機会が無く、そのままの状態で卒業を迎えることに強い焦りを感じていました。私は自分に試練をあえて課して成長するタイプの人間なので、このプログラムは絶好の機会だと感じました。
- 2.出発前の準備
2つ目は事前の情報収集です。ドイツ語学科のオリジナル・ホームページに載っているこれまでにプログラムに参加した先輩方の報告書をたくさん読んで現場の雰囲気や、どの職場でどのような仕事をしていたのかなどを知りました。このプログラムでは自発的に動くことが鍵となるので、事前の情報収集もドイツで生活をしていく上で助けになりました。現実的なことを考えると、情報を集めることでどのくらいの金額を用意すべきかなどが分かると思います。
3つ目は金銭面での準備です。現地での生活では、基本的にほぼ全ての場面において自分がお金を払うと考えていいと思います。日常生活を送る上で食費等必用不可欠な項目はもちろん、休日の息抜きに行う遠出などにもある程度の資金は必要になります。インターン生として働くこのプログラムでは受け入れ先からお金をいただくことは出来ないので、計画的にアルバイトをしてお金を少しずつ用意しました。
- 3.ドルトムントでの準備講座
担当の先生は私たち参加者と年が近い女性の方でした。ファーストネームで呼び合ったり、授業後には皆で隣町のボーフムに出かけたりと、とてもリラックスした雰囲気のコースでした。毎日3〜4時間程度の授業があり、これらを通じて文法やプレゼンテーション力の向上も果たせましたが、特に良かったのはドイツの会社の仕組みなどインターンシップを行う上で必要な基礎知識を得ることができた点でした。とにかく先生に相談しやすい雰囲気だったため、個々の相談事や、授業で扱ってほしいテーマのリクエストなどを皆、授業時間外などに行っていたようでした。
授業以外にこの講座期間中には、市立図書館ツアーやパン屋さん見学などのイベントもありました。この講座のおかげで、ある程度自信を持ってインターンシップに臨めたと感じています。
- 4.インターン先について
お店で扱っている商品数は膨大で、毎日品物の名前を覚えることに必死でした。もし、スーパーで働きたいという人がいたら、日本のスーパーに置いてあるものを少しずつドイツ語で調べて覚えていくと良いかもしれません。大学の授業で習う単語数ではとてもカバーしきれず、メモを取る毎日でした。
私の働き方の例は以下の通りです。毎朝10時に出勤し、お店から支給されるエプロンを着用して手を洗います。食品を扱うので、こまめに手を洗わなければいけません。次に倉庫に行き、どの位の量の品物が入荷しているかを確認しました。店内にいる店長(店長が不在の際は、その時のトップの人)に挨拶をし、何をするかについての指示をもらいます。この時に自分の希望を聞かれたこともあったので、その時ははっきりと自分がやりたいことを伝えるようにしていました。一番多かったパターンは初めに品出しをして、残りの時間はベーカリーで働くというものです。
品出しは私が想像していた以上にハードな肉体労働でした。商品が入った背の高いワゴンが毎日届けられ、お買い物カートを1人1つ使って品出しをします。品出し以外にも皆他の仕事を抱えているので、毎日がスピード勝負でした。牛乳やワイン、穀物など重いものもたくさん扱うので、初めの頃は毎日疲労困憊していました。しかし、だんだんと慣れていくとエリアを回る順番や身体の使い方などを工夫できるようになり、作業効率も上がったと思います。また、お客さんに品物の場所も聞かれたりしますが、品出しをしていたおかげで段々と案内できることが多くなったことが嬉しかったです。品出しは大変でしたが、同僚と仲良くなれる機会が一番多かった業務はこの仕事でした。この業務ではみんなで協力しあうことがなによりも大切です。これを心がけているうちに自然とみんなと仲良くなれ、年が近い同僚もよく私を助けてくれました。またお客さんとの距離がとても近いので、嬉しい出会いをしたのもこの業務の最中でした。日本人の親子が買い物に来たり、韓国人の女性に「頑張ってね!」と言っていただいたり、また後に私の座右の名となった言葉をくれた女性とも出会いました。
ベーカリーでの仕事は大きく分けて2種類ありました。1つ目はパンを販売する仕事で、2つ目はカフェ業務です。初日にいきなり1人で現場を任せてもらい、嬉しいながらも大変な経験をしましたが、私はベーカリーで働くことが一番好きでした。ベーカリーには常時何十種類ものパンやケーキなどがあり、名前や原材料を覚えなければいけませんでした。特に大変だったのは、パンに使われている小麦の種類や挽き方の違いを覚えることです。このお店に通うお客さんは皆健康や環境に関して関心が高く、日頃の小さな行動にも気を使っている人たちばかりでした。そういったお客さんを相手に働くことは簡単なことではありませんでしたが、学べることも多く自分の知識や意識をアップデートする良い機会だったと感じています。
ベーカリーではパンの販売、サンドイッチ作り、コーヒーの提供、モーニングサービスや日替わりランチの提供などを行いました。初めはパンの量り売りの方法が分からず、切り方を間違えてパンを無駄にしてしまったりもしました。しかし、いつも同僚が快く手伝ってくれたのでだんだんと一人でも販売できるようになりました。ドイツ語でBrotと呼ばれる大きなパンは、お客さんの要望に合わせて機械でスライスをしなければいけませんでした。ドイツの人にとって何mmが普通のスライスなのか、などの常識を知らずに苦労しましたが、わからないことは全て質問することが大事だと思いました。
私はよく失敗するたびに謝っていたのですが、ドイツでは少し滑稽に映るのかもしれないと感じました。日本では例え小さな失敗であっても謝ることが必要で、それが人間関係をスムーズにするように思います。決して意識をしていたわけではありませんが無意識に日本と同じように振舞っていたところ、同僚に「スミマセン、スミマセン!」とモノマネをされるようになりました。私がコーヒーカップを割ってしまって落ち込んでいた時などに、「そんなことよく起きるわよ。」「気にする必要なんてないよ。」といつも励ましてくれていたので、もっと前向きに働くべきなのだと学びました。
このお店では従業員とお客さんの距離が近く、常連客もたくさんいました。お客さんの多くは私がインターン生として働きに来ていることを理解し、温かく見守ってくれました。また、同僚も皆いつも快く手助けをしてくれて、とても暖かい職場でした。常に忙しい職場だったので、1人ひとりと仲良くなるチャンスが少なかったことが残念ですが、最後の日には自然と涙が流れました。大変なことも多かったですが、このお店で働けて良かったと心から思います。
- 5.ホームステイ先について
滞在中に私と同居人は体調を崩してしまうトラブルを何度か抱えました。そういった際にホストファミリーと考え方の違いや文化の違いなどで衝突してしまうことがあり、知らない家庭で暮らすことの大変さを思い知りました。暮らし始めた頃、私が質問することに恐れを抱いてしまうことがあり、それがきっかけで少しギクシャクしたこともありました。しかし、思っていることをはっきりと伝えるとあちらも誠意を持って答えてくれたので、日本で他の家庭にお邪魔するときのような遠慮はドイツではむしろ悪影響を与えてしまうのではないかと思いました。
私たちがホストファミリーと暮らす上で少なからず大変な思いをするのと同じように、ホストファミリーも手探り状態だと思います。全ての人が完全に仲良くなるということは難しいかもしれませんが、感謝の気持ちや相手に関心を持っている気持ちを表すとお互いに気持ちの良い生活を送れるのではないでしょうか。
- 6.全体に対する感想
Kornhaus Naturkost Dortmund 長谷川 桃子
長谷川 桃子(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Kornhaus Naturkost Dortmund
参加の動機
大学2年生のときに、ハレ=ヴィッテンベルク大学で行われる、本学の夏季短期協定留学プログラムに参加しました。当プログラムは教職員の同行があり、授業のクラスメイトも半数以上が獨協生であることなどから、非常に安心できる環境で楽しく留学生活を送ることができました。一方でドイツ語力の向上には物足りなさを感じ、より厳しい環境に身を置いてみようと思ったので、インターンシップに申し込もうと決めました。また、長期間海外で暮らすことは自分に向いておらず、経済的な理由からも不可能だったため、長期留学ではなくインターンシップを選びました。
出発前の準備
このプログラムへの参加条件であるゲーテ試験のB1資格は、短期留学後の2年生の秋に初めて受験し、2回目の受験を経てちょうどこのプログラムの応募時期に合格通知が来ました。インターンシップへの参加が決まってからは、3年生の春学期に参加者の必修科目である「インターンシップ特殊演習」の授業を受け、ドイツ語ニュースを使用した聴解練習、インターン先やホームステイ先で使える表現練習、プレゼンテーションによる実践的練習などを積み重ねました。授業のほかにも、短期留学で知り合った友人と週に1回30分程度ドイツ語で電話をしたり、大学1年生の時からお世話になっている本学の先生に週1回補講を実施していただいて語彙力を増やしたりしました。選考には通ったものの、実際ドイツ語を使って働くなんてことが自分にできるのかとにかく不安だったため、ドイツ語で上映される映画を観に映画館に足を運び、電車の中でもドイツ語の曲を聴くなど、ドイツ語に触れる時間をできるだけ多く設けるよう心掛けました。
ドルトムントでの準備講座
ドルトムントに着いてからのはじめの8日間はAuslandsgesellschaft(外国協会)で獨協のインターン生向けに開講された準備クラスに参加し、実際に職場で使いそうな表現などを学びました。このクラスでは毎日午前に授業が行われる他、午後はドルトムント市内の施設見学をすることになっており、内容的には盛りだくさんなプログラムだったように感じています。具体的な見学先は図書館、パン屋さん、炭坑跡博物館などでした。その際、施設についてドイツ語で説明されることがほとんどだったので、それを必死に聞き取ることでリスニングの良い練習になったと思います。授業を担当してくれた講師のAnneはとても優しく、私は毎日彼女に会うことが楽しみでもありました。インターンが始まってからも私の職場に見学に来てくれましたし、私たちと一緒に食事をして語り合う機会も設けてくれました。
インターン先について
私は“Kornhaus Naturkost”というBio製品を扱うスーパーで6週間インターンをしました。勤務時間は主に7〜14時で、休憩は15分ありました。ホームステイ先から徒歩2分と好立地だったことや、日本でやっているアルバイトで早朝出勤には慣れていたため、早起きに苦労することはありませんでしたし、仕事に慣れてくると仕事終わりに他の参加者とショッピングや映画館に行くこともできたので、勤務時間には満足していました。また仕事中や休憩中に店内のものはなんでも飲食可だったため、それを楽しみに働いていました。
一日のスケジュールですが、7時から8時は開店準備を行いました。レジにパン売り場、そして小さなカフェが併設されているお店だったため、3つの異なるパン屋から入荷されるパンやケーキ、お菓子などを陳列して商品にタグを付けたり、予約分をあらかじめ確保する作業も行いました。その他にもコーヒーマシーンやレジの準備などを行いました。特に大変だったのが、見た目が非常に似ているパンの識別でした。写真を撮って仕事終わりに名前と見た目の違いを覚えました。通常2人で開店準備をしているそうで、インターン生の私が入る時は私を含め3人で作業していました。しかしながらこの夏は人手不足のためかすぐに2人体制になったので、日々とても忙しくなりましたが、その一方で大きなやりがいも感じました。
開店時間を過ぎると午前中の約1時間は品出しの作業をして、それ以外はほぼずっとレジ係とパン売り場の係を担当しました。このスーパーではほぼ全ての野菜が量り売りだったため、お客さんがレジに持ってきた野菜を秤に乗せ、各野菜に当てられた番号を入力する必要がありました。番号は紙に書いてあるのですが、まずは野菜の名前を知っていなければならず、最初のうちは同僚やお客様に尋ねながら作業を行いました。大きいパンはお客さんにお願いされれば半分に切るか、マシンを使ってお客さんの好みの薄さにスライスします。その際にパンを素手で触ってよいところは、日本と異なり少し驚きました。パンを予約して別の日に取りに来るお客さんもいて、お客さんの名前やパンの種類の聞き間違えや書き取りミスがないか注意していました。ドイツ語が理解できなくて同僚に助けてもらってばかりでしたが、常に笑顔で大きい声であいさつすることだけは徹底しました。するといつも大量購入していく常連のおじさんから「桃子はチャーミングだし、仕事覚えるのが早いね!」と褒めていただきとても嬉しかったです。他にも日本に興味があって話しかけてくれる方など、優しくて素敵なお客さんばかりで楽しく働くことができました。日本よりもお客さんと従業員の距離が近く、常連のお客さんとは名前で呼び合い友達同士のような雰囲気で接客しているところも印象的でした。
インターン中に一つだけ困ったことがありました。私は事前に、週末は自由と聞いていたのでほかの参加者と旅行に行く予定を立てていました。店長さんに土曜出勤を頼まれたので、そのことを説明し断ると「それは契約と違う、君が出勤できないと他の従業員が代わりに出勤しなきゃいけないのだよ」と叱られてしまいました。数日後、仕事中にAuslandsgesellschaftの担当者からも電話があり「このプログラムを休暇だと思わないでほしい」と注意を受けました。「土曜出勤の可能性を事前に知っていれば予定を入れずに喜んで働いていました!」と反論しましたが、お叱りを受けてしまいとても悲しかったです。その後も仕事中に、店長さんが土曜のシフトについて同僚に何か言っているのが聞こえることが多々あり、自分のせいで迷惑をかけてしまったと感じてしまい心苦しかったです。そのことを同僚に相談すると「そんなことないよ!君はドイツ語を勉強しに来ているインターン生で、本来はextraであるべき存在だから気にしないで!今年の夏は病気や休暇中の従業員が多くて人手不足なんだ........ごめんね。」と優しい言葉をかけてくれました。実際、その後も店長さんはいつも通り私に接してくれたので、物事を引きずらないさっぱりとしたところはドイツ人らしいのかなと思いました。最終日には同僚から「今年は人手不足だったからあなたが真面目に働いてくれて本当に助かった。ありがとう!」と言われ、少しでもお店の役に立てていたのだと思うととても嬉しかったと同時に安心しました。私が何度ミスをしても嫌な顔一つせずに助けてくれた同僚、そしてお客さんには感謝の気持ちでいっぱいです。また、私は獨協大学で日独の環境政策を研究しているため、容器包装を減らすためにナッツ類や油、洗剤など多くのものを量り売りしているこの店で働き、最終日には同僚と“Fridays for Future”というデモにも参加し、ドイツ人の環境に対する意識の強さを肌で感じることができたことはとても貴重な体験となりました。
ホームステイ先について
私のホームステイ先は、一人暮らしの元お医者さんで現在はドイツ語と英語の先生をしているおばあちゃんが1人と、猫2匹の家庭でした。ホストマザーと映画館に映画を観に行ったり、彼女の友達も誘って芸術家の個展を見に行ったりしました。彼女は本当に多趣味な方で他にも色々と誘われましたが、私は仕事で疲れていたり、すでに予定があったりして断ることも多かったのですが、“Mach was du willst.(あなたがしたいことをしなさい)”が口癖で、常に私がしたいことを尊重してくれました。私が料理を全くできないことを前もって伝えていたこともあり、私の仕事が終わる14時頃にお昼を作って待っていてくれて、一緒に遅めのお昼ご飯を食べることが多く、その時間は私のお気に入りの時間でした。これまでに何度もホストをしているそうですが「ほぼ毎日のようにお昼を作ってあげたのはあなたが初めてよ」と笑っていました。また、友達はいつでも泊めていいと言ってくれたので、実際に他の参加者を夕飯に招待して、お泊り会をさせてもらいました。その際には私の友達にもとても良くしてくれ、本当に寛容で愛のある方でした。私の友達からも私のホストマザーを褒められることが多く嬉しかったです。前述の通り土曜出勤の件で私が悩んでいたときも、私が落ち込んでいることに気付き話を聞いてくれました。そして「私はいつでもあなたの味方だから強くありなさい」と抱きしめてくれました。この時はほっとして思わず涙をこぼしてしまいました。私はこれが人生で3度目のホームステイでしたが、初めてホストマザーのことを第二の母だと思えたほど、印象的な出来事です。唯一、キッチンがあまり整理されていないことが気がかりでしたが、それを忘れてしまうほど素晴らしいホストマザーでした。
おわりに
ドイツ語力に関しては、正直最後まで聞き取れないことや上手く表現できないことだらけでした。しかし旅行でも留学でもなく、働くために母国語以外の言語を話さなければならないという状況に身を置いたことで、単にドイツ語が上達しただけではなく外国語を話すことへの考え方が変わりました。私は今までドイツ語や英語を学んできて「ドイツ語(英語)話せるの?」と聞かれたとき、自分はいわゆる「ペラペラ」ではないからという理由で必ず「話せない」と答えてきました。もちろん文法や語彙力に長けているに越したことはないですが、重要なのは間違いを恐れず自分から発信する勇気、そして分からないことは正直に質問する勇気だと思います。だから今なら「話せる」と答えられる気がします。ドイツ語はまだまだですが、異国で2ヶ月間のインターンをやり切れたことは、これからの人生において常に自分を後押ししてくれる自信に繋がりました。日本で事前指導をしてくださった先生方、応援してくれた友人、受け入れてくださったホストファミリーそしてKornhausのみなさん、サポートしてくださったAuslandsgesellschaftのスタッフ、励まし合った参加者のみんな、全ての面でサポートしてくれた家族にこの場をお借りして心から感謝したいと思います。ありがとうございました。
Mercure Hotel Kamen Unna(長谷部 万葉)
長谷部 万葉(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Mercure Hotel Kamen Unna
私のインターンシップは、非常に実り多いものだったと思います。始めに、簡単にインターンにあたって行った準備について触れた後、今回のインターンシップで自分が体験したこと、感じたことを紹介します。
自分のドイツ語レベルは、B1〜B2です。インターンシップに行くにあたり必修授業「インターンシップ特殊演習」を毎週金曜日に受けていました。1週間の授業(平日)は、1日1回ドイツ語の授業に出席することにしていました。このように、日々の授業の活用を心がけ、インターンシップに向けて特別に何かをやっていたわけではありません。身の回りの準備は、ドイツには8月〜9月に滞在することを考慮し、夏服と秋服を持って行きました。到着した当初は、気温を気にせず普通に過ごせましたが、日に日に朝夕と昼間の寒暖差が厳しくなると、内側に半袖、その上に厚めのアウターまたはパーカーを着ることが多くなったように思います。ドルトムントには約2ヶ月近く滞在しましたが、大学からの支援もあり、飛行機代もあわせて約35万円ぐらいで済みました。一般的な短期留学よりも安いので、語学力を伸ばし、異文化での生活を体験したいのであればお勧めのプログラムだと思います。
次に、自分の体験談を述べていきます。私のホストファミリーは、ワーグナー(Wagner)さんと2人のヨルダンからの留学生でした。私はワーグナーさんの事をクリスと、彼女は私のことをマヨと呼んでいました。彼女は、パートナーが居ないので一人暮らしをしています。ただ、家の空いている部屋を毎年留学生に貸しているので過去の写真を見ても家は賑やかな様子でした。私が滞在した時は、前述したヨルダン人の男子留学生が寄宿していました。ドイツでは、海外から来る学生向けの寮やアパートは男女混合が主流ですが、日本で女子寮、女子専用アパートに居た私にとって最初は少し抵抗がありました。しかし、二人ともとても優しく丁寧に様々なことを教えてくれたのですぐに打ち解けることができました。
普段の生活は、とても自由でした。もちろん、人の家にお世話になっているわけなのでその家の基本的ルールはあるのですが、それ以外はいつでもシャワーを浴びても良かったですし、事前に遅くなる等の予定を伝えていれば遅くまで自由時間を使うこともできました。私は、高校時代にドイツ留学をしていたのですが、その時はステイ先の家族と一緒に行動することが多かったので、クリスの所では単独行動が増えたこともあり少し戸惑いもありました。更に、彼女は動物保護という理由で肉を食べないVegetarier(菜食主義者)だったので食生活にも不安がありました。彼女は洋服にも細かい注意を払っており、劣悪な労働条件下で作られた洋服(主にファストファッション)に対しても批判的だったので、始めは彼女に気を遣うことも多かったように思います。しかし、彼女の思っていることや生活スタイルについて話をする機会があり、その時に、彼女は私も一緒に合わせる必要はない、自分の生活スタイルを貫いていいと言ってくれました。そのため、日常生活上は困ることは特にありませんでした。普段仕事のある日は、なかなか一緒に食事はとれませんでしたが互いに週末なり、朝なり時間が取れるときには留学生二人も交えて一緒に食事することもありました。みんなで予定を組んで、ドルトムントからデュッセルドルフまで行ったり夜にパドルボート(ボートの上に立って漕ぐスポーツ)をしに行ったりとかなりアクティブに生活していたと思います。クリスとは、ホストマザーというよりは友達という感覚の方が近い印象でした。
私の職場は、ドルトムントから少し離れたカーメン(Kamen)という町のホテルでした。移動は、乗り換え時間合わせて片道約1時間で、UバーンとSバーンを乗り継ぎ、最後にバスを使っていました。クリスのドイツ語がある程度聞き取れていたので、専門用語をのぞいて職場でも会話には困らないだろうと思っていたのですが、なかなか最初は大変でした。私の担当の方は、シフマンさん(Frau Schiffmann)といい、話す内容が多く、更に話すスピードも速かったのでいつも何度か聞き返していました。職場のメンバーには、他にもトルコ人、ロシア人、ポーランド人、ブルガリア人と色んな国から来ていた人が多かったので、発音の癖などによって聞き取りづらいことが多かったです。ただ、みんな優しかったので、私が理解するまで内容を根気よく繰り返してくれたことには感謝しています。職業訓練生(Azubi)も3人いて、私ととても仲良くしてくれました。私が早く帰れるように、業務を手伝ってくれました。休憩時間になると彼らと恋愛話しやたわいもない会話を多くしましたが、今ではすごくいい思い出になっています。一人の子とは性格が自分ととても似ていることもあり、終業後一緒に湖に出かけて話をしたり映画を一緒に観に行ったりと、すごく短い間でしたがとても親しくなりました。
仕事はレストランでの接客業務でした。朝8時に出勤後は朝食ビュッフェの時間なので、ゲストのお皿を下げる、席を去った方がいれば机の上を清掃、新しく席についた方がいればお部屋番号を聞いたりしていました。また、昼食はゲストの人数によってコースの時もあればビュッフェの時もありました。日本での、アルバイト経験がホテルのフロントとアパレルだけだったので、飲食関係は初めてというせいもあり、当初はとても緊張しました。場所がホテルということもあり、ドイツ語だけでなく英語を使う機会も多かったです。自分は英語が得意では無かったのでボキャブラリー不足の英語になってしまい、この時ばかりはもう少ししっかりと英語も勉強すべきだったと痛感しました。昼食後の業務(終了16 時)は主に掃除と裏手の冷蔵庫への飲み物の運搬がメインでした。お昼に混んだ時などは、客数が最大150人以上を数えたこともあり、さすがに疲れてしまいました。ただ、朝昼のビュッフェ後はスタッフも賄い料理やビュッフェを食べることもできたので、食事的には満足のいく楽しい業務でした。
とても印象深いエピソードは、大雨の日に出勤した時のことです。その日は、日曜日で朝から大雨が降っていました。前日に調べた情報によれば、日曜日は地下鉄駅からホテル行きのバスが9時始発だったため、職場のホテルまで地下鉄駅から徒歩で行かざるをえない状況でした。そのため、駅からホテルまでの距離が近いSバーンでの通勤に変更して朝6時に家を出て中央駅に向かいましたが、傘を家に置き忘れてきたばっかりに、途中でずぶ濡れになってしまいました。職場には出勤時間5分前に着く事ができましたが、仕事仲間が私を見るなり目をまん丸にして、(彼らはバスが9時からなのを知っているので)私がどうして来られたのか?どうしてそんなにずぶ濡れ状態で通勤して来たのか?と聞かれました。経緯を説明すると、傘を持っていないことを叱られましたが、ブルガリア人スタッフは私の荷物を乾燥機にかけてくれました。自分に対してこんなに気を遣ってくれる周りの同僚の優しさに、強く感激させられた場面でした。
余談ですが、この時ブルガリア人のスタッフに、ウォッカを足の裏に塗ると身体があったまるので、全身濡れていても風邪をひかないと教わりました。「異文化体験だ!」と感心していたら、外で他のスタッフとそのブルガリア人が話をしていて、私が何をしているのかを聞かれ、ウォッカを足に塗っているとブルガリア人が答えた時、「足にウォッカ!?」と笑われていたので、最初戸惑った私の反応はいたって普通だったのかと感じました。
一緒にインターンを共にした日本のメンバーとも、互いに支えあいながら今回のインターンンシップを乗り切ったと感じています。お世話になった事前講習会の講師の方とはその後、食事をご一緒して相談にのっていただきました。ホストファミリーや職場以外のメンバーとも楽しい時間を過ごすことができました。総括すると、改めて自分が様々な方に支えられていると感じられたインターンシップでした。
Auslandsgesellschaft.de gGmbH (若杉 耀)
若杉 耀(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先: Auslandsgesellschaft.de gGmbH
1. はじめに
私は獨協大学に入学したら、3年次もしくは4年次での一年間のドイツ留学を考えていました。1年次に受講したドイツ語圏入門の授業で、ドイツでインターンシップを経験できるプログラムがあること知りました。留学中に参加できることと、将来、外国で働くことも視野に入れていたので、いい機会になると思い、参加させていただきました。
2. 事前研修
プログラムは8月の初めから9月下旬までで、最初の約1週間はAuslandsgesellschaft(外国協会)でドイツ語の授業とドルトムント見学を行いました。私は、ドルトムントから1時間程度のところにある大学に留学していたため、航空券をとる必要はありませんでした。しかし、留学中であったため、獨協大学で行われているこのプログラムのための準備授業に参加できず、会社や仕事に関する知識があまりなかったため、職場に慣れるまでは、少し苦労しました。このプログラムが始まる前に、授業内容を外国協会にあらかじめ確認していれば、もっとスムーズに授業に取り組めたと思いました。
外国協会での授業は電話対応やスモールトーク、簡単なプレゼンテーションなど、職場で必要とされる知識とスキルを学ぶことを中心に進められました。担当の先生は私たちと同い年くらいの方で、私たちとも歳が近いこともあり、質問や意見交換がしやすい環境でした。
課外活動は、炭鉱を訪問したり、市長と懇談させて頂いたり、パン工房を見学するなど、すべてが貴重な経験となりました。どの訪問先の方もとても親切に対応してくださったことが印象的でした。
3. ホームステイ
私が今回お世話になったのは、ホストファザーとホストマザーが2人で暮らす家庭でした。ドルトムント中央駅から電車とバスを乗り継いで約1時間かかるため、交通の便はあまり良くありませんでした。しかし、お家はとても綺麗で、大きく、周りには農場があり、週末などの余暇にはのんびりした時間を過ごせました。慣れてしまえば通勤時間の1時間も苦にならず、プログラム終了間近の頃になると早くステイ先に戻りたいと思えるほど素敵な家庭でした。
ホストファミリーは初めての学生受け入れということでしたので、最初は少し心配でした。しかし、部屋は広く、バス・トイレ付きの、とても快適な居住空間でした。食事は3食用意してくれましたし、時にはみんなで一緒に日本食を作ることもありました。また、どの料理もとてもおいしくて、なかでもPflaumenkuchen(プラムケーキ)はとても美味でした。2人はすごくダンスが好きで、週に4回ダンス教室に通っていましたが、時間を割いてできるだけ私と食事をする機会をつくってくれました。毎日2、3時間様々なことを話すこの時間は、私にはいつも素晴らしい会話練習の時間にもなりましたし、ドイツ語学習のモチベーション向上にも大いに役立ちました。
彼らには2人の息子がいて、2人とも働いていましたが、時々会いに来て職場まで送ってくれた他、バーベキューや誕生日パーティーにも招待してくれました。また、時間がある時にはホストファザーもバイクで私を職場まで送ってくれたり、近くを一緒にツーリングしたりもしました。
私が職場にあまり満足できず、少し悩んでいる時も、家に帰ると2人が笑顔で迎えてくれて、親身に私の話を聞いてくれました。このホストファミリーに出会えて本当に良かったと思います。
4. 研修先について
私の研修先は事前研修を行った外国協会でした。研修内容は、事務作業や授業の聴講でした。8月は夏休みで授業がないため、協会自体も、静かな毎日でした。最初の1週間は会社の様々な部署を紹介していただき、簡単な事務作業を行いました。
私の他に2人ドイツ人の研修生がいたため、「私にできることはありませんか」と尋ねても、そもそも仕事があまりないということで、私まで仕事が回ってくることはほとんどなく、せいぜい同僚と会話をするくらいでした。正直に言うと、8月の約2週間は、1年間のドイツ滞在のうちの貴重な夏の2ヶ月間、私はパソコンの前に座って何をしているのだろう、と思うことも少なくありませんでした。それでも1週間に1回程度は協会主催のイベントに参加する機会がありました。例えば、フェスティバルに行って手伝いをしたり、ロシア人学生の短期ドイツ研修のワークショップに参加したりしました。
9月に入ると協会でのドイツ語の授業を聴講させていただけるようになりました。日本の授業とは違い、生徒全員が主体的に参加していて、先生が困るくらい質問が飛び交っている状況がとても新鮮でした。短期間のコースにもかかわらず、生徒と先生でご飯を食べに行ったり、散歩に行ったりしていて、生徒と先生の距離がとても近い印象でした。語学教育に関心があった私にとって、こういった環境をどのように作るのか、どうしたら授業に関心を持たせられるか、などを見て学ぶ良い機会になりました。ドイツ語の授業が終わったあとは、私の上司にあたるカウフマンさんに教わりながら試験や語学コース申し込みのデータ入力、バースデーカードの作成や手紙の封緘作業などを行いました。
カウフマンさんをはじめ、スタッフの皆さんはとても親切で、まだまだドイツ語が拙い私を暖かく迎え入れ、仕事を与えてくださいました。そのことにはとても感謝しています。
5. おわりに
このインターンシップでは楽しかったこともたくさん経験しましたが、もちろん自分の思い通りにいかない事も多々ありました。語学力の問題だけではなく、自分の意見を自分の言葉で伝える難しさ、自分から動かなければ何も始まらないということを痛感しました。インターンシップではその大切さに気づくことができ、そしてなにより、自分の国、文化に興味を持ってくれる人がいることがとても幸せなことだと何度も気づかされました。文化の違いを積極的に受け入れ、知ろうとする姿勢は現代社会において、とても大切なことだと考えているため、それを体感することができただけで、私には大きな収穫になりました。そして、一緒にプログラムに参加したみんな、職場の親切な同僚、聴講を許してくれた生徒達、素敵なホストファミリーのみなさんに出会えたことは本当に良かったと思います。
ドイツでインターンシップができる機会は滅多にありません。このような機会を与えてくださった獨協大学の諸先生、ドイツで私を助けてくださった方々、そしてホストファミリーに心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。