Stacks Image 1261
ドイツ語圏で働いてみよう。

ドイツ語学科では、夏休み期間にドイツでのインターンシップ研修を行うことができます。
ドイツ語圏で仕事することやドイツ語を使って仕事をすることに興味のある学生は、ぜひこのチャンスを最大限に活用してください。
2017年度ドイツにおけるインターンシップ報告書
2017年度、ドイツにて行われたインターンシップ研修の様子を参加した学生の報告書からご紹介します。
2017年度参加者:6名

Mercure Hotel Dortmund Centrum(保坂 有里奈)

保坂 有里奈(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先:Mercure Hotel Dortmund Centrum


1.  はじめに
 将来どんな職業に就きたいのかについて、私自身、何となくイメージはしていましたが、それが自分に向いているのか、本当にやりたいことなのかを確認したいと常々思っていました。そのためにはインターンシップに参加する必要性があったのですが、私の場合、2017年2月からヒルデスハイム大学に交換留学生として1年間行くことがすでに決定していたため、ドイツ留学中は日本で行われる様々なインターンシップに参加できないという事実に直面することになりました。留学の準備をちょうど進めている時に、私はドイツでの夏のインターンシップ・プログラムの説明会があることを耳にしました。もともとドイツで働くことに興味をもっていたこともあり、話だけでも聞いてみようとその説明会に参加したのが今回このプログラムに参加することになったきっかけです。


2.  インターンシップ先について
私の職場は、ドルトムントの市中心部にあるMercure Hotelという大手ホテルの中のレストランでした。勤務時間は月~金、基本的に8:00~16:00ですが、やることが終われば15時にあがれる日も頻繁にありました。仕事内容は、まず朝食の時間に出勤し、お客様が食べ終えたお皿を片したり、ビュッフェに関しての質問があればそれに応対することでした。同時にドリンク提供やビュッフェの料理の有無を常にチェックし、空になればそれをコックさんに伝えたり、グラスを洗浄器にかけて一つ一つ磨いたりすることも朝食時の仕事内容に含まれていました。
朝食後は、机や椅子を綺麗に整頓したりビュッフェの後片付けに移ります。その後すぐに休憩が30分与えられKantine(社員食堂)で自身でパンや野菜を好きに取り、朝食を済ませていました。休憩後は、昼食の準備開始となり、ランチのセッティングをします。セッティングの仕方(フォーク、ナイフ、ナプキンなど机上のセット)も何パターンかありましたが、ここですべてを学ぶことができました。セッティングに加え、昼食ビュッフェの準備やドリンクの供給も仕事のひとつです。その他、時間があればキッチンでフォークやナイフなども綺麗に磨き上げました。ホテルの昼食は予約制で基本はビュッフェ形式です。会議前後に団体で食事をとられる方が多かったように思います。基本的には、お客様の来店を待ち、飲み物の提供をし、お客様が食べ終わったお皿を片付けます。昼食後には朝と同じように後片付けをします。その後2度目の休憩が与えられ、私たちもビュッフェをいただくことができました。その後はグラスの洗浄やごみ捨て、後片づけの仕事です。食器類を棚に戻したり、会議室の食事の後片付けをして一日の仕事が終わりました。
私のインターンの世話人は体調を崩し、仕事を休んでいることが後から分かりました。その為、当初はレストランのシェフが面倒を見てくれることになっていましたが、多忙のためか気にかけてもらえることがかなり少なかったのが残念です。
8月はUrlaub(長期休暇)で同僚がいないことが多く、最初の頃は他の研修生の人に教えてもらったり指示してもらうことが多かったのですが、彼女も同じように訓練中であるために、すべてを判断できるわけではなく、戸惑うことが多くありました。8月の終わりからはUrlaubも終わり、職場を熟知した年配職員の方が戻ってこられ、そこからは的確な指示をもらえるようになりました。それからはやるべきことが明確となり、しっかりと仕事に取り組むことができました。
正直に本音を述べるならば、サービス業を学ぶためにお客様とコンタクトを多くとれることを期待してホテルでのインターンを希望しましたが、実態は想像していた仕事とはかなり違っていたように思います。実際にはお客様が「見ていない・気づかない」ような作業が多く、お客様とのコミュニケーションも限られていました。とは言え、こうしたことはインターン生の私に限ったことではありません。同僚も普段から同じような仕事をしています。こうした経験を通して、ホテルで働くことやサービス業がどんなものであるのかをしっかりイメージすることができました。
また、ドイツで働くことに興味を持っていた私は、実際に働いてみて外国で外国人として働くことがいかに難しいことかを痛感しました。それは、同僚とお客様との関係両方においていえます。同僚との仕事に関してのコミュニケーション、お客様からの要望や質問に対する受け答えはほとんど問題ありませんでした。しかし、それだけでは彼らと深い関係を築くことが出来ませんでした。これはインターン期間を通して解決すべき大きな課題になりました。自分が仕事に関しての質問しかしなければ、相手もそれに答えるだけでそれ以上の関係は生まれません。言語の壁を理由にせず、同僚とは時間を見つけて仕事以外の話を自分から始めることを心掛けてからは、同僚との関係もかなり上手くいくようになりました。最終的にはみんなで冗談を言ったり笑ったり、どうすれば効率的に仕事を回せるかなどを相談しあったりできるような関係になれました。お客様との関係においても、例えば機械的に食事を終えたお皿を片付けるのではなく、一人一人のお客様のペースを大事にすることをインターン期間中に学びました。連続宿泊しているお客様は、一度信頼してくだされば、翌日も私に向けた要望を下さいます。そして宿泊最終日にはとても暖かい言葉で感謝をしていただいたのを鮮明に覚えています。このように、言語や文化の違いを超えて働くのは難しかったものの、自身で模索し試すことで解決することが出来ました。
職場の環境は年齢に関わらず皆、Du(親しい間での呼び合い方)で話すとてもフレンドリーな雰囲気であり、毎日冗談や笑いが絶えないような所でした。日本の職場で年上の方を下の名前で呼び、敬語を使わない環境はなかなか珍しいものだと思います。最初こそかなり驚きましたが、皆働く上で同じ立場であるという考え方が前提にあるようです。上下関係がないことでフレンドリーな働きやすい環境になり、職場が明るくなります。更に個人個人が私的なことでさえ理解しあっているということにも気づきました。私の同僚はほとんど皆口をそろえて、「働く上で楽しいのが前提である」ことを主張していました。ドイツの職場で働き、同僚やお客様との関係や仕事上のモットー、考え方や振る舞い方など、いくつも日本との違いを認識しました。

3.  ホームステイ先について
 私は、大きな公園の中にあるお家にホストマザーとドイツの大学入学を目指している台湾人の3人で2カ月間生活していました。ホストマザーは朝から夕方まで働き、仕事の後はヨガ教室や瞑想など様々なアクティビティに参加していて、毎日が忙しい方でした。それにも関わらず、一緒にお茶をしたりご飯を食べながら会話を楽しんだり、友人のパーティーに参加したり、日本食を一緒に作り彼女の友人をお家に招待したりなどしました。また近所の人もとても親切で、休日には一緒に朝食を取り何時間も話しながらみんなで楽しい時間を過ごしました。ホストマザーはとても陽気で人柄の良い方で、「あなたは私の良い友達だよ」と言ってもらえるほど仲良くなれたことが嬉しいです。また、私は大半の時間をルームメイトの台湾人と過ごしていたのですが、お互いドイツ語を勉強中であったので毎日単語を紙に書いて交換したりし、常に工夫しあい互いのドイツ語力を高めようとしていました。同じアジア人からみたヨーロッパ人の考え方や違いなど、深い話を長時間したことも良い思い出です。このルームメイトは、刺激的で多様な視点を私に示してくれました。ホストマザーも台湾人も今では私にとってかけがえのない友人です。素敵な出会いに感謝しています。

4.  おわりに
インターン期間中は悩んで考えて試してみることの繰り返しでした。同僚とお客様との関係をよりよく改善できたことは自分の中でとても大きな収穫でした。ホテルでの仕事が想像していたものとは違ったにもかかわらず、黙々と仕事をこなし、自ら課題を見つけそれを克服できたことによって、最終日に感じた達成感は特別なものでした。また、最後に同僚から心のこもった言葉とプレゼントを頂いた時、涙が出そうになり、心からこのプログラムに参加して良かったと思いました。
 同じ境遇にある日本人の友達とともに授業を受け、ドイツで働き、ホストファミリーの元で生活をするこのプログラムでは本当に様々なものを得ることが出来ます。ここで出会えた友達やAuslandsgesellschaft(外国協会)の方々とこのプログラムを支えて下さった、古田先生とアルブレヒト先生に感謝の気持ちでいっぱいです。

インターン1

インターン2

Auslandsgesellschaft Intercultural Academy gGmbH(木下大斗)

木下大斗(ドイツ語学科2年)
インターンシップ先:Auslandsgesellschaft Intercultural Academy gGmbH
 
1. はじめに
 ドイツでの就労機会が卒業後の職業観や人生観を豊かにする良い経験になると考え、入学当初からこのプログラムへの参加を希望していました。研修先はドイツでの外国人に向けたドイツ語教授法が、日本で行われるものとどの様に異なるのか興味があった為、このインターンシッププログラムを現地で運営するAuslandsgesellschaft Intercultural Academy gGmbH(公益有限会社外国協会インターカルチャー・アカデミー)を希望しました。
 
2.  日本での準備、対策など
 プログラム開始の一学期前に参加の可否が決まるため、春学期ではアルブレヒト先生のインターンシップ特殊演習と、マッコイ先生のビジネスドイツ語を受講しました。授業ではどちらもドイツで働くために必要な基礎知識や、会話に必要なより実践的な文法および語彙の習得を目標に、授業が行われました。特にインターンシップ特殊演習はクラスが少人数だったので、参加者の希望に沿った授業ができたと思います。中でもドイツのニュース番組を毎週聞き取る練習をしたり、そのテーマについて討論およびプレゼンテーションする機会を持てたことは、プログラムに向けてだけではなく実践的なドイツ語力の向上に役立ったと思います。また大学での授業以外でも、獨協大学に留学しているドイツ人学生と会話をしたりすることで、日常的にドイツ語を使う機会を増やせたことは、ドイツに来る上での良い準備ができたと感じています。
 
3. ホストファミリーについて
 私がプログラム参加期間中にお世話になったのは、Schröderさんという両親と大学生の男の子、それに中型犬が一頭の家族でした。住んでいた場所はドルトムント中央駅から電車で北西に15分程の距離にある一軒家で、そのお宅の敷地内にある離れの一棟を個人で使わせていただきました。部屋にはキッチンや冷蔵庫、トイレも備わっているため、半分一人暮らしのような生活ができました。Schröder家の皆さんは非常に親切で、初日の夕飯に庭でBBQをご馳走になったのを皮切りに、朝晩問わず家族が揃って自宅にいる時は常に食事に招いてくださいました。食事以外にも家族で出かける時には声を掛けて下さり、また近所の人や親戚の方との交流も盛んで、非常に沢山話をする事ができました。個人的には動物が大好きなので、飼ってる犬と庭で遊んだり定期的に散歩に出掛けたことはとても幸せな時間でした。
4. インターンシップ開始前のセミナー期間について
 プログラム参加者は8/4-12日までの期間にAuslandsgesellschaftでの合同セミナーに参加しました。内容としては毎日ドイツ語講座(午前又は午後)と、ドルトムント近郊の様々な場所に訪問する課外活動の組み合わせで構成されていました。授業ではゲーテインスティテュートのB1-2前後のレベルを基に、仕事の場面で必要となる表現方法や語彙などを中心に学習しました。この授業そのものがインターンシップにおいて手助けになることはあまり多くはないかもしれませんが、実際の勤務が始まる前の準備段階として、気持ちや心構えを整理する良い機会であったと思います。
 課外活動では市庁舎や地元にある様々な商店の裏側などを見学させていただきました。個人的に印象に残ったのは、Das Schürener BackparadiesさんとKrämer Likörfabrikさんです。どちらもそれぞれの商品の製造工程を丁寧に説明して下さり、一部の工程では実際に体験させてもらい、試飲や試食までさせていただきました。この様な見学を通じて、実際にドイツで働く人々の日常が垣間見えたことは、大変有意義であったと考えています。また任意での参加ではありましたが、ボーフムでのStarlight Expressというミュージカルをバックステージツアーも含めて鑑賞できたことは、このドルトムント滞在中の最も想い出に残ったことの一つと言えるほどの感動的な体験でした。来期以降もこのプログラムが行われるのであれば、参加費有料ですが参加する事を強くお勧めします。
 
5. インターンシップ先での勤務内容について
 私が行ったAuslandsgesellschaftでのインターンシップは、主にドイツ語コースに参加することでした。まず最初の活動として、初級者コースのA1レベルの授業に聴講生として参加させていただきました。授業は毎週月曜日から金曜日まで、毎日午前中の08:30-13:30まで行われていました。そのクラスには様々な国籍の学生が在籍しており、初級者コースであっても授業はすべてドイツ語で行われていました。その為、仮に生徒から英語で質問があっても、必ずドイツ語で返答をすることが徹底されていました。また教師の方も大変親切で、授業中に扱うテーマについて何を心掛けているか、または生徒が理解するためにどういった事が必要かなどを常々説明してくださいました。
 ドイツ語コース以外にもファイリングや手紙の作成などの簡単な事務作業を手伝ったり、様々な講座の受付業務や語学試験の監督を担当したりと、団体運営の裏側を体験させていただきました。これによってドイツでのオフィス業務への取り組み方や、日本との働き方の違いなどが自らの目で確認することができた為、大変有意義でした。
 プログラム担当のSchulzさんもいつも親切で、私の希望する講座に積極的に関与させてくださったり、仕事の少ない時は早めに帰宅させていただいたりと、常に負荷のかかり過ぎないように監督してくださりました。また他のドイツ語教師や同僚の方々も皆さん気さくな方ばかりで、いつも笑顔で挨拶する雰囲気の良い職場でした。
インターン3

 
6. おわりに
 今回のプログラムに参加して、ドイツでの働き方やホームステイ体験による家族での過ごし方がよく理解できました。このプログラムでは職場でも家庭でもとにかくドイツ語での交流が求められるため、語学力だけでなく日本とは異なるコミュニケーション力が必要になります。特に感じたことは、自分の意見は何なのかをはっきりと告げることの重要性です。日本では衝突を防ぐために個人の主張を控える場面も必要ですが、ドイツでは自分が何をしたいのかを明確に伝えることが求められます。それは家庭においても同様であり、相手が自分の意思を汲み取ることを期待していては十分な交流ができないかもしれません。また今回に限らず、今後のプログラムにおいても色々な場面で自分の希望とは異なる状況に陥ったり、対人関係でのストレスや失敗も起こりうると思います。その時には一人で抱え込まず、他の参加者やプログラム担当の方、ホストファミリーなどと正直に話すことで解決を目指すことが大切ではないかと感じました。私は幸いにも大きな問題が起きることなくプログラムを終える事ができましたが、今後の参加者の方々には様々な状況を想定し、いかにしてその時々の最善を尽くせるかを考えながら参加していただきたいと思います。
 最後にこのプログラムを管理してくださった古田先生、アルブレヒト先生、そして現地での企画運営を担ってくださったAuslandsgesellschaftのSchulzさん、Sulimanさん、それに滞在中の生活を支えてくださったSchröder家の皆様、二ヶ月間本当にありがとうございました。この機会を今後の大学生活および卒業後の進路に活かせるよう、常に精進していきたいと思います。

Wasserschloss Bodelschwingh(清水 優)

清水 優(ドイツ語学科2年)
インターンシップ先:Wasserschloss Bodelschwingh
 
1.  はじめに
 私は獨協大学入学当初から、このインターンシップ・プログラムに参加することを一つの目標としていました。理由は様々ですが、何よりも「語学を学ぶだけではなく、語学を活かして何かをしたい」という気持ちが私の中で一番大きかったので、そのはじめの一歩として、今回のPraktikumに参加させて頂きました。
 
2.  事前研修
このプログラム参加にあたって、渡独前に大学の春期の授業で(インターンシップ特殊演習)を受講し、ドイツではPraktikum開始前の約10日間、DortmundにあるAuslandsgesellschaftにて集中ドイツ語コースを受けました。日本でもドイツでも授業内容としては、ビジネスドイツ語、プレゼンテーション、スモールトークや電話対応の仕方など、実際にインターン先で活用できる内容の授業でした。Auslandsgesellschaftでのドイツ語コース期間中は授業だけでなく、ミュージカル鑑賞やパン屋さんの見学などの多くのアクティビティが用意されており、それらを通じて異なった様々な職業に触れることが出来ました。
 
3.  インターンシップ
 私が今回インターン生として働かせて頂いたのは、Wasseeschloss Bodelschwinghという現在も男爵と男爵夫人、そしてそのご家族が住んでいる、700年以上の歴史があるお城でした。毎年8月の終わり、又は9月のはじめに、このお城の広大な庭で“Gartenflair”という大きなお祭りが3日間開催されています。私に与えられた仕事は基本的にお祭りの準備、運営、後片付けでした。準備期間中は、出店者リストの作成や書類の管理といったようなオフィスワークから、プラカードの作成、ケータリングの管理や倉庫の整理などといったような体力を使う仕事まで様々な仕事をしていました。お祭り期間中は同世代のアルバイトの子たちも集まり、みんなでDepotserviceを手伝ったり、入り口でチケットコントロールをしたりと、楽しみながら働くことが出来ました。お祭り終了後は後片付けとして、備品や倉庫の整理、冬に開催されるお祭りの準備を行いました。 
 普段の職場では男爵と男爵夫人、そして秘書の方2人、犬1匹という少人数体制のため、とてもリラックスした雰囲気の中で働けました。時に私がミスをすることもありましたが、どうしてミスをしてしまったのか、どうしてそう思ったのかなどをしっかり伝えることで、上司も理解を示してくれ、一緒に解決してくれました。また基本的な勤務時間は朝の10時から夕方の17時まででしたが、お祭り一週間前やお祭り期間中は準備や運営で忙しくなるため、それ以上の時間を10日間ほど連続勤務で働かなければならなかったのは、体力的にきつい部分もありました。もちろん、その分の振替休日はもらえました。しかし終わってみると達成感に満ち溢れていただけでなく、「もう終わってしまったんだ…。」とどこか寂しくも感じました。それくらいやりがいを感じられたインターンシップ先でした。
 
4.  ホストファミリー
 今回私がお世話になったのはVissmannさん一家でした。お父さん、お母さん、子供が3人いるのですが、それぞれ大学や仕事の関係で独立しています。お父さんもお母さんも本当に優しく、「好きなようにしてね」といつも言ってくださいました。 
 仕事から帰宅するとその日の出来事を話し、夜には一緒にテレビを見たり、食事に行ったり、家族の友達も交えてボードゲームをしたりしました。その他にもビリヤードやBVBの試合に連れて行ってくださいました。特に嬉しかったのは、私が誕生日を迎えた際に頂いたバースデーカードの最後に“Deine Familie Vissmann”と書いてあったことです。また、日本に興味を持たれていて、よく日本についての質問をしてくださいました。また、日本からのお土産を渡した時や、カレーを振舞った時にはすごく喜んでくださいました。本当の家族の様に接してくださったので、困ったこともなく、とても居心地がよかったです。
 
5.  おわりに

 「働く」という人生の中で必要不可欠な事を、自分が好きな事を活かしながら体験できたこのプログラムに参加して、改めて本当に良かったです。外国で、まして違う言語を使って働くという事は、決して簡単な事ではありません。しかし、それだけタフにならなければいけない分、この短い期間中でも自分が成長できるだけではなく、将来やりたいことに対しての一歩を踏み出せた気がします。
インターン4
インターン5

Super Bio Markt AG (坂下慶夏)

坂下慶夏(ドイツ語学科2年)
インターンシップ先:Super Bio Markt AG 


1.  私がインターンシップに応募するまでの流れ
 去年の12月、私は水曜3限のドイツ語圏入門でこのドイツでのインターンシップの存在を知りました。皆さんの体験談がとても魅力的で私も行きたいと思いましたが、2年生の夏休みをドイツでのインターンシップに費やすのは自分にとってプラスの経験になるのか、アルバイトでお金を貯めて友達と遊んだ方が楽しい夏休みを送れるのではないか、とも考えていました。そんなこんなで私は締め切りのぎりぎりまで迷っていました。しかし、これまでの自分の人生では、いつも不安な気持ちが先だって行動せずにあとですごく後悔していたことを思い出したのです。結局、プラスになろうがマイナスになろうが、ドイツでホストファミリーと過ごしながらインターンシップを経験する機会というのはそうそう簡単に見つけられないことに思い至り、思い切って応募してみました。

2.  インターンシップ前の語学研修
 私たちはインターンシップが始まる前に約1週間語学研修を行いました。ここで行われた語学研修は普段大学で勉強する一般的な文法や、ドイツ語の複雑な言い回しというのを学ぶ授業ではなく、インターンシップ生それぞれの職場で必要とされる単語をみんなで一緒にブレインストーミング形式で学んだり、電話応対を学んだりする、とても実用的なものでした。       授業が終わった後は、Auslandsgesellschaftの方が企画してくれたプログラムに参加しました。パン工房を視察したり、ミュージアムを訪問したり、とても素敵な時間を過ごすことができました。なかでも、Bochumで行われたStarlight Expressは特に印象に残っています。上演前に特別に舞台裏を見させていただき、ひとつのミュージカル作品が完成するまでの過程を知ることができとても感激しました。そこでは、出演する人はもちろんのこと、照明さん、衣装さん、メイクさん、音楽の担当さん、それぞれが一丸となって一つのミュージカル作品を作っていました。プロフェッショナルな人たちの舞台裏での活動のすべてを直接見聞きできるのは、本当にドルトムントのAuslandsgesellschaftと獨協大学との深い信頼関係がないと、実現することはできないと思いました。面白く、興味深いプログラムを考えてくれたAuslandsgesellschaftの方々、そして施設を見学するに当たり、親切に案内してくれた劇場関係者の方々にはとても感謝しています。ありがとうございました。

3.  ホストファミリー先
 私のホストファミリー先はFamilie Merzさんでした。お母さん、お父さん、息子さん、娘さんと猫2匹からなるファミリーは、Tierpark駅から徒歩1分、Brünninghausenのバス停まで徒歩5分、私のインターンシップ先のSuper Bio Marktまで徒歩約20分、ドルトムント市内まで20分以内で行くことができる交通至便な地域にありました。この自然豊かな素敵な環境で私は2か月間過ごすことができました。家の使用方法については、1階にリビングルーム、両親の部屋、息子さんの部屋があり、2階に娘さんとゲスト用の部屋があります。バスルームは娘さんとシェアして使っていました。食事については、朝食と夕食(昼食は職場)の両方を用意していただきました。「冷蔵庫の中は好きに使っていいのよ」と言ってくれますし、たまにライスも出していただきました。息子さんと娘さんがベジタリアンでしたが、特に2人の前で肉を食べてはいけないということもなく、食については特に困ることはありませんでした。家族の皆さんは、週末は息子さんの大学入学準備のため、家探しなどでとてもバタバタしていて、私と一緒にゆっくり過ごすことはあまりできませんでしたが、それでもその他の空き時間をとても大切にしてくれました。一緒にトランプゲームをしたり、ドルトムントの街を車で案内してくれたり、ドイツ語の文法の勉強を教えてくれたり、家族みんながクリエイティブなアイデアを持っていて空き時間も素敵な時間を過ごすことができました。

4.  インターンシップ先
 私のインターンシップ先はHomruchというドルトムントの郊外市区にあるオーガニックショップ(通称Super Bio Markt)でした。ここでの私の業務内容は品物の陳列作業、棚拭き、お客様に対面式でチーズやお肉を売ることなどでした。同僚をはじめ、お客様もとても親切でした。Hombruchという地域自体がすごく落ち着いた街で、いつも街に笑顔が溢れていて、とても温かい印象を持ちました。 同僚の人たちはいつも私からの質問を大歓迎してくれました。それどころか、私の質問したことに対して倍以上の回答をくれるので、新しいドイツの知識やオーガニックの知識を学ぶことができました。こうして毎日があっという間に過ぎて行きました。 私がインターンシップ先で一番やりがいや楽しさをみつけられたのはパン売り場での業務でした。そこでは、私のおばあちゃんか親友かと思えるようになった同僚やお得意様との多くの出会いがありました。私はその業務の中でコミュニケーションの素敵さ、楽しさを改めて感じることができました。また、私の業務について、単純作業と思える仕事が多すぎないか、と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。日々の業務のなかでは常に面白い品物や単語を発見できますし、たくさんのお客様との会話を通じていろいろなドイツ語の言い回しを知ることができる素敵なインターンシップ先だったと思います。そして、今回のインターンシップ先との繋がりによってドイツの記者の方と出会うこともできました。その方は、今回の私の経験、体験についてドイツ語でインタビューして、その記事を新聞に載せてくださったのです。これはとても貴重な経験になりました。周りの方々に恵まれた最高のインターンシップ先でした。 関係者の方々に心から感謝いたします。

インターン6インターン7

Robert Kortenbrede GmbH/ Kortenbrede  Energiesysteme GmbH(野津 良輔)

野津 良輔(ドイツ語学科4年) 
インターンシップ先:Robert Kortenbrede GmbH/ Kortenbrede  Energiesysteme GmbH
 
1.  はじめに
 私は2017年3月よりハイデルベルク大学での交換留学を開始することが決まっていましたが、過去3年間の大学生活を振り返り、必ず半年が過ぎるあたりで中弛みの時期が来るであろうと思い、中間目標となるものを模索していました。加えて、自身の研究活動や年度末に計画しているインターンシップの充実を図るために、より多くの実地経験を積んでおきたいとも考えていました。こうした経緯から、今回、当プログラムへの参加を決意するに至りました。
 大学のゼミナールおよび日本での長期インターンシップの両方で、一貫してエネルギーに関わる行政学に取り組んでいたこともあり、当初インターンシップ先としてドルトムント市環境局、Dortmunder Stadtwerke AG (DSW21)、BUND Dortmund (ドイツ環境自然保護連盟)を強く希望していましたが、いずれも調整が難しいとのことで、急遽ミュンスターにある上記のインターンシップ先で働かせて頂くことになりました。
 
2.  事前研修について
 事前研修は8月4日から8月11日まで、(日曜日を除いた)7日間で設定されていました。担当の先生であるWrobelさんが、初回の授業で各参加者のドイツ語学習レベルや授業内容として期待するものを確認したうえで、それに沿った構成で進行してくださいました。具体的には、仕事に関わる語彙・フレーズにはじまり、ドイツの職場での適切な振る舞い、スモールトーク、電話応対、労働に関わる法律や危機管理などについて、学ぶことができました。研修期間中、講義以外のアクティビティとして、市内観光、市庁舎訪問、DASA(労働環境・労働者保護について展示を行っている博物館)、リキュール醸造所見学、Starlight Expressミュージカル鑑賞などが設けられ、総合的にドルトムントという街の理解を深めるきっかけになりました。全体として、かなりタイトなスケジュールでみな常にクタクタになっていたように思いますが、その間にメンバー同士の対話も生まれ、結果的に連帯感が育まれていたように感じます。
 
3.  インターンシップ先
 Robert Kortenbrede GmbHは57年(執筆現在)の歴史をもつ中小企業で、ミュンスター中央駅から更にバスでおよそ30分行ったNienbergeというStadtteil(市区)にあります。パートナー企業として、太陽光部門を担うKortenbrede Energiesysteme GmbHと、通信ネットワーク部門を担うKortenbrede Datentechnik GmbHが、それぞれ内包される形で事業展開しています。私は、当初よりエネルギー分野の業務を切望していたこともあり、太陽光部門で働かせていただくことになっていました。工具や鉄骨などを取り扱うため、初日に安全靴と作業用ズボン、作業向けのゴム手袋を支給していただけました。店舗・会社の敷地内にはカリーヴルストの屋台店があり、倉庫管理作業(後述)をする日は、そこで昼ご飯を買うことが多かったです。また、マスターのおじさんがRobert Kortenbredeの従業員にはこっそり割引価格で提供しており、途中、自分にも割引価格で対応してくれるようになった際には「自分もちゃんとRobert Kortenbredeで働いている人間として認知してもらえた」という嬉しい瞬間もありました。SommerjobやAusbildungとして働いている同世代の同僚が数名いたほか、異文化的背景を持っている方々も多くいらっしゃったので、皆さん、私自身や日本のことに様々な角度から興味を持って接してくださり、職場での孤立感を感じることは少なかったと思います。
 
4.  仕事について
  勤務時間:
・Lagerarbeitの場合、8時(8時15分)~16時(16時30分)
・Baustelleで作業をする場合、8時~作業終了および会社に戻ってくるまで(15時30分~16時30分)
 
  曜日:週5日(月~金)が勤務ベースでしたが、往復の通勤で4時間前後かかることもあり、Chefとの相談を経て、週1日希望を出せば休暇をもらえることになりました。
 
  業務内容:
・太陽光パネル設置業務
  太陽光エネルギー部門を担当するパートナー企業としてKortenbrede Energie-
systeme GmbHがあります。太陽光設置業務は、「①Baustelle(作業現場)に向かう車が出発する時間(朝8時15分が目安)に出勤できた日で、②当日必要になるパネルやインバーターなどの納入が完了しており、③屋根上作業が危険でないと判断された」場合にのみ、携わることができました。具体的な作業内容は、細かい部品の用意(ボトルとナット、レールの事前準備)、屋根上でのレール運搬および設置、電気配線の補助、屋根上でのパネル運搬および設置を行いました。屋根の形状は、以前にお世話になった方のときとは異なり、どの現場もすべて勾配屋根でした。
 
・倉庫管理業務(Lagerarbeit)
  何らかの理由で太陽光パネル設置作業に参加できない日には店舗・会社に残って、倉庫管理員として働くことになっていました。具体的な作業内容は、オンラインショッピングで注文を受けた商品の梱包、納品された商品のラベル貼り、在庫整理、自社ブランド商品の梱包(陳列用の容器にオイルを入れるなど)を行っていました。
 
 職場がドルトムントではなくミュンスターにあり、定期券が他の参加者よりもかなり高額でした(まずはDBの窓口で187ユーロ/月を私が支払ったあと、Auslandsgesellschaftで100ユーロをいただくという形に落ち着きました)。なにより、毎朝5時には起きて6時発の電車で出ても、職場には早くても8時10分ごろにしか到着できないので、なんとなく「遅刻してくるやつ」と勘違いされかねない雰囲気を感じ、その点では最初かなり居心地が悪く辛かったように思います。また、基本的には肉体労働なので、疲労回復が間に合わない日も度々ありました。朝早く起きて夜遅く帰り、早く就寝しなければならないスケジュールであることで、ホストマザーと交流するゆとりがなかなか持てないことも相当精神的にこたえていました。
 Baustelleに赴いた際には、作業自体の説明が複雑になることがあるため、「見て覚える」ことを念頭に置いて取り組みました。また、屋根上で取り扱うもので、鉄製のレールが最低3メートル最大7メートルあり、太陽光パネルが1.5メートル25㎏はあるので、「体格がよい、手足が長い、最低限筋肉がある」と、安定した作業ができるのだろうと思います。
 設置したパネル設備は10~15年そこに留まり使用されることを考えると、自然と責任感をもって作業をすることになりました。それが良い方向に働くこともありましたが、慎重になりすぎて作業ペースを遅らせてしまっていたかもしれないと反省する日もありました。
 もともとは大学院進学か就職かという今後の進路のため、エネルギーないしは環境に関わる行政業務を広く経験しておきたかったので、太陽光の現場業務のみの研修になったことは気がかりではあります。しかし、日本で素人が実際の太陽光パネル設置業務に関わることは様々な理由から比較的困難であるため、今回、純粋にこの領域で仕事を体験できたのは嬉しかったです。また、年度末に予定しているインターンシップを前に、ドイツの職場に順応する足掛かりをつかめた気がしています。
 
5. ホームステイ先について
 1か所目:Frau Tête
当初予定していたホストファミリーのご家族の体調急変により、急遽Auslands-
gesellschaftの職員であるTêteさん宅の1室にお邪魔することになり、インターンシップ開始前日まで短期間滞在しました。私が来る前から、既に2名の学生が間借り人として、それぞれ別の部屋で生活していました。自分の部屋は来客用といった感じなのか、部屋には冷蔵庫やキッチンがあり、すぐ隣にシャワー&トイレがありました。基本的には、それぞれの生活空間が独立しており、一人暮らしのような感覚でした。洗濯もお願いすれば可能であったようなのですが、語学研修期間中のみの滞在であったこともあり、1度もお願いすることはありませんでした。食事は基本的に自分で用意する形でしたが、近くにLidlやREWEがあったので困ることはありません。結局、滞在期間中は何かと外で食事を済ませることが多かったので、いずれにしてもTêteさんと一緒にご飯を食べるのは難しかっただろうと思います。
 他方で、平日はTêteさんもAuslandsgesellschaftで働いていたため、授業の合間に言葉を交わすことが度々ありました。週末は友人との予定が入っていることが多かったのですが、出かける前に声をかけに来てくれたり、常に気をかけてくれているのがわかりました。最初の3日間は、同プログラム参加者の坂下さんも滞在していたため、3人で過ごす最後の日には庭のテラスで一緒にティータイムを楽しみました。坂下さんとは、その日のことを振り返ったり、お互いの興味や関心、悩みなどを楽しく語り合うことができました。おかげで一番最初の不安な時期というのを必要以上に気負うことなく乗り越えることができたように思います。
 
  2か所目:Frau Burmann
インターンシップ開始前日から滞在を開始しました。既に、別の1室には同プログラム参加者の北島さんが滞在しており、自分はBurmannさんの娘さんが以前使っていたという部屋を借りていました。一般的な一戸建て住宅で、洗濯機もそれぞれ自由に使わせていただいていました。平日は私が午前5~6時に家を出て遅くに帰ってくるため、疲労と睡眠時間を確保するためにも、ゆっくりと歓談する暇(いとま)がなかなかありませんでした。それでも、自分にゆとりがある時や週末は3人で話したり、映画鑑賞、散歩、食事やティータイムをともにすることができました。
Burmannさんは完全菜食主義ではないものの、少しベジタリアン寄りの食事を好んでいるようでした。そうしたこともあってか、頻繁に植物に関わる語彙を教えてくれたことが印象に残っています。また、過去に何度か同プログラムでのホストファミリー経験があり、ドイツ語を時折訂正してくれたり、日本人の気質や接し方といったものをとてもよく理解されている方だなと感じていました。一緒に食卓を囲んだときには、日独の政治や社会について折に触れて語り合い、学び多き日々であったと思います。
一緒に滞在することになった北島さんとは、お互いのことやインターンシップ先での出来事を度々語り合っていました。とりわけ、インターンシップ期間中はお互いに精神的に辛くなることもあったので、それを分かち合える仲間・よき理解者がすぐ近くにいたことは大きな支えになっていました。また、プログラム期間中は、他のメンバーとの差異が気になってしまうこともみな等しく起こりうるので、素直な気持ちを打ち明ける場があるというのは本当に大きかったと思います。
身近なところで苦楽を共有していただけあって、Burmannさんや北島さんとの間には、アットホームな関係や強い連帯感が育まれていたように感じていて、そうした貴重な財産を与えてくれたことに心から感謝しています。
 
6.  おわりに
今回、ドイツ語の発話能力の上達や家族のような良き友人たちに恵まれたことはもちろん、学内の閉鎖的な「外国人留学生」という視座を超えて、ドイツ社会をある程度内部から眺めることができたのが非常に大きな収穫でした。基本的に、ハイデルベルクでの最初の半年間は、留学生と現地学生の間に隔たった並行世界があると感じ、ドイツに居ながら結局はドイツ・コミュニティを内部から眺めることはなかなかかないませんでした。その影響で、ハイデルベルクを魅力的な街だと感じているものの、ドイツという国の捉え方や自分の立ち位置の認識が安定せず、ドイツ・コミュニティへの愛着もなかなか湧いてはいませんでした。しかし、ドルトムントというまた異なった性質の都市で一定期間生活をしながら、様々な属性を持った人々と(学問・学修活動を前提としていない領域で)触れ合うことで、今まで以上に「ドイツ」という国を肌感覚で感じることができたように思います。また、インターン先での自らの姿勢・振る舞いについて、上司や同僚からポジティブなフィードバックを頂くにつれ、日本人ひいては日本人留学生という属性云々ではなく、ひとりの同僚・人間として居場所を感じることができました。今は、ハイデルベルクやドイツ社会に対して、愛着も深まり、残りの半年間をより主体的に過ごせるような原動力となる予感がしています。
こうした貴重な機会を与えてくださった獨協大学の古田先生やAlbrecht先生、AuslandsgesellschaftのSchulzさん、Wrobelさん、Sulimanさん、ホームステイでお世話になったTêteさん、Burmannさん、インターン生として温かく迎え入れてくれたRobert Kortenbredeの皆さん、インターンシップ・プログラムで一緒に過ごしたみんな、その他お世話になったすべての人に心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
インターン8インターン9

Wohnstift auf der Kronenburg(北島 瑠璃子)

北島 瑠璃子(ドイツ語学科3年)
インターンシップ先:Wohnstift auf der Kronenburg
 
1.  はじめに
 私は2017年の3月から交換留学生としてウィーン大学に通っています。ずっと、外国人として現地で働いてみたいと思っていた私は、大学の夏季休暇期間を利用して、オーストリアでインターン生生活を送ることを考えていました。しかし、以前オーストリアに1年間留学した際にオーストリアが大変気に入ってしまい、それ以来ドイツへの関心が薄くなっていたのも事実です。このドイツでのインターンシップ・プログラムは、外国人として働きながらドイツを自分の目で見ることができる最後のチャンスだと思い、ドルトムントのインターン生になることを決意しました。
 コミュニケーション力が重視される職場(=ドイツ語を話す機会が多い職場)に就ければと思い、当初は、子供が好きなこともあり保育園・幼稚園を希望しましたが、残念ながら夏季休業中のところが多く、「他人の面倒を見る、世話をする」といった共通点から、老人ホームで働くことになりました。
 
2.  事前研修
 約1週間、Auslandsgesellschaftでビジネスドイツ語の授業を受けました。文法や語彙等の基本から、インターン先で必要になるであろう電話の受け答えやオフィシャルな場での話し方等の実践的なドイツ語まで、幅広く学ぶことができました。少人数での授業でしたし、先生も優しく、モチベーションが常に維持できる、非常に勉強しやすい環境でした。事前研修といっても1日中教室の中での授業だったわけではなく、様々なアクティビティが用意されていました。市庁舎や博物館を見学したり、ドルトムントの歴史や文化にも触れることができてよかったと思います。また、この期間中に他の参加者の方とも交流が深められ、いよいよ始まるインターンを前に緊張していましたが、リラックスすることができたと思います。
 
3.  ホームステイ先
 私がお世話になったBurmann家には、ホストマザーが一人で住んでいました。ホストマザーには学生の娘さんがいるのですが、彼女はデュッセルドルフで暮らしているため、休日に一度お会いしただけでしたが、とても気さくな方でした。ホストマザーは多忙な人で、特に最初の一週間は話す時間を見つけるのに苦労しました。キッチンが私たちの共同スペースで、彼女は仕事から帰ってからしばらくそこで作業をすることがわかり、私も同じように時間帯を合わせてキッチンに残るように努めました。初めは緊張してしまい、言いたいことが上手く伝えられなかったり落ち込むことも多々ありましたが、時間が経つにつれて緊張もほぐれ、積極的に会話を進めることができるようになりました。ドイツ語のミスはいつも的確に訂正してくれたので、文法の勉強にもなりました。私はウムラウトの発音が苦手で、ホストマザーと一緒に練習したのも良い思い出です。また、彼女はよくおいしいサラダやスープ、ケーキなどを振る舞ってくれました。私もキッチンに残るようになってからは、ホストマザーの料理作りを手伝い、それがきっかけになって話が弾むのはとても楽しいものでした。
事前研修を終えた後、同じプログラム参加者の野津くんが引っ越してきて、3人暮らしになりました。仕事の終わる時間が重なれば3人で夕食を取り、様々な会話や議論もしました。3人でいるときはドイツ語で話す、というルールを決めていたため、日常会話はほぼドイツ語で行われていましたが、ホストマザーの帰りが遅い日もあり、そんな時には野津くんと、仕事先での反省や悩み事、それに対する策を話し合ったりもしました。
他の参加者とは違い、私ともう1人日本人とホストマザーというファミリー形態だったため、完全にドイツ語に浸かるという生活ではありませんでしたが、とても恵まれた環境のホームステイ先だったと思います。インターンシップ中精神的に辛いと感じた時(訃報の知らせを聞いた時等)もありましたが、ホストマザーと野津くんの優しさに何度も救われ、最後まで全力で頑張ることができました。
 
4.  インターン先
 私のインターンシップ先はホテルのように綺麗な老人ホームでした。大きなエントランスに受け付け、プールに庭やちょっとした売店、歯医者、美容室まであり、老人ホーム内だけで生活が事足りる、そんな立派な施設でした。
私はSozialdienstという11人体制の少人数部署に配属されました。月曜日はGymnastik (体操)、火曜日はSingen(歌唱)、水曜日はJakklo(オランダの遊び)、木曜日はBingo、金曜日はGedächtnistraining(記憶力の訓練)といったように、週ごとにアクティビティが組まれていて、それに参加するBewohner (入居者)の送り迎えをしたり、自分自身もそのアクティビティに参加したり、司会進行を務めたりしました。
彼らの話すドイツ語ははっきりしなかったり方言であったりと非常に聞き取りづらく、初めは語学面で苦労しましたが、耳が馴染むにつれ段々と理解できることが増え、西ドイツならではの言い回し等を教えてもらえて面白かったです。
また、入居者の聞きなれないドイツの苗字に、初めの数日は覚えること、顔と一致させることに苦戦させられました。しかし日々彼らと接していくうちに自然に覚えていけるようになりました。反対に入居者にも私の名前を呼んでもらえるようになっていき、受け入れられてゆく感じが仕事の励みになりました。
一番戸惑ったことは、同僚に、何をするにも具体的な指示を与えてもらえなかったことです。健康体で身の回りのことはほとんど自分でこなせる人もいれば、体の一部が不自由だったり、認知症だったり、様々な事情を持つ方がこの老人ホームには住んでいました。そういった環境の中で、どんな対応をすべきか、何に注意するのかということについて口での説明は一切なく、まさしく習うより慣れろという状態でした。同僚に同年代はおらず、皆さん気遣ってくれてはいたのですが基本的には常に忙しく、質問をしても後でねと言われたり、ここでちょっと待ってねと言われ長時間放置されることもありました。特に私は、本来Pfleger(介護師)として持っているべき資格を持っていなかったため、ご飯を食べさせる仕事は誤飲の危険があるため請け負えなかったりと、出来る仕事が限られてしまい手持ち無沙汰になることも多く、歯がゆさを感じていました。しかし、この時間に入居者の部屋に出向いてみることにしました。初めは上からの指示がないのに自分一人で行動していいものかと悩みましたが、そうしたことで入居者一人一人との距離が縮まりました。特に折り紙で折った鶴や日本語の歌は好評で、アカペラで一人歌うのは大変恥ずかしかったのですが、時には涙を浮かべて喜んでくれるおじいちゃんおばあちゃんもいて、私自身も嬉しい気持ちになれました。
そういった素敵な思い出の一方で、辛かった思い出ももちろんあります。特に認知症の方と接するのは人生で初めての経験で、最初は怖いとすら感じてしまいました。そんな自分が嫌になったり、今自分はきちんと笑えているだろうか?他の入居者と差別することなく接することができているだろうか?と不安に感じたり、たびたびの訃報にも胸を痛めました。
このように様々な出来事があった6週間ですが、インターン最終日が近づくにつれ、おじいちゃんおばあちゃんが私との別れを本当に惜しんでくれて、私自身も最終日を迎えることを寂しく感じました。短い間でしたが、ここで出会った人々の暖かさを忘れません。また会いに来てね、と沢山の方に言ってもらえたので、いつか成長した自分を見せられるように頑張ります。
 
5.  おわりに
 私はこのインターンシップ・プログラムを通して、多くのことを学びました。言語面ではもちろん、外国人として働くということがどれほど難しいか、身をもって体験させられました。しかしこの体験はネガティブなものなどでは決してなく、むしろ厳しい現状をどうより良いものにするか考え、実行する力に変わったのだと思います。そういった力や忍耐力、他人の優しさ、この夏ドイツで学んだことを全て忘れず、残りの留学生活も励んでゆきたいと思います。
 最後になりましたが、このインターンシップ・プログラムに携わってくださった獨協大学の先生方、Auslandsgesellschaftの皆様、インターンシップ先のWohnstift auf der Kronenburgの皆様、ホストファミリー、参加者の皆、全てに心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
過去のインターンシップ体験報告はこちら